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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
磁界中に物質を置くと,その物質の性質によって図1又は図2に示されるような磁極が現われるものがある。このように物質を磁界中にもってきたために磁気を帯びるようになることを磁化されたといい,この現象を\( \ \fbox { (ア) } \ \)という。
磁化によって,図1のように磁界と同じ向きの磁束を物質中に生じる磁極が現われる物質の比透磁率は\( \ 1 \ \)より大きく,これは\( \ \fbox { (イ) } \ \)と名付けられている。一方,図2のように磁界と逆向きの磁束を生じる磁極が現われる物質の比透磁率は\( \ 1 \ \)より小さく,これは\( \ \fbox { (ウ) } \ \)といわれる。
特に強く磁化される物質は強磁性体といわれるが,これには\( \ \fbox { (エ) } \ \)のような物質がある。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) & 電磁誘導 & 常磁性体 & 反磁性体 & 鉄,ニッケル \\
\hline
(2) & 電磁誘導 & 反磁性体 & 常磁性体 & 銅,銀 \\
\hline
(3) & 相互誘導 & 常磁性体 & 反磁性体 & 鉄,ニッケル \\
\hline
(4) & 磁気誘導 & 常磁性体 & 反磁性体 & 鉄,ニッケル \\
\hline
(5) & 磁気誘導 & 反磁性体 & 常磁性体 & 銅,銀 \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
磁性体の特徴に関する問題です。
磁性体に関する内容は近年ではヒステリシスループに関する内容がほとんどですが,一度理解しておけば名称も忘れにくいと思いますので,ぜひこの問題で理解しておくようにしましょう。
1.磁性体
磁界中に物質をおくと同じ向きもしくは逆向きに磁極が現れ,これを磁気誘導といいます。磁性を帯びることが可能な物質を磁性体といい,一般に強磁性体,常磁性体,反磁性体に分けられます。(交代磁性体というものもあります。)それぞれの特徴は以下の通りとなります。
①強磁性体
外部磁界を加えると同じ向きに強く磁化される物質です。真空の透磁率に対する比透磁率が\( \ 1 \ \)より非常に大きく,外部磁界を取り除いてもそのまま磁気が残ります。鉄,コバルト,ニッケル等があります。
②常磁性体
外部磁界を加えると同じ向きにわずかに磁化される物質です。比透磁率が\( \ 1 \ \)よりわずかに大きく,外部磁界を取り除いたら磁気はなくなります。アルミニウム,クロム等があります。
③反磁性体
外部磁界を加えると反対向きに磁化される物質です。比透磁率が\( \ 1 \ \)より小さく,外部磁界を取り除いたら磁気はなくなります。水,銅,亜鉛等があります。
【解答】
解答:(4)
(ア)
ワンポイント解説「1.磁性体」の通り,磁界中で磁化されることを磁気誘導といいます。
(イ)
ワンポイント解説「1.磁性体」の通り,磁界と同じ向きの磁束を物質中に生じる磁極が現われる物質を常磁性体といい,比透磁率は\( \ 1 \ \)より大きいです。
(ウ)
ワンポイント解説「1.磁性体」の通り,磁界と逆向きの磁束を生じる磁極が現われる物質を反磁性体といい,比透磁率は\( \ 1 \ \)より小さいです。
(エ)
ワンポイント解説「1.磁性体」の通り,強磁性体には鉄,ニッケル等があります。