【問題】
【難易度】★☆☆☆☆(易しい)
図のように,誘電体の種類,比誘電率,絶縁破壊電界,厚さがそれぞれ異なる三つの平行板コンデンサ①~③がある。極板の形状と大きさは同一で,コンデンサの端効果,初期電荷及び漏れ電流は無視できるものとする。上側の極板に電圧\( \ V_{0} \ \mathrm {[V]} \ \)の直流電源を接続し,下側の極板を接地した。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 各平行板コンデンサへの印加電圧の大きさが同一のとき,極板間の電界の強さの大きい順として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cc}
\hline
(1) & ①>②>③ \\
\hline
(2) & ①>③>② \\
\hline
(3) & ②>①>③ \\
\hline
(4) & ③>①>② \\
\hline
(5) & ③>②>① \\
\hline
\end{array}
\]
(b) 各平行板コンデンサへの印加電圧をそれぞれ徐々に上昇し,極板間の電界の強さが絶縁破壊電界に達したときの印加電圧(絶縁破壊電圧)の大きさの大きい順として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cc}
\hline
(1) & ①>②>③ \\
\hline
(2) & ①>③>② \\
\hline
(3) & ②>①>③ \\
\hline
(4) & ③>①>② \\
\hline
(5) & ③>②>① \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
平行平板コンデンサの基本公式を理解しているか問う問題です。比較的取り組みやすい問題なので,多くの受験生が正答したものと思われます。合格のためには確実に得点しておきたい問題です。
1.平行平板コンデンサの電界\( \ E \ \)と電圧\( \ V \ \)の関係
極板間の距離\( \ d \ \)の平行平板コンデンサに電圧\( \ V \ \)をかけると,極板間の電界\( \ E \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
E&=&\frac {V}{d} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となります。
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【解答】
(a)解答:(5)
ワンポイント解説「1.平行平板コンデンサの電界\( \ E \ \)と電圧\( \ V \ \)の関係」より,印加電圧の大きさ\( \ V \ \)が等しいとき,電界\( \ E \ \)は極板間の距離\( \ d \ \)に反比例する。
したがって,極板間の距離が小さいほど電界が強くなるので,電界の強さの大きい順は\( \ ③>②>① \ \)となる。
(b)解答:(2)
ワンポイント解説「1.平行平板コンデンサの電界\( \ E \ \)と電圧\( \ V \ \)の関係」より絶縁破壊電界がかかったときの\( \ ① \ \),\( \ ② \ \),\( \ ③ \ \)のコンデンサの電圧\( \ V_{1} \ \),\( \ V_{2} \ \),\( \ V_{3} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
V_{1}&=&E_{1}d_{1} \\[ 5pt ]
&=&10 \times 4.0 \\[ 5pt ]
&=&40 \ \mathrm {[kV]} \\[ 5pt ]
V_{2}&=&E_{2}d_{2} \\[ 5pt ]
&=&20 \times 1.0 \\[ 5pt ]
&=&20 \ \mathrm {[kV]} \\[ 5pt ]
V_{3}&=&E_{3}d_{3} \\[ 5pt ]
&=&50 \times 0.5 \\[ 5pt ]
&=&25 \ \mathrm {[kV]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となるので,極板間の電界の強さが絶縁破壊電界に達したときの印加電圧(絶縁破壊電圧)の大きさの大きい順は,\( \ ①>③>② \ \)と求められる。