《電力》〈送電〉[H26:問2]ケーブルの故障点測定に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の文章は,ケーブルの故障点測定に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

ケーブルの故障点測定手法にはマーレーループ法,パルス法,静電容量法などがあるが,このうち通常断線故障のみに適用されるのは\( \ \fbox {  (1)  } \ \)である。一方,地絡故障に用いられる手法の一つに,一定時間おきにインパルス状の\( \ \fbox {  (2)  } \ \)パルスを送り出し,このパルスが故障点で反射して返ってくる性質を利用して,パルスが故障点までの間を往復する時間を測る方法がある。パルスがケーブルの中を伝わる速度を\( \ v \ \mathrm {[m / \mu s]} \ \),パルスを送り出してから返ってくるまでの時間を\( \ t \ \mathrm {[\mu s]} \ \)とすると,図の故障点までの距離\( \ x \ \mathrm {[m]} \ \)は\( \ \fbox {  (3)  } \ \)で求められる。ケーブルの回路定数は形状,寸法等で異なるが,例えば\( \ L=0.3 \ \mathrm {mH / km} \ \),\( \ C=0.2 \ \mathrm {\mu F / km} \ \)の場合,ケーブルが無損失と仮定して伝搬速度を求めると,約\( \ \fbox {  (4)  } \ \)である。ケーブル導体が故障点において外側遮へい導体と完全短絡して地絡故障が発生している場合には,単一パルスが故障点に到達すると,ケーブルのサージインピーダンスが故障点を除き全長にわたって一様ならば\( \ \fbox {  (5)  } \ \)反射パルスが発生して送信端まで戻ってくる。

〔問2の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& マーレーループ法     &(ロ)& 逆位相の     &(ハ)& 超音波 \\[ 5pt ] &(ニ)& 300 \ \mathrm {m/\mu s}   &(ホ)& vt   &(ヘ)& \frac {vt}{2} \\[ 5pt ] &(ト)& 同位相の   &(チ)& 2vt   &(リ)& 電 圧 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 電 流   &(ル)& 静電容量法   &(ヲ)& 多数の \\[ 5pt ] &(ワ)& 4.1 \ \mathrm {m/\mu s}   &(カ)& パルス法   &(ヨ)& 130 \ \mathrm {m/\mu s} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

ケーブルの故障点測定法はテキストでの記載が少ない内容ですが,電験一種等も含めると比較的出題されている問題です。本問で各測定法の概要を理解しておくようにしましょう。

1.マーレーループ法
ホイーストンブリッジの原理を利用して,地絡事故点までの距離を測定する方法です。図1のように健全相と事故相があり,健全相側の抵抗を\(R_{1}\),事故相側の抵抗を\(R_{2}\)とすると,事故点までの距離\(l\)は,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {R_{1}}{2L-l}&=&\frac {R_{2}}{l} \\[ 5pt ] R_{1}l&=&R_{2}\left( 2L-l\right) \\[ 5pt ] l&=&\frac {2R_{2}}{R_{1}+R_{2}}L \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められます。

2.パルス法
パルス法は問題図に描かれている方法で事故点での反射パルスを検知して,事故点までの距離を求める方法です。パルスの伝搬速度を\(v\)とすると,測定点と事故点までの距離\(x\)は,
\[
\begin{eqnarray}
x&=&\frac {vt}{2} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で求められます。

3.静電容量法
健全相と事故相との静電容量の比から事故点までの距離を測定する方法です。ケーブルの長さを\( \ L \ \)として,健全相の静電容量を\( \ C \ \),事故相の静電容量を\( \ C^{\prime } \ \)とすると,事故相までの距離\( \ x \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
x&=&\frac {C^{\prime }}{C}L \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で求められます。

【解答】

(1)解答:ル
題意より,解答候補は(イ)マーレーループ法,(ル)静電容量法,(カ)パルス法となりますが,断線故障のみに適用されるのは(ル)静電容量法であり,マーレーループ法やパルス法は地絡故障に適用可能です。

(2)解答:リ
題意より,解答候補は(ハ)超音波,(リ)電圧,(ヌ)電流となります。問題図はパルス法であり,一定時間おきに電圧パルスを送り出し,このパルスが反射して返ってくる性質を利用し,事故点までの距離を測定します。

(3)解答:ヘ
ワンポイント解説「2.パルス法」の通り,事故点までの距離は,
\[
\begin{eqnarray}
x&=&\frac {vt}{2} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で求められます。

(4)解答:ヨ
ケーブルの伝搬速度\( \ v \ \)は\( \ \displaystyle v=\frac {1}{\sqrt {LC}} \ \)で求められるので,
\[
\begin{eqnarray}
v&=&\frac {1}{\sqrt {LC}} \\[ 5pt ] &=&\frac {1}{\sqrt {0.3\times 10^{-3}\times 0.2\times 10^{-6}}} \\[ 5pt ] &≒&129000 \ \mathrm {[ km / s ] } → 129 \ \mathrm {[ m / \mu s ] } \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められます。

(5)解答:ロ
題意より,解答候補は(ロ)逆位相の,(ト)同位相の,(ヲ)多数のとなると思います。パルス法では地絡事故発生時は逆位相のパルスが,断線している場合は同位相のパルスが送信端まで戻ってきます。



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