《電力》〈火力〉[H24:問2]汽力発電所のタービン発電機の特徴に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,汽力発電所のタービン発電機の特徴に関する記述である。

汽力発電所のタービン発電機は,水車発電機に比べ回転速度が\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)なるため,\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)強度を要求されることから,回転子の構造は\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)にし,水車発電機よりも直径を\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)しなければならない。このため,水車発電機と同出力を得るためには軸方向に\( \ \fbox {  (オ)  } \ \)することが必要となる。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,最も適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 高 く & 熱 的 & 突極形 & 小さく & 長 く \\
\hline
(2) & 低 く & 熱 的 & 円筒形 & 大きく & 短 く \\
\hline
(3) & 高 く & 機械的 & 円筒形 & 小さく & 長 く \\
\hline
(4) & 低 く & 機械的 & 円筒形 & 大きく & 短 く \\
\hline
(5) & 高 く & 機械的 & 突極形 & 小さく & 長 く \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

水車発電機とタービン発電機の違いを理解しているかを問う問題です。類題も何回か出題されていますので,確実に理解するようにしましょう。

1.水車発電機とタービン発電機の比較
水車は,回転数を大きくしすぎるとキャビテーションの発生等により振動が発生したり,エロ―ジョンが発生したりするため,回転数を大きくするには限界があります。一方,タービン発電機は発電機をできるだけ軽量かつコンパクトにして経済的にするため,回転数を大きくします。この特徴の違いにより,以下の表のような違いがあります。

\[
\begin{array}{|c|c|c|}
\hline
& 水車発電機 & タービン発電機 \\
\hline
回転速度(\mathrm {min}^{-1}) & 100~1200 & 1500~3600 \\
\hline
極数 & 6~32 & 2~4 \\
\hline
回転子 & 突極形 & 円筒形 \\
\hline
軸方向 & 縦 & 横 \\
\hline
短絡比 & 大きい & 小さい \\
\hline
同期インピーダンス & 小さい & 大きい \\
\hline
電圧変動率 & 小さい & 大きい \\
\hline
安定度 & 高 い & 低 い \\
\hline
線路充電容量 & 大きい & 小さい \\
\hline
\end{array}
\]

【解答】

解答:(3)
(ア)
ワンポイント解説「1.水車発電機とタービン発電機の比較」の通り,タービン発電機は水車発電機に比べ回転速度が高くなります。

(イ)
回転速度が大きいとそれだけ遠心力が大きくなるので,機械的強度を要求されます。

(ウ)
タービン発電機は遠心力がかかるため,回転半径をあまり大きくとることができません。したがって,タービン発電機は回転翼の段数を増やし,円筒形の構造にします。

(エ)
上記(イ),(ウ)の理由から,タービン発電機は直径が小さくなります。

(オ)
上記(ウ)の通り,タービン発電機は回転半径を取れないので,その分段数を増やします。したがって,軸方向には長くなります。