《電力》〈火力〉[H30:問3]汽力発電所の蒸気タービン設備に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

汽力発電所の蒸気タービン設備に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 衝動タービンは,蒸気が回転羽根(動翼)に衝突するときに生じる力によって回転させるタービンである。

(2) 調速装置は,蒸気加減弁駆動装置に信号を送り,蒸気流量を調整することで,タービンの回転速度制御を行う装置である。

(3) ターニング装置は,タービン停止中に高温のロータが曲がることを防止するため,ロータを低速で回転させる装置である。

(4) 反動タービンは,固定羽根(静翼)で蒸気を膨張させ,回転羽根(動翼)に衝突する力と回転羽根(動翼)から排気するときの力を利用して回転させるタービンである。

(5) 非常調速装置は,タービンの回転速度が運転中に定格回転速度以下となり,一定値以下まで下降すると作動して,タービンを停止させる装置である。

【ワンポイント解説】

火力発電所の諸設備に関する問題です。調速装置と非常調速装置がありますが,機能が全く異なり,調速装置は通常運転時蒸気流量を蒸気加減弁で調整するのに対し,非常調速装置は蒸気タービンが111%以上になった場合に主蒸気止弁と蒸気加減弁を全閉させる機能があります。

【解答】

解答:(5)
(1):正しい
問題文の通り,衝動タービンは,蒸気が回転羽根(動翼)に衝突するときに生じる力によって回転させるタービンで,汽力発電所では基本的にはタービンの第1段で使用されます。

(2):正しい
問題文の通り,調速装置は,蒸気加減弁駆動装置に信号を送り,蒸気流量を調整することで,タービンの回転速度制御を行う装置です。

(3):正しい
問題文の通り,ターニング装置は,タービン停止中に高温のロータが曲がることを防止するため,ロータを低速で回転させる装置です。

(4):正しい
問題文の通り,固定羽根(静翼)で蒸気を膨張させ,回転羽根(動翼)に衝突する力と回転羽根(動翼)から排気するときの力を利用して回転させるタービンで,汽力発電所ではタービンの第2段以降で使用されます。

(5):誤り
非常調速装置は,タービンの回転速度が運転中に定格回転速度の111%以上となると作動して,タービンを停止させる装置です。主な原因としては系統事故等が挙げられます。