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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
電線の導体に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 地中ケーブルの銅導体には,伸びや可とう性に優れる軟銅線が用いられる。
(2) 電線の導電材料としての金属には,資源量の多さや導電率の高さが求められる。
(3) 鋼心アルミより線は,鋼より線の周囲にアルミ線をより合わせたもので,軽量で大きな外径や高い引張強度を得ることができる。
(4) 電気用アルミニウムの導電率は銅よりも低いが,電気抵抗と長さが同じ電線の場合,アルミニウム線の方が銅線より軽い。
(5) 硬銅線は軟銅線と比較して曲げにくく,電線の導体として使われることはない。
【ワンポイント解説】
電線に使用される導体に関する問題です。
架空送電線として硬銅線が使用されることが多かったですが,現在は強度がありかつ軽量である鋼心アルミより線が一般に使用されています。
本問は平成18年問11からの再出題となります。
1.導電材料の比較
架空送電線の導体には硬銅や硬アルミニウム,地中送電線のケーブルの導体には軟銅が用いられ,それぞれの導電材料の特徴としては下表のような特徴があります。
\[
\begin{array}{|l|l|l|}
\hline
導電材料 & 導電率 & 特 徴 \\
\hline
銀 & 106 \ % & 最も導電率が高いが高価である \\
\hline
軟銅 & 100 \ % \ (基準) & 可とう性がありケーブルで使用される \\
\hline
硬銅 & 97 \ % & 引張強さがあり,架空送電線で使用される \\
\hline
アルミニウム & 62 \ % & 軽量であるため,現在の架空送電線の主流 \\
\hline
\end{array}
\]
2.鋼心アルミより線
鋼心アルミより線は,図1に示すように中心に亜鉛めっき鋼より線,その周囲に硬アルミ線をより合わせた電線であり,アルミの軽量かつ高い導電性と,鋼の強い引張強さとを併せもつ代表的な架空送電線です。
アルミは導電率では銅の3分の2程度ですが,重量が3分の1程度なので,全体として約半分の重量で同容量の送電線の敷設が可能となります。
【解答】
解答:(5)
(1)正しい
ワンポイント解説「1.導電材料の比較」の通り,地中ケーブルの銅導体には,伸びや可とう性に優れる軟銅線が用いられます。
(2)正しい
ワンポイント解説「1.導電材料の比較」の通り,資源量の多さや導電率の高さが求められ,その観点から銅やアルミが使用されます。
(3)正しい
ワンポイント解説「2.鋼心アルミより線」の通り,鋼心アルミより線は,鋼より線の周囲にアルミ線をより合わせたもので,軽量で大きな外径や高い引張強度を得ることができます。
(4)正しい
ワンポイント解説「2.鋼心アルミより線」の通り,電気用アルミニウムの導電率は銅よりも低いですが,アルミニウムの比重が低いため,電気抵抗と長さが同じ電線の場合,アルミニウム線の方が銅線より軽くなります。
(5)誤り
ワンポイント解説「1.導電材料の比較」の通り,硬銅線は軟銅線と比較して曲げにくい特性がありますが,硬くて導電性が高い特性から架空送電線に使用されることがあります。