《電力》〈配電〉[H20:問12]架空配電線路と比較したときの地中配電線路の一般的な特徴に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

架空配電線路と比較したときの地中配電線路の一般的な特徴に関する記述として,誤っているのは次のうちどれか。

(1) 架空設備が地中化されることにより,街並みの景観が向上する。

(2) 設備の建設費用は,架空配電線路より高額である。

(3) 変圧器等を施設するためのスペースが歩道などに必要である。

(4) 台風や雷に際しては,架空配電線路より設備事故が発生しにくいため,供給信頼度が高い。

(5) いったん線路の損壊事故が発生した場合の復旧は,架空配電線路の場合より短時間で済む場合が多い。

【ワンポイント解説】

架空配電線路と比較した地中配電線路の特徴を問う問題です。
もちろん地中配電の得失を文字で覚えても良いですが,大都市や観光地等なんとなく地中配電の様子を思い浮かべると長所・短所は見えてくるかなと思います。
現在は都市部で地中化計画も進んでいるため,再出題の可能性も十分にある問題かと思います。

1.地中送電の特徴
【長所】
 ・自然災害による影響や他接触物による外部事故が少ない。
 ・都市の景観が保たれる。
 ・露出充電部が少ないので,感電や火災の危険性が低い。
 ・通信線への誘導障害が少ない。

【短所】
 ・工期が長くなり,建設費も高くなる。
 ・事故箇所の特定が難しく,事故復旧に時間がかかる。
 ・放熱性が低いため,導体の太さが同じ場合,送電容量が小さくなる。
 ・ケーブルの場合静電容量が数十倍となり,充電電流が大きい。

【解答】

解答:(5)
(1)正しい
ワンポイント解説「1.地中送電の特徴」の通り,架空設備が地中化されることにより,電線の露出部がないため街並みの景観は向上します。

(2)正しい
ワンポイント解説「1.地中送電の特徴」の通り,掘削工事等の工事や費用等もかかり,設備の建設費用は,架空配電線路より高額となります。

(3)正しい
問題文の通り,地中配電線路にはパッドマウント変圧器と呼ばれる変圧器が地上の歩道等に設けられています。

(4)正しい
ワンポイント解説「1.地中送電の特徴」の通り,台風や雷に際しては,架空配電線路より設備事故が発生しにくいため,供給信頼度が高いです。

(5)誤り
ワンポイント解説「1.地中送電の特徴」の通り,供給信頼度は高いですが,いったん線路の損壊事故が発生した場合,故障点の特定に架空配電線路より時間がかかり,事故の復旧は架空配電線路の場合より時間がかかる場合が多いです。