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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
電圧 6.6 kV ,周波数 60 Hz ,こう長 2 km の交流三相 3 線式地中電線路がある。ケーブルの心線 1 線当たりの静電容量を 0.5μF/km とするとき,このケーブルの心線 3 線を充電するために必要な三相無負荷充電容量の値 [kV⋅A] として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 5.5 (2) 8.2 (3) 16.4 (4) 28.4 (5) 49.3
【ワンポイント解説】
地中電線路に使用するケーブルの充電容量を求める問題です。
充電容量に関しては公式丸暗記をさせている参考書が多い印象ですが,その中身を理解している方が法規科目の電気施設管理にも繋がる応用力がつくのでお勧めです。
本問は平成24年問11の数値を変えた問題となります。
1.ケーブル線路の充電容量
ケーブルは通常の絶縁電線と比較して静電容量が非常に大きいため,対地静電容量による充電電流を十分考慮する必要があります。通常対地静電容量を考える場合,ケーブルの中間点から大地の間のコンデンサ C [F] として考え,無負荷の三相 3 線式地中電線路の等価回路は図1のようになります。

図1において,電源の中性点は三相平衡時 0 [V] であり,三相が対称回路であるため,一相分等価回路を描くと図2のようになります。

このとき,電源の線間電圧が V [V] ,周波数が f [Hz] であるとすると,ケーブル一相分の充電電流 IC [A] は,
IC=V√31ωC=ωCV√3=2πfCV√3
となり,三相分の充電容量 QC [var] は,
QC=3⋅V√3IC=3⋅V√3⋅2πfCV√3=2πfCV2
で求められます。
【解答】
解答:(3)
題意より,ケーブル 1 線当たりの静電容量 C [μF] は,
C=0.5×2=1 [μF]
なので,ケーブルの心線 3 線を充電するために必要な三相無負荷充電容量 QC [kV⋅A] は,ワンポイント解説「1.ケーブル線路の充電容量」の通り,
QC=2πfCV2=2π×60×1.0×10−6×(6.6×103)2≒16 420 [V⋅A] → 16.4 [kV⋅A]
と求められる。