【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,単相サイリスタ整流回路に関する記述である。
図1には純抵抗負荷に接続された単相サイリスタ整流回路を示し, T1~T4 のサイリスタはオン電圧降下を無視できるものとする。また,図1中の矢印の方向を正とした交流電源の電圧 v=Vsinωt [V] 及び直流側電圧 vd の波形をそれぞれ破線及び実線で図2に示す。
図2に示した交流電圧の位相において, π<ωt<2π の位相で同時にオン信号を与えるサイリスタは (ア) である。
交流電圧 1 サイクルの中で,例えばサイリスタ T4 から T2 へ導通するサイリスタが換わる動作を考える。 T4 がオンしている状態から位相 π で電流が零になると, T4 はオフ状態となる。その後,制御遅れ角 α を経て T2 にオン信号を与えると,電流が T2 に流れる。そのとき既に電流が零になった T4 には,交流電圧 v が (イ) として印加される。すなわち, (ウ) であるサイリスタは,極性が変わる交流電圧を利用してターンオフすることができる。
次に交流電圧と直流側電圧の関係について考える。サイリスタ T2 と T3 がオンしている期間は交流電源の (エ) と直流回路の N 母線が同じ電位になるので,そのときの直流側電圧 vd は (オ) と等しくなる。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)(1) T2 と T3 順電圧オン制御デバイス A 端子 交流電圧の逆方向電圧 −v(2) T1 と T4 逆電圧オン制御デバイス B 端子 交流電圧 v(3) T2 と T3 逆電圧オン制御デバイス A 端子 交流電圧の逆方向電圧 −v(4) T1 と T4 順電圧オンオフ制御デバイス B 端子 交流電圧の逆方向電圧 −v(5) T2 と T3 逆電圧オンオフ制御デバイス B 端子 交流電圧 v
【ワンポイント解説】
パワーエレクトロニクスは回路に流れる電流の向きを理解することが重要です。
図1においては正の電圧がかかった時は電流の流れ,電源→ A 端子→ T1 → P 母線→負荷→ N 母線→ T4 → B 端子→電源となります。一方,負の電圧になった時は電流の向きが逆向きになり,電源→ B 端子→ T3 → P 母線→負荷→ N 母線→ T2 → A 端子→電源となります。
したがって,負荷には上方向から下方向の電流しか流れず, vd は常に正の電圧がかかるようになります。
1.ダイオードとサイリスタ
ダイオードは順方向の電圧がかかった時導通(オン)し,逆方向の電圧がかかった時非導通(オフ)となる素子です。
一方サイリスタは順方向の電圧がかかり,ゲートにオン信号が入った時導通(オン)し,ゲートがオフになっても導通し続けます。電流が保持電流以下もしくは逆方向に電圧がかかると非導通(オフ)になります。
したがって,正弦波交流を与えた場合,ゲートのオン信号を与えるタイミングによって,図3のように制御角αを変えることができ,出力を調整できるので,電力変換器に広く用いられています。
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【解答】
解答:(3)
(ア)
交流電圧の位相が π<ωt<2π である時,電源電圧は負であるから,回路は電源→ B 端子→ T3 → P 母線→負荷→ N 母線→ T2 → A 端子→電源のように電流が流れます。したがって,導通するのは T2 と T3 となります。
(イ)
電源電圧が負になった時, T4 導通する向きとは逆の電圧,すなわち逆電圧がかかります。
(ウ)
ワンポイント解説「1.ダイオードとサイリスタ」の通り,サイリスタはオン制御デバイスで,オンになるタイミングをゲート信号で制御します。
(エ)
T2 と T3 がオンになっている時は,負の電圧になった時なので,電流は電源→ B 端子→ T3 → P 母線→負荷→ N 母線→ T2 → A 端子→電源となります。したがって, N 母線と電圧が等しいのは A 端子となります。
(オ)
今回の条件においては電源は負の電圧がかかり, vd は正の電圧がかかるので, vd は逆方向の −v となります。