【問題】
【難易度】★★★★★(難しい)
次の表及び文章は,ある一般電気事業者(現:一般送配電事業者)の電力系統全体にわたる停電事故(全停事故)が発生した場合の復旧手順と留意事項について,その概要を記述したものである。\( \ \mathrm {A} \ \),\( \ \mathrm {B} \ \),\( \ \mathrm {C} \ \),\( \ \mathrm {D} \ \)及び\( \ \mathrm {E} \ \)の記号を付した空欄に記入すべき事項・語句を,次の解答方法に従って答案用紙に記入しなさい。
解答方法
\( \ \mathrm {A} \ \):系統全停事故時の初期電源確保手順について記入すること。
\( \ \mathrm {B} \ \):系統を順次復旧する際の留意事項について記入すること。
\( \ \mathrm {C} \ \):負荷への送電を行う際の留意事項について記入すること。
\( \ \mathrm {D,E} \ \):適切な語句を記入すること。
なお,全停事故の場合においても火力発電所の中には,系統からの解列により送電不能となった場合でも,所内負荷をもって\( \ \fbox {$\hskip 1em $ $\mathrm {D}$ $\hskip 1em $} \ \)を行うことにより,系統の復旧時に\( \ \fbox {$\hskip 1em $ $\mathrm {E}$ $\hskip 1em $} \ \)し,電力供給を数時間でできる機能のあるものもある。
【ワンポイント解説】
電力系統全体にわたる停電事故(全停事故)が発生した場合の復旧手順と留意事項に関する問題です。
近年は日本での大規模停電事故の発生は非常に少ないですが,電力関係の技術員の方は確実に理解しておく必要があります。
一方で,電力会社で系統運用や発電等の実務をされている方以外はほぼ解答不可能な問題かなと思います。
【解答】
\( \ \mathrm {A} \ \):系統全停事故時の初期電源確保手順
(ポイント)
・日本において全体が停電することは非常に可能性が低く,基本的には健全な隣接系統からの受電を行うことで復旧を行います。
(試験センター解答例)
健全な隣接系統からの受電により,自系統内の停止した発電所の起動電源を確保することが一般的であるが,他系統からの受電が不可能な場合には,予め定めた発電所による試送電を行う。
\( \ \mathrm {B} \ \):系統を順次復旧する際の留意事項
(ポイント)
・「初期電源の確保における留意事項」にも記載がありますが,復旧の際には適正電圧を保ちつつ充電を行っていく必要があります。特に系統を復旧する際には線路充電容量により電圧上昇をする可能性があります。
(試験センター解答例)
線路充電容量による電圧上昇に注意する必要があり,分路リアクトルなどを使用して適正電圧を保ちつつ充電を行う。
\( \ \mathrm {C} \ \):負荷への送電を行う際の留意事項
(ポイント)
・発電電力と負荷のアンバランスにより,周波数が変化するため,周波数を維持していく必要があります。
・特に負荷が軽い場合にはわずかな負荷変化でも大きく周波数が変化してしまうため注意が必要です。
(試験センター解答例)
供給力の増加に応じた負荷への送電を行い,周波数の維持に努める。
\( \ \mathrm {D,E} \ \):適切な語句
(ポイント)
・火力発電所は基本的には常時\( \ 1 \ \)台以上運転しておりますが,万一災害等により全停してしまった場合には非常用のボイラや発電機等により所内負荷をもって単独運転を行い,系統へ並列できるようになっています。
(試験センター解答例)
\( \ \mathrm {D} \ \):単独運転
\( \ \mathrm {E} \ \):並列,連系














愛知県出身 愛称たけちゃん