《機械》〈電動機応用〉[H18:問1]風力発電用発電機に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,風力発電用発電機に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる語句を解答群の中から選び,その記号をマークシートに記入しなさい。

風力発電用発電機には,三相誘導発電機及び三相同期発電機が採用されているが,原動機となる風車は風速によって回転数が変化するので,風車のエネルギーを効率良く電気エネルギーに変換するためには,回転数変化に対する発電機側での制御が必要となる。

\( \ \mathrm {a.} \ \)三相かご形誘導発電機は,外部の\( \ \fbox {  (1)  } \ \)装置を必要とせず構造が簡単で安価なため,増速歯車を有する風力発電設備に多く採用されている。通常,風速変化に伴う風車の定回転数制御は,風車羽根のピッチ制御により行われる。この方式では,回転数の変化によって滑りが変化しエネルギ一変換効率も変化するので,大幅な回転数変化に対しては,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)切換による同期速度の変更を行う。

\( \ \mathrm {b.} \ \)三相巻線形誘導発電機を用いる場合は,風車羽恨のピッチ制御を行うとともに,回転子の二次誘起電圧に同期した適切な大きさ及び位相の電圧を外部から加える\( \ \fbox {  (3)  } \ \)励磁方式が採用されている。この方式では,外部から印加する励磁周波数と電圧を制御することによって,滑りを適切な値に保ちながら風車の回転数変化に合わせて同期速度への対応を行うことができ,\( \ \fbox {  (4)  } \ \)の制御もできる。

\( \ \mathrm {c.} \ \)増速歯車を使用しない風力発電では同期発電機が使用されるが,風車の回転数に応じて,励磁電流の制御が行われる。基本的に\( \ \fbox {  (5)  } \ \)運転となるため,商用電力系統との並列運転と潮流制御はインバータで行われる。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 単 独     &(ロ)& 一 次     &(ハ)& 力 率 \\[ 5pt ] &(ニ)& 抵 抗     &(ホ)& V / f \ 制御     &(ヘ)& 極 数 \\[ 5pt ] &(ト)& 逆 相        &(チ)& 回 生     &(リ)& 非同期 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 高調波     &(ル)& 二 次     &(ヲ)& 同 期 \\[ 5pt ] &(ワ)& 極 性     &(カ)& 励 磁     &(ヨ)& 励磁突流 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

風力発電システムで使用される発電機に関する問題です。
風力発電システムでは,風速の変化(風車の回転速度変化)に対して効率よく発電し,かつ安定した電力を系統へ連系するための制御が重要です。本問で問われている\( \ 3 \ \)つの発電機については各発電機の特性を理解しておくことが重要ですので,わからないという方は\( \ 2 \ \)種までに学習したテキストを復習しておくようにして下さい。

1.風力発電に使用される発電機の種類
風力発電は風速の変動に合わせて効率よく発電する必要があり,使用される発電機には以下の3つがあります。

①三相かご形誘導発電機
回転子がかご形の誘導発電機を用いる方式です。誘導発電機は系統から供給される励磁電流によって励磁されるため,同期機のような直流電源による外部の励磁装置を必要とせず,構造が簡単で安価,メンテナンス性に優れるというメリットがあります。しかし,励磁電流を系統から取るため,端子電圧を単体で確立することができず,系統に接続しないと発電することができません。また,発電機自身が無効電力の調整機能を持たず風速が変化すると有効電力とともに無効電力も変化してしまい,電圧変動が発生するといった問題があります。さらに,系統に連系する際に突入電流により瞬時電圧低下を発生する恐れがあるため,ソフトスタート装置等の対応が必要となります。
基本的には系統周波数に固定された定速運転を行いますが,大きな風速変化に対しては,固定子巻線の極数切換を行い,同期速度を段階的に切り替えて対応する方法もあります。

②三相巻線形誘導発電機(二重給電誘導発電機)
回転子が巻線構造になっており,スリップリングを介して外部のインバータから回転子の二次巻線へ,滑り周波数(\( \ sf \ \))に同期した適切な大きさ・位相の電圧を印加(二次励磁)する方式です。
外部から印加する励磁周波数や電圧を制御することで,風速の変化に合わせて滑りを最適な値に保ちながら広範囲な可変速運転が可能です。さらに,印加する電流の位相を制御することで,有効電力とは独立して無効電力を調整できるため,系統へ供給する力率の制御も可能となります。


出典:株式会社インプレス HP
URL:https://sgforum.impress.co.jp/article/1370

③同期発電機
増速歯車を使用せず,低速多極の同期発電機を風車に直接連結する方式です。風車の回転速度に応じて発電機が回転するため,発生する交流の周波数は絶えず変動し,系統に対しては非同期運転となります。同期機なので界磁電流により端子電圧を確立でき,遅れから進みまで無効電力を調整して力率を調整することが可能です。また,無効電力を調整できるので風速変化により有効電力が変化しても,無効電力を一定に保つことができ,電圧変動の問題が発生しません。したがって,系統に並列しない自立運転も可能となります。
ただし,誘導発電機に比べ構造が複雑であり,価格も高くなります。
系統とそのまま並列すると回転数が系統の周波数に依存してしまうので,系統に並列する場合は一般に交直変換器を用いて一旦直流に変換したのち再度交流に変換する直流リンク方式(\( \ \mathrm {DC} \ \)リンク方式)という方法がとられます。

【解答】

(1)解答:カ
題意より解答候補は,(ホ)\( \ V / f \ \)制御,(ヲ)同期,(カ)励磁,等になると思います。
ワンポイント解説「1.風力発電に使用される発電機の種類」の通り,三相かご形誘導発電機は,外部の励磁装置が不要となります。

(2)解答:ヘ
題意より解答候補は,(イ)単独,(ニ)抵抗,(ヘ)極数,(ワ)極性,等になると思います。
ワンポイント解説「1.風力発電に使用される発電機の種類」の通り,三相かご形誘導発電機においては,大幅な回転数変化に対しては,極数切換による同期速度の変更を行います。「同期速度の変更」となっているのが大きなヒントとなっています。

(3)解答:ル
題意より解答候補は,(ロ)一次,(ル)二次,等になると思います。
ワンポイント解説「1.風力発電に使用される発電機の種類」の通り,三相巻線形誘導発電機を用いる場合は,二次誘起電圧に同期した適切な大きさ及び位相の電圧を外部から加える二次励磁方式が採用されています。

(4)解答:ハ
題意より解答候補は,(ハ)力率,(ト)逆相,(チ)回生,(カ)励磁,等になると思います。
ワンポイント解説「1.風力発電に使用される発電機の種類」の通り,三相巻線形誘導発電機を用いる場合は,力率の制御も行うことができます。

(5)解答:リ
題意より解答候補は,(イ)単独,(チ)回生,(リ)非同期,(ヲ)同期,等になると思います。
ワンポイント解説「1.風力発電に使用される発電機の種類」の通り,同期発電機を用いる場合には,基本的に非同期運転となります。



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