《理論》〈電磁気〉[H23:問5] 静電容量と接地抵抗に関する計算問題

【問題】

【難易度】★☆☆☆☆(易しい)

次の文章は,静電容量と接地抵抗に関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

図1で示すように,半径\(a\)の導体球の周囲は,誘電率\(\varepsilon\)の一様な誘電体で満たされている。導体球は電荷\(\mathrm {+Q}\)に帯電している。球の周囲の電界\(E\)は,球の中心からの距離を\(r(r>a)\)とすると,\(\fbox {  (1)  }\)であり,無限遠を零としたときの電位\(V\)は\(\fbox {  (2)  }\)と求められるから,無限遠と導体球間の静電容量\(C\)は\(\fbox {  (3)  }\)である。これらの式の導出は,以下の三つの基本式
\[
Q=CV,  Q=\int _{s}D\cdot dS,  D=\varepsilon E
\] のもとに導出される結果である。ただし,\(D\)は電束密度ベクトル,\(E\)は電界ベクトルであり,導体球を囲む任意の閉曲面\(S\)上の面素ベクトルを\(dS\)とする。
次に,図2に示すように,導体球の周囲が導電率\(\sigma\)の一様な抵抗体で満たされているとすると,抵抗体には以下の三つの基本式が成り立つ。
\[
V=RI,  I=\int _{s}J\cdot dS,  J=\sigma E
\] ただし,\(R\)は抵抗,\(I\)は電流,\(J\)は電流密度ベクトルである。これらの基本式の相似性から,無限遠と導体球間の抵抗\(R\)は
\(\fbox {  (4)  }\)と求めることができる。
この結果より,導電率\(2.0\times 10^{-2}\left[ \mathrm{S/m}\right]\)の大地表面に図3のように半径\(1.25\left[ \mathrm {m}\right]\)の導体半球電極を埋め込んだときの接地抵抗は\(\fbox {  (5)  }\left[ \Omega\right]\)である。半球の場合,有効な表面積は半分になることに注意せよ。

〔問5の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& \frac {Q}{2\pi \varepsilon a}   &(ロ)& \frac {Q}{2\pi \varepsilon }\ln \frac {r}{a}   &(ハ)& 4\pi \varepsilon a \\[ 5pt ] &(ニ)& 6.4   &(ホ)& 4\pi \sigma a   &(ヘ)& \frac {1}{4\pi \sigma a} \\[ 5pt ] &(ト)& 2\pi \varepsilon \ln \frac {r}{a}   &(チ)& \frac {Q}{2\pi \varepsilon r}   &(リ)& \frac {1}{2\pi \sigma a} \\[ 5pt ] &(ヌ)& \frac {Q}{2\pi \varepsilon r^{2}}   &(ル)& 2\pi \varepsilon a   &(ヲ)& 3.2 \\[ 5pt ] &(ワ)& \frac {Q}{4\pi \varepsilon r^{2}}   &(カ)& 0.16   &(ヨ)& \frac {Q}{4\pi \varepsilon a}
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

(1)~(4)までは電磁気の基本的な問題で確実に得点しておきたいところです。(5)も表面積が\(\frac{1}{2}\)倍になることに注意すれば、簡単に導出することができます。配点も高く公式も与えられているため、電験一種としては取りこぼしの許されないサービス問題と言えるでしょう。

【解答】

(1)解答:ワ
題意より,\(Q=\int _{s}D\cdot dS=\int _{s}\varepsilon E\cdot dS\)であるから,電気力線\(\frac {Q}{\varepsilon }\)は,
\[
\frac {Q}{\varepsilon }=\int _{s} E\cdot dS
\] となる。半径\(r\)の球の表面積は\(4\pi r^{2}\)であるから,上式は,
\[
\frac {Q}{\varepsilon }=4\pi r^{2}E
\] と変形できる。よって電界\(E\)は,
\[
E=\frac {Q}{4\pi\varepsilon r^{2}}
\]

(2)解答:ヨ
導体表面の電位\(V\)は無限遠の電位を零とすると,
\[
\begin{eqnarray}
V&=&-\int ^{a}_{\infty }Edr=-\int ^{a}_{\infty }\frac {Q}{4\pi\varepsilon r^{2}}dr \\[ 5pt ] &=&-\frac {Q}{4\pi\varepsilon }\int ^{a}_{\infty }\frac {1}{r^{2}}dr \\[ 5pt ] &=&-\frac {Q}{4\pi\varepsilon }\left[ -\frac {1}{r}\right] ^{a}_{\infty } \\[ 5pt ] &=&-\frac {Q}{4\pi\varepsilon }\left[ -\frac {1}{a}+0\right] \\[ 5pt ] &=&\frac {Q}{4\pi\varepsilon a}
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(3)解答:ハ
(2)より静電容量は,
\[
C=\frac {Q}{V}=4\pi\varepsilon a
\] となる。

(4)解答:ヘ
(1),(2),(3)と同様に,
\[
\begin{eqnarray}
I&=&\int _{s}J\cdot dS \\[ 5pt ] &=&\int _{s}\sigma E\cdot dS \\[ 5pt ] &=&4\pi\sigma r^{2}E
\end{eqnarray}
\] であるから,
\[
E=\frac {I}{4\pi\sigma r^{2}}
\] となるので,
\[
V=-\int ^{a}_{\infty }Edr=\frac {I}{4\pi\sigma a}
\] となる。したがって,
\[
R=\frac {V}{I}=\frac {1}{4\pi\sigma a}
\] と求められる。

(5)解答:ニ
半球の時の有効面積は球の半分すなわち\(2\pi r^{2}\)となるため,
\[
R=\frac {1}{2\pi\sigma a}
\] となる。各値を代入すると,
\[
R=\frac {1}{2\pi \times 2.0\times 10^{-2}\times 1.25}\simeq6.4
\] と求められる。



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