《理論》〈電磁気〉[H29:問1] コイルに関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,コイルに関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

空気中の広い空間にインダクタンス\(L_{0}\)のコイルがあり,理想的な電流源に接続され,常に一定の電流\(I\)が流れている。コイルの巻線抵抗は無視できるものとする。このとき,コイルに蓄えられているエネルギーは\(\fbox {  (1)  }\)である。
次に,十分遠方にある鉄片を,図のように時刻\(t=0\)からコイルにゆっくりと近付けることでコイルのインダクタンス\(L(t)\)を時間変化させ,\(t=T\)で鉄片の動きを止めた。ただし,鉄片の磁束の飽和やヒステリシス特性は無視できるものとする。\(t=0~T\)の間,図に示された向きでコイルの電圧\(v(t)\)と測定すれば,電磁誘導の法則から\(v(t)=\fbox {  (2)  }\)が成り立つので,インダクタンス\(L(t)\)は\(v(t)\)を用いて\(L(t)=\fbox {  (3)  }\)の式で計算できることが分かる。
\(L(T)=L_{1}\)とすると,\(t=0~T\)の間に電流源から供給されるエネルギーは\(\fbox {  (4)  }\)であり,鉄片の動きによりコイルが外部にした仕事量は\(\fbox {  (5)  }\)である。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& \frac {1}{2}(L_{1}-L_{0})I^{2}   &(ロ)& \frac {v(t)T}{I}   &(ハ)& \frac {2}{3}(L_{1}-L_{0})I^{2} \\[ 5pt ] &(ニ)& L_{0}+\frac {1}{I}\int ^{t}_{0}v(\tau )d\tau   &(ホ)& \frac {L(t)I}{T}   &(ヘ)& \frac {3}{2}(L_{1}-L_{0})I^{2} \\[ 5pt ] &(ト)& \frac {1}{2}L_{0}I^{2}   &(チ)& \frac {1}{I}\int ^{t}_{0}v(\tau )d\tau   &(リ)& 0 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 2(L_{1}-L_{0})I^{2}   &(ル)& 2L_{0}I^{2}   &(ヲ)& L_{0}I^{2} \\[ 5pt ] &(ワ)& \frac {d}{dt}[L(t)I]   &(カ)& (L_{1}-L_{0})I^{2}   &(ヨ)& \frac {d^{2}}{dt^{2}}[L(t)TI] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

コイルに蓄えられるエネルギーに関する問題で,近年あまり見たことがない問題です。ただし,内容自体はそれほど難易度が高いものではないので,落ち着いて解いていきましょう。

1.コイルに蓄えられるエネルギー\(W\)
インダクタンス\(L\)に電流\(I\)を流すことにより蓄えられるエネルギー\(W\)は,
\[
W=\frac {1}{2}LI^{2}
\] となります。

2.コイルに発生する電圧\(v(t)\)
インダクタンス\(L(t)\)に一定電流\(I\)を流すことにより発生する電圧\(v(t)\)は,
\[
v(t)=\frac {dL(t)}{dt}I
\] となります。

【解答】

(1)解答:ト
最初にコイルに蓄えられているエネルギー\(W_{0}\)は,
\[
W_{0}=\frac {1}{2}L_{0}I^{2}
\] となる。

(2)解答:ワ
\(t=0~T\)の間,コイルに発生する電圧は,
\[
v(t)=\frac {dL(t)}{dt}I=\frac {d}{dt}[L(t)I] \] となる。

(3)解答:ニ
(2)より,\(\displaystyle v(t)=\frac {dL(t)}{dt}I\)であるから,式を変形すると,
\[
dL(t)=\frac {1}{I}v(t)dt
\] となり,両辺を積分すると,
\[
L(t)=\frac {1}{I}\int ^{t}_{0}v(\tau )d\tau +C (Cは積分定数)
\] となる。ここで,題意より\(L(0)=L_{0}\)であるから,\(C=L_{0}\)となるため,
\[
L(t)=L_{0}+\frac {1}{I}\int ^{t}_{0}v(\tau )d\tau
\] と求められる。

(4)解答:カ
\(t=0~T\)の間に電流源から供給されるエネルギー\(W\)は,
\[
W=\int ^{T}_{0} v(t)Idt
\] となり,(1)より\(\displaystyle v(t)=\frac {dL(t)}{dt}I\)であり,インダクタンスは\(t=0\)の時\(L_{0}\),\(t=T\)の時\(L_{1}\)であるから,
\[
\begin{eqnarray}
W &=& \int ^{T}_{0} v(t)Idt &=& \int ^{L_{1}}_{L_{0}} \frac {dL(t)}{dt}I\cdot Idt &=& \int ^{L_{1}}_{L_{0}} I^{2}dL(t)
\end{eqnarray}
\] となり,これを計算すると,
\[
\begin{eqnarray}
W &=& \left[ L(t)\right] ^{L_{1}}_{L_{0}} I^{2} \\[ 5pt ] &=& (L_{1}-L_{0}) I^{2}
\end{eqnarray}
\] となる。

(5)解答:イ
インダクタンスが\(t=0\)の時\(L_{0}\),\(t=T\)の時\(L_{1}\)であるから,鉄片の動きによりコイルが外部にした仕事量\(W_{o}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
W_{o} &=& \frac {1}{2}L_{1}I^{2}-\frac {1}{2}L_{0}I^{2} \\[ 5pt ] &=& \frac {1}{2}(L_{1}-L_{0})I^{2}
\end{eqnarray}
\] と求められる。



記事下のシェアタイトル