《理論》〈電磁気〉[H29:問2] 同軸円筒中の電界に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,同軸円筒中の電界に関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。なお,円筒の端部が電界に及ぼす効果は無視できるものとする。

図のような長さ\(L\),外半径\(a\)の内部導体と,長さ\(L\),内半径\(4a\)の外側導体が中心軸を同じくして配置され,同軸円筒を構成している。内側導体と外側導体の間の空間は,図のように半径\(2a\)を境に,誘電率\(\varepsilon \)の誘電体1と誘電率\(0.2\varepsilon \)の誘電体2で満たされている。
このような誘電体の内部には,径方向の電界のみが発生する。内側導体に正の電荷\(+Q\),外側導体に負の電荷\(-Q\)を与えた場合の誘電体内部の電界分布を,円筒状の閉曲面にガウスの法則を適用して求めると,誘電体1の内部の電界の大きさは\(E_{1}=\fbox {  (1)  }\),誘電体2の内部の電界の大きさは\(E_{2}=\fbox {  (2)  }\)と表され,電界の大きさが最大となるのは,\(\fbox {  (3)  }\)である。
誘電体1の内側境界に対する外側境界の電位\(V_{1}\)は,電界を半径\(r\)方向に積分して,\(\displaystyle V_{1}=-\int ^{2a}_{a}E_{1}dr=\fbox {  (4)  }\)と求められる。同様に,誘電体2の内部境界に対する外側境界の電位\(V_{2}\)を求めると\(V_{2}=5V_{1}\)となるので,この同軸円筒状の導体及び誘電体全体をコンデンサとみなしたときの容量は\(\fbox {  (5)  }\)と求められる。

〔問2の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& -\frac {Qa}{2\pi \varepsilon L}   &(ロ)& \frac {5Q}{2\pi \varepsilon L}   &(ハ)& \frac {\pi \varepsilon L}{3\ln 2} \\[ 5pt ] &(ニ)& 誘電体1と誘電体2の境界   &(ホ)& \frac {Q}{2\pi \varepsilon L}   &(ヘ)& -\frac {Q}{2\pi \varepsilon L}\ln 2 \\[ 5pt ] &(ト)& 誘電体2と外側導体の境界   &(チ)& \frac {5Q}{4\pi \varepsilon L}\frac {1}{r^{2}}   &(リ)& \frac {Q}{4\pi \varepsilon L}\frac {1}{r^{2}} \\[ 5pt ] &(ヌ)& 内側導体と誘電体1の境界   &(ル)& \frac {Q}{2\pi \varepsilon L}\frac {1}{r}   &(ヲ)& \frac {\pi \varepsilon L}{3a} \\[ 5pt ] &(ワ)& \frac {5Q}{2\pi \varepsilon L}\frac {1}{r}   &(カ)& -\frac {Q}{8\pi \varepsilon L}\frac {1}{a}   &(ヨ)& \frac {16\pi \varepsilon La}{7}
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

数年に一度出題されるような問題です。本問は近年出題された問題ではかなり易しい部類に入ると思います。確実に理解して試験に臨むようにして下さい。

1.ガウスの定理
電荷\(Q\)から出る電気力線の本数は\(\displaystyle \frac {Q}{\varepsilon }\)であり,電界\(E\)との関係で,
\[
\int _{S}EdS= \frac {Q}{\varepsilon }
\] の関係があります。式中の\(\displaystyle \int _{S}\)は面積積分で,本問において,面積は,
\[
S=2\pi rL
\] となるので,左辺は,
\[
\int _{S}EdS=2\pi rLE
\] となります。

2.電位\(V\)と電界\(E\)の関係
電界の大きさ\(E(r)\)で表せるとき,中心から\(a\)の地点と\(b\)の地点の電位差は,
\[
V=-\int ^{b}_{a}E(r)dr
\] となります。

【解答】

(1)解答:ル
ガウスの定理より,誘電体1の内部での中心から\(r\)の地点での電界\(E_{1}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
2\pi r LE_{1}&=&\frac {Q}{\varepsilon } \\[ 5pt ] ⇔  E_{1}&=&\frac {Q}{2\pi \varepsilon L}\frac {1}{r}
\end{eqnarray} 
\] と求められる。

(2)解答:ワ
(1)と同様に,誘電体2の内部での中心から\(r\)の地点での電界\(E_{2}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
2\pi r LE_{2}&=&\frac {Q}{0.2\varepsilon } \\[ 5pt ] ⇔  E_{2}&=&\frac {5Q}{2\pi \varepsilon L}\frac {1}{r}
\end{eqnarray} 
\] と求められる。

(3)解答:ニ
(1),(2)より,電界の大きさが最大となるのは,内側導体と誘電体1の境界すなわち\(r=a\)の時,もしくは誘電体1と誘電体2の境界すなわち\(r=2a\)の時である。それぞれの電界を求めると,
\[
E_{1}(a)=\frac {Q}{2\pi \varepsilon L}\frac {1}{a}
\] \[
E_{2}(2a)=\frac {5Q}{2\pi \varepsilon L}\frac {1}{2a}=\frac {5Q}{4\pi \varepsilon L}\frac {1}{a}
\] となるため,誘電体1と誘電体2の境界が最も電界の大きさが大きくなる。

(4)解答:ヘ
題意より,誘電体1の内側境界に対する外側境界の電位\(V_{1}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
V_{1}&=&-\int ^{2a}_{a}E_{1}dr \\[ 5pt ] &=&-\int ^{2a}_{a}\frac {Q}{2\pi \varepsilon L}\frac {1}{r} dr \\[ 5pt ] &=&-\frac {Q}{2\pi \varepsilon L}\left[ \ln r \right]^{2a}_{a} \\[ 5pt ] &=&-\frac {Q}{2\pi \varepsilon L}(\ln 2a -\ln a) \\[ 5pt ] &=&-\frac {Q}{2\pi \varepsilon L}\ln 2
\end{eqnarray} 
\] と求められる。

(5)解答:ハ
題意より,\(V_{2}=5V_{1}\)であるから,コンデンサの容量\(C\)は,
\[
\begin{eqnarray}
C&=&\left| \frac {Q}{V}\right| \\[ 5pt ] &=&\left| \frac {Q}{V_{1}+V_{2}}\right| \\[ 5pt ] &=&\left| \frac {Q}{6V_{1}}\right| \\[ 5pt ] &=&\frac {Q}{6}\cdot \frac {2\pi \varepsilon L}{Q\ln 2} \\[ 5pt ] &=&\frac {\pi \varepsilon L}{3\ln 2}
\end{eqnarray}
\] と求められる。



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