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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
再生可能エネルギーに関して,次の問に答えよ。
(1) 総合エネルギー統計によれば,令和2年度(\( \ 2020 \ \)年度)の日本の総発電電力量は約\( \ 1 \ \)兆\( \ \mathrm {kW\cdot h} \ \)である。このうち,再生可能エネルギーの発電電力量の占める割合は約何割であるか,有効数字一桁で答えよ。
(2) 温室効果ガスの排出削減のため,今後も再生可能エネルギーを最大限導入する必要がある。この場合において,太陽光発電及び風力発電の導入拡大を図っていくに当たって,電力系統に生じる技術的課題を電力需給,送配電設備容量及び安定度の三つの視点から,それぞれについて\( \ 70 \ \)字程度で述べよ。
【ワンポイント解説】
再生可能エネルギーの時事問題とその技術的課題に関する問題です。
今後\( \ 2050 \ \)年のカーボンニュートラルを目指す政府のエネルギー政策に関する問題なので,今後も再出題される可能性があります。
経済産業省の再エネ政策資料は一読しておくと良いでしょう。
【解答】
(1)再生可能エネルギーの発電電力量の占める割合
(ポイント)
・\( \ 2012 \ \)年から開始した再生可能エネルギーの固定価格買取制度\( \ \left( \mathrm {FIT} \right) \ \)により再生可能エネルギーの割合は増加しました。
・自然エネルギー庁の資料によれば,再生可能エネルギーの電源構成比は\( \ 2011 \ \)年の約\( \ 11 \ \)%から\( \ 2020 \ \)年には約\( \ 20 \ \)%に増加し,\( \ 2030 \ \)年には\( \ 36~38 \ \)%に到達したいとしています。
(試験センター解答)
\( \ 2 \ \)割
(2)太陽光発電及び風力発電の導入拡大を図っていくに当たって,電力系統に生じる技術的課題
(ポイント)
・太陽光発電も風力発電も天候に大きく左右される特徴があり,需給バランスを取ることが難しい電源です。
・太陽光発電も風力発電も基本的には需要地区から離れた場所,特に土地が安いところに建てやすいという特徴があるので,送電線や変電所の設備容量が不足し連系に大きなコストが生じる可能性があります。
・既存の火力発電の割合が減少することで,需給の調整や事故時の系統バランス調整を小さな電源で行わなければならないようになってしまいます。
(試験センター解答)
①電力需給
再生可能エネルギーの発電量は,天候や季節により変動してコントロールが難しいため,調整力が不足すると需給バランスに問題が生じる。
②送配電設備容量
電力需要が少ないエリアなどで再生可能エネルギーが大量に導入されると,既存の一部の送電線や連系線の設備容量が不足し,送電に問題が生じる。
③安定度
非同期電源である太陽光発電などが大量に導入され,火力発電等の同期電源の割合が減少すると,系統全体の慣性力・同期化力が減少し,事故時の安定度に問題が生じる。