《電力・管理》〈火力〉[H27:問1]大容量のタービン発電機に採用される冷却方式に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

大容量のタービン発電機に採用される冷却方式に関して,次の問に答えよ。

(1) 水素冷却方式が採用される理由を水素ガスの特徴を挙げて述べよ。
  また,安全上留意すべき事項を述べよ。

(2) 固定子水冷却方式が採用される理由を水の特徴を挙げて述べよ。

【ワンポイント解説】

(1)は基本問題ですが,(2)は近年の火力発電所の大型化に伴い採用されるようになった方式で,電験のテキストにはあまり掲載されていない内容かと思います。

【解答】

(1)水素冷却方式が採用される理由と安全上留意すべき事項
(ポイント)
・水素は空気より密度が小さいため風損がすくなく,効率が0.5~1.0%程度上昇する。
・水素は空気より冷却効果が高く,発電機を小型化できる。
・水素は空気より不活性であり,コイルの絶縁寿命が長くなる。
・空気との混合で爆発範囲が4~75%ととても大きいので,水素濃度監視に注意を要する。

(試験センター解答例)
空気と比較して水素ガスは密度が小さいため風損が小さく発電機効率を向上させることができるほか,熱伝導率,比熱が大きいので冷却効果が高く,発電機の小型化を図ることができる。さらに,加圧して用いることにより,熱容量,熱伝達率が大きくなり,より大きな冷却能力を発揮できる。また,水素ガスは不活性であるため,絶縁物の劣化影響が少ない。以上のように,発電機の機械寸法の大幅な増大を抑えることができるなどの利点があるため,大容量のタービン発電機では,水素冷却方式が採用される。

また,安全上留意すべき事項については以下のとおり。

火源があっても酸素がないと燃焼は起こらないが,水素と空気が混合した場合,ある水素濃度の範囲では爆発性になるので,これを防ぐため発電機内部の水素濃度をその範囲よりもある程度高く保つ必要がある。また,発電機内の水素ガスが軸に沿って機外に漏れないようにする必要があり,軸受内部に油膜によるシール機構を施し,ガス漏れを防いでいる。

(2)固定子水冷却方式が採用される理由
(ポイント)
・近年の火力発電所大型化に伴い,更なる固定子冷却効果の高い媒体が求められた。
・水素のガス圧力上昇によりある程度冷却効果増大は望めるが,それ以上の出力増加が求められた。

(試験センター解答例)
水は空気や水素と比較して熱容量,熱伝達率が大きく冷却効果が高いので,大容量のタービン発電機では,固定子(電機子巻線)水冷却方式が採用される。



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