《電力》〈変電〉[R02:問7]発電所及び変電所に設置する開閉設備に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,発変電所に設置する開閉設備に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

遮断器は,平常時は電力の送電及び停止の際に\( \ \fbox {  (1)  } \ \)電流を開閉するために用いられており,送配電線や発変電所内の機器に短絡・地絡が発生した際は\( \ \fbox {  (2)  } \ \)電流を遮断するために用いられる。

\( \ \fbox {  (3)  } \ \)は,発変電所内の回路の保守作業を行う際に安全のために作業箇所を電圧のある回路から切り離すことなどに用いられる。一般的に\( \ \fbox {  (3)  } \ \)は,単に電圧が加わっている回路で電流が流れていないときに開閉できるが,変圧器の\( \ \fbox {  (4)  } \ \)電流や送電線の充電電流,複母線の場合において甲母線から乙母線に運転を切り替えるときに流れる\( \ \fbox {  (5)  } \ \)電流などの開閉ならば行うことができる。

〔問7の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 短時間耐     &(ロ)& 励磁     &(ハ)& サージ \\[ 5pt ] &(ニ)& \mathrm {MCCB}     &(ホ)& インラッシュ     &(ヘ)& 誘導 \\[ 5pt ] &(ト)& 断路器     &(チ)& 故障     &(リ)& タップ \\[ 5pt ] &(ヌ)& ループ     &(ル)& 負荷     &(ヲ)& 逆相 \\[ 5pt ] &(ワ)& 接地開閉器     &(カ)& 零相     &(ヨ)& スイッチング \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

開閉設備に関する問題です。発変電所では遮断器と断路器を安全性とコストパフォーマンスを考えて組合せて使用しています。
(1)と(2)の選択肢は内容を理解していても選択を迷うかもしれませんが,\( \ 3 \ \)種の参考書でも多く取り扱う内容なので,間違えても1つぐらいには留めておきたい問題です。

1.遮断器,開閉器,断路器
断路器,開閉器,遮断器はいずれも開閉設備ですが,用途が異なるためそれぞれの遮断できる電流値が異なります。
電験では細かな構造等は出題されませんが,その違いを理解しておくようにしましょう。
①遮断器
電路の開閉を行う装置の中で,最も大きな電流を開閉できる装置です。
通常運転時の電流のみでなく,短絡・地絡事故時に発生する故障電流を遮断して,事故箇所を切り離す役割があります。
電路開閉時にアークが発生するため,アークを消弧する機能を有し,その方法により,ガス遮断器,真空遮断器,空気遮断器,油遮断器,磁気遮断器等があります。
現在は\( \ \mathrm {SF_{6}} \ \)ガスをアークに吹き付け消弧するガス遮断器と真空バルブ内でアークを拡散させて消弧する真空遮断器が主流であり,電験でも出題が多いのはガス遮断器真空遮断器に関する内容です。

②開閉器
通常運転時の負荷電流は遮断することは可能ですが,事故時の故障電流は遮断することができない開閉装置です。
発変電所等の特別高圧ではなく,配電線路での開閉に使用されることが多い設備です。
気中開閉器\( \ \left( \mathrm {PAS} \right) \ \)や真空開閉器\( \ \left( \mathrm {VCS} \right) \ \),ガス開閉器\( \ \left( \mathrm {PGS} \right) \ \)等があります
電験では配電の内容である,高圧カットアウトや区分開閉器に関する問題が出題されることが多いです。

③断路器
通電時には開閉できず,電流が流れていないときに開閉可能な開閉装置です。ただし,変圧器の励磁電流等の小さな電流は開閉することが可能です。
電路の保守作業を行う際等に作業箇所を切り離すために開閉することが多いです。
遮断器とセットで使用されることが多く,送電停止時には遮断器を開放してから断路器を開放し,送電開始時には断路器を投入してから遮断器を投入します。

【解答】

(1)解答:ル
題意より解答候補は,(イ)短時間耐,(ロ)励磁,(ハ)サージ,(ホ)インラッシュ,(ヘ)誘導,(チ)故障,(ヌ)ループ,(ル)負荷,(ヲ)逆相,(カ)零相,になると思います。
このうち,「平常時,電力の送電及び停止の際に」開閉する電流は負荷電流となります。

(2)解答:チ
題意より解答候補は,(イ)短時間耐,(ロ)励磁,(ハ)サージ,(ホ)インラッシュ,(ヘ)誘導,(チ)故障,(ヌ)ループ,(ル)負荷,(ヲ)逆相,(カ)零相,になると思います。
「送配電や発変電所内の機器に短絡・地絡が発生した際」に流れる電流は故障電流と呼ばれます。

(3)解答:ト
題意より解答候補は,(ニ)\( \ \mathrm {MCCB} \ \),(ト)断路器,(リ)タップ,(ワ)接地開閉器,になると思います。
このうち,「発変電所内の回路の保守作業を行う際に安全のために作業箇所を電圧のある回路から切り離すこと」に使用されるのは断路器となります。
\( \ \mathrm {MCCB} \ \)は配線用遮断器(Molded Case Circuit Breaker)の略称で,遮断器の仲間になります。
負荷時タップ切換変圧器は変圧器の変圧比を切換え,電圧を調整する装置です。
接地開閉器は発変電所内の回路の保守作業を行う際に安全のために作業箇所を接地するためのものであり,電圧のある回路から切り離すためのものではありません。

(4)解答:ロ
題意より解答候補は,(イ)短時間耐,(ロ)励磁,(ハ)サージ,(ホ)インラッシュ,(ヘ)誘導,(チ)故障,(ヌ)ループ,(ル)負荷,(ヲ)逆相,(カ)零相,になると思います。
このうち,断路器が開閉することができるのは変圧器の励磁電流となります。

(5)解答:ヌ
題意より解答候補は,(イ)短時間耐,(ロ)励磁,(ハ)サージ,(ホ)インラッシュ,(ヘ)誘導,(チ)故障,(ヌ)ループ,(ル)負荷,(ヲ)逆相,(カ)零相,になると思います。
「送電線の充電電流,複母線の場合において甲母線から乙母線に運転を切り替えるとき」には一時的にループ回路になるため,そのときに流れる電流をループ電流といいます。



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