《電力・管理》〈変電〉[H21:問3]変電所の接地設計における接触電圧の検討に関する計算・論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

変電所の接地設計を行う場合,設計基礎データとして建設予定地の面積,土壌固有抵抗と予想最大接地電流が明確にされると,それに伴って具体的に設計を進めることができる。具体的な接地設計に関する次の問に答えよ。

(1) 所要接地抵抗 R [Ω] を決定するに当たり,人体の安全を第一義に考えて,最大接地電流 IE [A] における接地電位の上昇値を,人体が機器ケース等に触れたときに人体に加わる接触電圧の許容値の α 倍以下に収めることとする。

人体に対する電流の許容値 IK [A] と故障継続時間 t [s] の間に
IK=0.116t [A]

の関係式が成立し,人体の抵抗値 RK  1 000 [Ω] ,片足の接地抵抗 RF が地表面付近の土壌固有抵抗 ρs [Ωm] を用いて 3ρs [Ω] で与えられるとき,所要接地抵抗 R が満たすべき条件式を ρs  IE  t  α を用いて表せ。

(2) 変電所の敷地内に敷砂利を敷設する効果について,接地設計の観点から定性的に説明せよ。

【ワンポイント解説】

変電所の接触抵抗に関する問題です。
考え方を知っていれば比較的解きやすい問題ですが,出題頻度はそれほど高くないため,(1)の内容が解けるかどうかが合否を分けることになるかと思います。
歩幅電圧と接触電圧は一度理解してしまえばそれほど難解ではないので,本問でよく理解しておくようにしましょう。

1.歩幅電圧と接触電圧
①歩幅電圧
 図1に示すように,落雷等により接地極に事故電流が流れた際,大地での電位の傾きにより人体の両足間に加わる電圧をいいます。
 人体の抵抗を RK [Ω] ,片足あたりの大地との抵抗を RF [Ω] とすると,歩幅電圧に対する人体の抵抗は RK+2RF [Ω] となるので,人体に流れる電流の許容値が IK [A] であるとすれば,歩幅電圧の許容値 VK1 [V] は,
VK1=(RK+2RF)IK

となります。

②接触電圧
 図2に示すように,落雷等により接地極に事故電流が流れた際,大地の電位の傾きにより接地した物体に人体が接触した場合に人体に加わる電圧をいいます。
 人体の抵抗を RK [Ω] ,片足あたりの大地との抵抗を RF [Ω] とすると,接触電圧に対する人体の抵抗は RK+12RF [Ω] となるので,人体に流れる電流の許容値が IK [A] であるとすれば,接触電圧の許容値 VK2 [V] は,
VK2=(RK+12RF)IK

となります。

【解答】

(1)所要接地抵抗 R が満たすべき条件式
接触電圧の許容値を VK [V] とすると,ワンポイント解説「1.歩幅電圧と接触電圧」の通り,
VK=(RK+12RF)IK=(1 000+12×3ρs)×0.116t=116+0.174ρst

となり,題意より,所要接地抵抗 R [Ω] を最大接地電流 IE [A] が流れる際の接地電位の上昇値を,接触電圧の許容値の α 倍以下に収めるとなっているので, R [Ω] が満たすべき条件は,
RIEαVKRαVKIE=αIE116+0.174ρst
と求められる。

(2)変電所の敷地内に敷砂利を敷設する効果
(ポイント)
・敷砂利は抵抗率が高いため,足と大地の抵抗 RF を大きくすることが期待できます。

(試験センター解答例)
地表面に固有抵抗が高い敷砂利の層を設け,人体の足と大地間の接触抵抗を増加させることにより,人体に加わる歩幅電圧,接触電圧の許容値を上げることができる。



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