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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
ガスタービン主体に構成されるコンバインドサイクル発電プラントに関して,次の問に答えよ。
(1) 大気温度上昇が最大出力に及ぼす影響について,その理由とともに説明せよ。
(2) 回答(1)に対する改善策を挙げよ。
【ワンポイント解説】
本問の類題は一種や過去問でも出題されています。今後も再出題される可能性がありますので,よく理解しておいて下さい。大気の特徴として,温度が高くなると膨張し,密度が下がるというものがあります。コンバインドサイクルの最大の欠点は夏場一番需要が高い時に出力が下がってしまうということになります。図1に典型的なコンバインドサイクル発電プラントのフローを示します。
【解答】
(1)大気温度上昇が最大出力に及ぼす影響
(ポイント)
・空気は夏場暑くなると膨張するため,空気圧縮機での吸い込み流量が少なくなる。
・空気が減ると燃料が減り,排ガス量が減少するため,蒸気タービンの出力も減る。
(試験センター解答例)
ガスタービン発電は大気温度の上昇によって最大出力が低下する特性がある。ガスタービン動翼入口温度は,高温部品の耐久性によって上限値が定められている。圧縮機が吸入する空気の体積流量はほぼ一定であり,大気温度の上昇により空気密度が低下するため,空気の質量流量が低下する。そのため,投入できる燃料量が減少し,ガスタービン出力は低下する。また,これにより排ガス量も減少することから,排熱回収ボイラで回収する熱量も減少し,蒸気タービン出力も低下するので,コンバインドサイクル発電の最大出力は低下する。
(2)改善策
(ポイント)
・圧縮機空気の入口温度を下げる。→入口に水を噴霧。エバポレータークーラの設置。
・蒸気タービンの出力を上げる。排熱回収ボイラに助燃バーナを設置。
(試験センター解答例)
この対策として,圧縮機入口の空気温度を下げるため,吸気に水を噴霧することで水の蒸発潜熱によって吸気温度を下げ,空気の質量流量を増加し,出力低下を改善する方法や,エバポレータークーラ方式,チラー方式などのガスタービン吸気冷却装置を設置することが挙げられる。また,蒸気タービン出力の低下分を改善するために,排熱回収ボイラに助燃バーナを追設することもある。