《電力・管理》〈水力〉[R02:問1]水車発電機の定格回転速度の選定の考え方に関する計算問題

【問題】

【難易度】★☆☆☆☆(易しい)

水車発電機の定格回転速度の選定の考え方に関して,次の問に答えよ。

周波数\( \ 60 \ \mathrm {Hz} \ \)の系統の地点において,有効落差\( \ 162 \ \mathrm {m} \ \),出力\( \ 40 \ \mathrm {MW} \ \)のフランシス水車\( \ 1 \ \)台を設置する場合,最も適切な水車の定格回転速度\( \ \mathrm {[{min}^{-1}]} \ \)及び発電機の極数を求めたい。

(1) フランシス水車において,適用できる比速度と有効落差の関係が,次式によって表されるとき,次式に基づき算出される回転速度の上限値を求めよ。
\[
\begin{eqnarray}
n_{\mathrm {s}}&≦&\frac {23000}{H+30}+40 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] ただし,\( \ n_{\mathrm {s}} \ \):比速度(\( \ \mathrm {m\cdot kW} \ \)基準),\( \ H \ \):有効落差\( \ \mathrm {[m]} \ \)とする。

なお,比速度\( \ n_{\mathrm {s}} \ \)は,出力\( \ P \ \mathrm {[kW]} \ \),回転速度\( \ N \ \mathrm {[{min}^{-1}]} \ \)としたとき,\( \ n_{\mathrm {s}}=\frac {\displaystyle N\times P^{\frac {1}{2}}}{\displaystyle H^{\frac {5}{4}}} \ \)で与えられる。

(2) 選定すべき定格回転速度を求めよ。また,その理由を\( \ 100 \ \)文字程度で述べよ。

(3) 小問(2)の場合の発電機の極数を導出せよ。

【ワンポイント解説】

水車の比速度及び回転速度に関する問題です。
回転速度はできるだけ高くした方が設備費用等も抑えることが可能となりますが,機械的な制約のため本問のように回転速度の上限値があります。
二次試験合格に向けては,特別難解な公式もなく比速度や回転速度の公式も与えられているので,できれば完答しておきたい問題となります。

1.同期発電機の回転速度\( \ N \ \)
同期発電機は系統と並列運転するために同期速度で運転する必要があります。発電機の極数が\( \ p \ \),系統の周波数が\( \ f \ \mathrm {[Hz]} \ \)の時,同期発電機の回転速度\( \ N \ \mathrm {[{min}^{-1}]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
N &=&\frac {120f}{p} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

【関連する「電気の神髄」記事】

  水力発電の計算における基本式

【解答】

(1)適用できる比速度と有効落差の関係に基づき算出される回転速度の上限値
適用できる比速度と有効落差の関係の式より,有効落差\( \ H=162 \ \mathrm {[m]} \ \)であるから,
\[
\begin{eqnarray}
n_{\mathrm {s}}&≦&\frac {23000}{H+30}+40 \\[ 5pt ] &=&\frac {23000}{162+30}+40 \\[ 5pt ] &≒&159.79 \ \mathrm {[{min}^{-1}]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] であるから,比速度\( \ n_{\mathrm {s}} \ \)と回転速度\( \ N \ \)の関係式を整理して回転速度の上限値\( \ N_{\mathrm {m}} \ \)を求めると,
\[
\begin{eqnarray}
n_{\mathrm {s}} &=&\frac {\displaystyle N_{\mathrm {m}}\times P^{\frac {1}{2}}}{\displaystyle H^{\frac {5}{4}}} \\[ 5pt ] N_{\mathrm {m}}&=&\frac {\displaystyle n_{\mathrm {s}}\times H^{\frac {5}{4}}}{\displaystyle P^{\frac {1}{2}}} \\[ 5pt ] &=&\frac {\displaystyle 159.79\times 162^{\frac {5}{4}}}{\displaystyle \left( 40\times 10^{3}\right) ^{\frac {1}{2}}} \\[ 5pt ] &=&\frac {\displaystyle 159.79\times \left( \sqrt {\sqrt {162}}\right) ^{5}}{\displaystyle \sqrt {40\times 10^{3}}} \\[ 5pt ] &=&\frac {\displaystyle 159.79\times 577.95}{200} \\[ 5pt ] &≒&461.75 \ \mathrm {[{min}^{-1}]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となるので,上限値は繰り下げして\( \ 461 \ \mathrm {{min}^{-1}} \ \)と求められる。

(2)選定すべき定格回転速度とその理由
ワンポイント解説「1.同期発電機の回転速度\( \ N \ \)」より,回転速度上限値\( \ N_{\mathrm {m}} \ \)の時の発電機の極数\( \ p \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
N_{\mathrm {m}} &=&\frac {120f}{p} \\[ 5pt ] p &=&\frac {120f}{N_{\mathrm {m}}} \\[ 5pt ] &=&\frac {120\times 60}{461.75} \\[ 5pt ] &≒&15.593 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。発電機の極数\( \ p \ \)は,\( \ 1 \ \)極対が\( \ 2 \ \)なので,\( \ 2 \ \)の倍数が\( \ 15.593 \ \)より大きくなるとき,回転速度が上限値より低くなる。また,設計上回転速度はできるだけ大きい方が望ましいので,極数は\( \ 16 \ \)となる。したがって,このときの回転速度が定格回転速度\( \ N_{\mathrm {n}} \ \)となりその大きさは,
\[
\begin{eqnarray}
N_{\mathrm {n}} &=&\frac {120f}{p} \\[ 5pt ] &=&\frac {120\times 60}{16} \\[ 5pt ] &=&450 \ \mathrm {[{min}^{-1}]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

【選定理由(試験センター解答)】
フランシス水車の比速度としては,\( \ 180 \ \)程度で最も高い効率が得られること,また,水車及び発電機は高速化することでの小型化によるコスト低減が図れることから,できるだけ適用限界の回転速度に近い定格回転速度を選定することが望ましい。

(3)小問(2)の場合の発電機の極数
(2)の通り,定格回転速度\( \ N_{\mathrm {n}}=450 \ \mathrm {[{min}^{-1}]} \ \)のとき,極数は\( \ p=16 \ \)と求められる。



記事下のシェアタイトル