《法規》〈電気施設管理〉[H23:問4]雷事故に対する設備・保守対策に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,特別高圧架空電線路の雷事故に対する設備・保守対策に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

a.特別高圧架空電線路の雷事故には,雷が架空地線あるいは鉄塔へ直撃して,架空地線や鉄塔の電位が上昇することにより,架空地線と電力線間,又はがいし装置のアークホーンでせん絡する\( \ \fbox {  (1)  } \ \)事故がある。

b.鉄塔の電位上昇低減対策としては,鉄塔塔脚接地抵抗の低減が有効であり,耐雷性向上のために,わが国では一般的に\( \ \fbox {  (2)  } \ \mathrm {[\Omega ]} \ \)程度が採用されている。また,鉄塔塔脚接地抵抗を低減するために,埋設地線,接地シート及び\( \ \fbox {  (3)  } \ \)などが施工されている。

c.架空地線と電力線間における径間せん絡は,断線事故に発展するおそれがあり,これを防止するために,径間における架空地線と電力線の間隔は,\( \ \fbox {  (4)  } \ \)における間隔より小さくないこととされている。

d.雷事故発生後の事故点早期発見対策としては,雷撃箇所を表示する\( \ \fbox {  (5)  } \ \)の鉄塔への取り付けや,送電線の事故点を標定するフォルトロケータなどの設置が行われている。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 10~15     &(ロ)& 50~60     &(ハ)& 誘導雷 \\[ 5pt ] &(ニ)& メッシュ接地     &(ホ)& 雷放電カウンタ     &(ヘ)& 1~3 \\[ 5pt ] &(ト)& 磁鋼片     &(チ)& せん絡表示器     &(リ)& 標準絶縁 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 逆フラッシオーバ       &(ル)& 深打電極     &(ヲ)& 支持点 \\[ 5pt ] &(ワ)& アースアンカ     &(カ)& クリアランスダイヤグラム        &(ヨ)& 遮へい失敗 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

送電線の雷事故とその対策に関する問題です。
基本的な内容も含まれていますが,内容は\( \ 3 \ \)種の問題よりも少し高度になっているかと思います。少しずつで良いので新しい知識も積み上げていくようにしましょう。

1.逆フラッシオーバとその対策
逆フラッシオーバは図1のように鉄塔や架空地線に落雷したときに,がいしの絶縁耐力を超え,送電線側に過電圧が侵入する現象です。
逆フラッシオーバに対する対策として,以下のような対策が取られます。
① 埋設地線で鉄塔と大地の接地抵抗を小さくする。
② アークホーンでがいしの損傷を防止する。(逆フラッシオーバ自体の対策ではありません。)
③ \( \ 2 \ \)回線送電線におけるがいしの連結個数に差をつけて,両回線同時事故を防ぐ。

2.せん絡表示器
架空地線や鉄塔への落雷によってがいしの絶縁を破壊する程度の電圧が発生した際に,下図のようにせん絡表示器の蓋が開き,鉄塔に登ることなく雷撃箇所を発見できる装置です。


出典:日油技研 HP
https://www.nichigi.co.jp/products/densetsu/senraku_R.html

【解答】

(1)解答:ヌ
題意より解答候補は,(ハ)誘導雷,(ヌ)逆フラッシオーバ,(ヨ)遮へい失敗,になると思います。
ワンポイント解説「1.逆フラッシオーバとその対策」の通り,雷による外部過電圧には,直撃雷,誘導雷,逆フラッシオーバがありますが,本問は逆フラッシオーバに関する内容を説明しています。

(2)解答:イ
題意より解答候補は,(イ)\( \ 10~15 \ \),(ロ)\( \ 50~60 \ \),(ヘ)\( \ 1~3 \ \),になると思います。
ワンポイント解説「1.逆フラッシオーバとその対策」の通り,逆フラッシオーバの対策として塔脚接地抵抗を小さくすることが有効ですが,一般的に\( \ 10~15 \ \mathrm {[\Omega ]} \ \)程度が採用されています。

(3)解答:ル
題意より解答候補は,(ニ)メッシュ接地,(ト)磁鋼片,(ル)深打電極,(ワ)アースアンカ,になると思います。
塔脚接地抵抗を低減する方法として適当なのは深打電極で,打込み深さを深くすればするほど接地抵抗は小さくなります。

(4)解答:ヲ
題意より解答候補は,(リ)標準絶縁,(ヲ)支持点,になると思います。
架空地線と電力線の間隔を支持点より長くすれば,支持点以外の場所でのせん絡は物理上ありえなくなります。

(5)解答:チ
題意より解答候補は,(ホ)雷放電カウンタ,(チ)せん絡表示器,(カ)クリアランスダイヤグラム,になると思います。
ワンポイント解説「2.せん絡表示器」の通り,早期発見対策として適当なのはせん絡表示器となります。



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