《法規》〈電気設備技術基準〉[H25:問4]常時監視をしない発電所の施設に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく,常時監視をしない発電所の施設に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。なお,地熱発電所は汽力発電所とは別のものであるとする。

a. 技術員が当該発電所又はこれと同一の構内において常時監視をしない\( \ \fbox {  (1)  } \ \)は,施設してはならない。

b. 技術員が適当な間隔をおいて発電所を巡回し,運転状態の監視を行う方式を随時巡回方式という。随時巡回方式は\( \ \fbox {  (1)  } \ \)に対してだけではなく,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)に対しても適用することができない。随時巡回方式の発電所は,一般電気事業者の\( \ \fbox {  (3)  } \ \)に支障を及ぼさないように施設しなければならない。

c. 技術員が必要に応じて発電所に出向き,運転状態の監視又は制御その他必要な措置を行う方式を随時監視制御方式という。随時巡回方式又は随時監視制御方式の発電所に設置する変圧器の使用電圧は,\( \ \fbox {  (4)  } \ \mathrm {[V]} \ \)以下でなければならない。

d. 技術員が制御所に常時駐在し,発電所の運転状態の監視及び制御を遠隔で行う方式を遠隔常時監視制御方式という。遠隔常時監視制御方式を採用する水力発電所では,発電所の\( \ \fbox {  (5)  } \ \)の電圧が著しく低下した場合に制御所へ警報しなければならない。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 100 \ 000     &(ロ)& 変圧器     &(ハ)& 電気の供給 \\[ 5pt ] &(ニ)& 発電設備     &(ホ)& 内燃力発電所     &(ヘ)& 170 \ 000 \\[ 5pt ] &(ト)& 風力発電所     &(チ)& ガスタービン発電所       &(リ)& 地熱発電所 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 50 \ 000     &(ル)& 水力発電所     &(ヲ)& 制御回路 \\[ 5pt ] &(ワ)& 従業員の安全     &(カ)& 発電機     &(ヨ)& 汽力発電所 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

電気設備技術基準の解釈第47条からの出題です。非常に長い条文ですが,出題されやすい内容ではあるので,一通り通読しておくことをオススメします。

【解答】

(1)解答:ヨ
電気設備技術基準の解釈第47条において常時監視をしない発電所として,水力発電所,風力発電所,太陽電池発電所,燃料電池発電所,地熱発電所,内燃力発電所,ガスタービン発電所について規定されています。一般の汽力発電所は常時監視をしない発電所として規定がないので,常時監視をしない設備は施設することができません。

(2)解答:リ
電気設備技術基準の解釈第47条において,常時巡回方式として規定がないのは,地熱発電所となります。

(3)解答:ハ
電気設備に関する技術基準を定める省令第46条第1項もしくは電気設備技術基準の解釈第47条第1項二ロに規定されている通り,電気の供給となります。

(4)解答:ヘ
電気設備技術基準の解釈第47条第1項二ハ及び三ニに規定されている通り,\( \ 170 \ 000 \ \mathrm {[V]} \ \)となります。

(5)解答:ヲ
電気設備技術基準の解釈第47条第3項の内容を読み解けば,制御回路が適当であることがわかります。

<電気設備に関する技術基準を定める省令第46条>
異常が生じた場合に人体に危害を及ぼし、若しくは物件に損傷を与えるおそれがないよう、異常の状態に応じた制御が必要となる発電所、又は一般送配電事業に係る(3)電気の供給に著しい支障を及ぼすおそれがないよう、異常を早期に発見する必要のある発電所であって、発電所の運転に必要な知識及び技能を有する者が当該発電所又はこれと同一の構内において常時監視をしないものは、施設してはならない。

2 前項に掲げる発電所以外の発電所又は変電所(これに準ずる場所であって、十万ボルトを超える特別高圧の電気を変成するためのものを含む。以下この条において同じ。)であって、発電所又は変電所の運転に必要な知識及び技能を有する者が当該発電所若しくはこれと同一の構内又は変電所において常時監視をしない発電所又は変電所は、非常用予備電源を除き、異常が生じた場合に安全かつ確実に停止することができるような措置を講じなければならない。

<電気設備技術基準の解釈第47条(抜粋)>
技術員が当該発電所又はこれと同一の構内において常時監視をしない発電所は、次の各号によること。

一 発電所の種類に応じ、第3項から第11項までの規定により施設すること。

二 第3項から第6項まで、第8項、第9項及び第11項の規定における「随時巡回方式」は、次に適合するものであること。

イ 技術員が、適当な間隔をおいて発電所を巡回し、運転状態の監視を行うものであること。

ロ 発電所は、(3)電気の供給に支障を及ぼさないよう、次に適合するものであること。

(イ) 当該発電所に異常が生じた場合に、一般送配電事業者が電気を供給する需要場所(当該発電所と同一の構内又はこれに準ずる区域にあるものを除く。)が停電しないこと。

(ロ) 当該発電所の運転又は停止により、一般送配電事業者が運用する電力系統の電圧及び周波数の維持に支障を及ぼさないこと。

ハ 発電所に施設する変圧器の使用電圧は、(4)170,000V以下であること。

三 第3項から第10項までの規定における「随時監視制御方式」は、次に適合するものであること。

イ 技術員が、必要に応じて発電所に出向き、運転状態の監視又は制御その他必要な措置を行うものであること。

ロ 次の場合に、技術員へ警報する装置を施設すること。

(イ) 発電所内(屋外であって、変電所若しくは開閉所又はこれらに準ずる機能を有する設備を施設する場所を除く。)で火災が発生した場合

(ロ) 他冷式(変圧器の巻線及び鉄心を直接冷却するため封入した冷媒を強制循環させる冷却方式をいう。以下、この条において同じ。)の特別高圧用変圧器の冷却装置が故障した場合又は温度が著しく上昇した場合

(ハ) ガス絶縁機器(圧力の低下により絶縁破壊等を生じるおそれのないものを除く。)の絶縁ガスの圧力が著しく低下した場合

(ニ) 第3項から第10項までにおいてそれぞれ規定する、発電所の種類に応じ警報を要する場合

ハ 発電所の出力が2,000kW未満の場合においては、ロの規定における技術員への警報を、技術員に連絡するための補助員への警報とすることができる。

ニ 発電所に施設する変圧器の使用電圧は、(4)170,000V以下であること。

四 第3項から第9項までの規定における「遠隔常時監視制御方式」は、次に適合するものであること。

イ 技術員が、制御所に常時駐在し、発電所の運転状態の監視及び制御を遠隔で行うものであること。

ロ 前号ロ(イ)から(ニ)までに掲げる場合に、制御所へ警報する装置を施設すること。

ハ 制御所には、次に掲げる装置を施設すること。

(イ) 発電所の運転及び停止を、監視及び操作する装置(地熱発電所にあっては、運転を操作する装置を除く。)

(ロ) 使用電圧が100,000Vを超える変圧器を施設する発電所にあっては、次に掲げる装置

(1) 運転操作に常時必要な遮断器の開閉を監視する装置

(2) 運転操作に常時必要な遮断器(自動再閉路装置を有する高圧又は15,000V以下の特別高圧の配電線路用遮断器を除く。)の開閉を操作する装置(地熱発電所にあっては、投入を操作する装置を除く。)

(ハ) 第3項、第4項、第6項、第8項及び第9項においてそれぞれ規定する、発電所の種類に応じて必要な装置

中略

3 第1項に規定する発電所のうち、水力発電所は、次の各号のいずれかにより施設すること。

一 随時巡回方式により施設する場合は、次によること。

イ 発電所の出力は、2,000kW未満であること。

ロ 水車及び発電機には、自動出力調整装置又は出力制限装置(自動負荷調整装置又は負荷制限装置を含む。)を施設すること。ただし、水車への水の流入量が固定され、おのずから出力が制限される場合はこの限りでない。

ハ 次に掲げる場合に、発電機を電路から自動的に遮断するとともに、水車への水の流入を自動的に停止する装置を施設すること。ただし、47-1表の左欄に掲げる場合に同表右欄に掲げる条件に適合するときは同表左欄に掲げる場合に、又は水車のスラスト軸受が構造上過熱のおそれがないものである場合は(ニ)の場合に、水車への水の流入を自動的に停止する装置を施設しないことができる。

(イ) 水車制御用の圧油装置の油圧又は電動式制御装置の電源電圧が著しく低下した場合

(ロ) 水車の回転速度が著しく上昇した場合

(ハ) 発電機に過電流が生じた場合

(ニ) 定格出力が500kW以上の水車又はその水車に接続する発電機の軸受の温度が著しく上昇した場合

(ホ) 容量が2,000kVA以上の発電機の内部に故障を生じた場合

(ヘ) 他冷式の特別高圧用変圧器の冷却装置が故障した場合又は温度が著しく上昇した場合

中略

二 随時監視制御方式により施設する場合は、次によること。

イ 前号ロの規定に準じること。

ロ 前号ハ(イ)から(ホ)までに掲げる場合に、発電機を電路から自動的に遮断するとともに、水車への水の流入を自動的に停止する装置を施設すること。ただし、47-1表の左欄に掲げる場合に同表右欄に掲げる条件に適合するときは同表左欄に掲げる場合に、又は水車のスラスト軸受が構造上過熱のおそれがないものである場合は(ニ)の場合に、水車への水の流入を自動的に停止する装置を施設しないことができる。

ハ 第1項第三号ロ(ニ)の規定における「発電所の種類に応じ警報を要する場合」は、次に掲げる場合であること。

(イ) 水車が異常により自動停止した場合

(ロ) 運転操作に必要な遮断器(当該遮断器の遮断により水車が自動停止するものを除く。)が異常により自動的に遮断した場合(遮断器が自動的に再閉路した場合を除く。)

(ハ) 発電所の(5)制御回路の電圧が著しく低下した場合

ニ 47-2表の左欄に掲げる場合に同表右欄に掲げる動作をする装置を施設するときは、同表左欄に掲げる場合に警報する装置を施設しないことができる。

中略

三 遠隔常時監視制御方式により施設する場合は、次によること。

イ 前号ロの規定に準じること。

(5)前号ハ及びニの規定は、制御所へ警報する場合に準用する。

ハ 第1項第四号ハ(ハ)の規定における「発電所の種類に応じ必要な装置」は、水車及び発電機の出力の調整を行う装置であること。



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