《機械》〈情報伝送及び処理〉[H25:問8]伝送信号の変調方式に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,伝送信号の変調方式に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

音声信号などのアナログ信号,コンピュータからのディジタル信号などの原信号を伝送路に適した波形に変換する操作を変調と呼ぶ。変調を行うには,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)と呼ばれる適当な周波数をもつ信号のパラメータの一つ又は複数を,原信号に応じて変化させる。伝送路を通した後,この変調を受けた波形から原信号を取り出す操作を\( \ \fbox {  (2)  } \ \)と呼ぶ。

アナログ信号を変調する方式としては,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)を変化させるパラメータによって,振幅の変化で変調する振幅変調(AM),周波数の変化で変調する周波数変調(FM),位相の変化で変調する位相変調(PM)などがある。図1は,このうち\( \ \fbox {  (3)  } \ \)を示している。

一方,ディジタル信号を変調する方式としては,ディジタルの符号に応じて\( \ \fbox {  (1)  } \ \)を不連続的に偏移させる(Shift Keying)パラメータによって,振幅偏移変調(ASK),周波数偏移変調(FSK),位相偏移変調(PSK),さらに,振幅変調と位相変調を組み合わせた方式の一つに\( \ \fbox {  (4)  } \ \)(QAM)がある。図2は,このうち\( \ \fbox {  (5)  } \ \)を示している。

〔問8の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 疑似波     &(ロ)& \mathrm {AM}     &(ハ)& \mathrm {FSK} \\[ 5pt ] &(ニ)& 高調波     &(ホ)& 組合せ変調     &(ヘ)& \mathrm {FM} \\[ 5pt ] &(ト)& \mathrm {ASK}     &(チ)& \mathrm {PSK}     &(リ)& 復 元 \\[ 5pt ] &(ヌ)& \mathrm {PM}     &(ル)& 復 調     &(ヲ)& 位相振幅変調 \\[ 5pt ] &(ワ)& \mathrm {A/D} \ 変換     &(カ)& 直交振幅変調     &(ヨ)& 搬送波 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

情報伝送の変調に関する問題です。式を暗記したり,変換を実際にできるようにする必要はありませんが,パワーエレクトロニクスのPWM制御においても似たような概念がありますので,概要は理解しておくと良いと思います。

1.信号の変調
信号の変調には振幅の変化で変調する振幅変調(AM),周波数の変化で変調する周波数変調(FM),位相の変化で変調する位相変調(PM)があり,以下の通りとなります。アナログで説明していますが,ディジタルでもほぼ同じです。

①振幅変調(AM)
図3のように入力信号を搬送波と呼ばれる高調波の正弦波によって振幅に変化させ伝送路に適した波形に変換する方法です。図3において赤線が入力,青線が出力となります。振幅変調は波形のひずみの影響を受けやすい特徴があります。

②周波数変調(FM)
図4のように入力信号を搬送波と呼ばれる高調波の正弦波によって周波数に変化させ伝送路に適した波形に変換する方法です。図4において赤線が入力,青線が出力となります。周波数変調は振幅変調よりも広い周波数帯域を使用します。

③位相変調(PM)
図5のように入力信号を搬送波と呼ばれる高調波の正弦波によって位相に変化させ伝送路に適した波形に変換する方法です。周波数変調と似たような形となりますが,位相変調では入力信号を時間微分したものを周波数変調させたような形となります。図5において赤線が入力,青線が出力となります。

【解答】

(1)解答:ヨ
題意より,解答候補は(イ)疑似波,(ニ)高調波,(ヨ)搬送波,になると思います。変調を行うには搬送波と呼ばれる正弦の高調波を用います。

(2)解答:ル
題意より,解答候補は(リ)復元,(ル)復調,(ワ)\(\mathrm {A/D} \ \)変換,になると思います。変調を受けた波形から原信号を取り出す操作を復調と呼びます。

(3)解答:ロ
題意より,解答候補は(ロ)\(\mathrm {AM}\),(ヘ)\(\mathrm {FM}\),(ヌ)\(\mathrm {PM}\),になると思います。ワンポイント解説「1.信号の変調」の通り,図1は振幅を変化させているので,\( \ \mathrm {AM} \ \)となります。

(4)解答:カ
題意より,解答候補は(ホ)組合せ変調,(ヲ)位相振幅変調,(カ)直交振幅変調,になると思います。振幅変調と位相変調を組み合わせた方式を直交振幅変調と呼びます。

(5)解答:ト
題意より,解答候補は(ハ)\(\mathrm {FSK}\),(ト)\(\mathrm {ASK}\),(チ)\(\mathrm {PSK}\),になると思います。ワンポイント解説「1.信号の変調」の通り,図2も振幅を変化させているので,\( \ \mathrm {ASK} \ \)となります。



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