《電力》〈送電〉[H19:問8]架空送電線路の架空地線に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

架空送電線路の架空地線に関する記述として,誤っているのは次のうちどれか。

(1) 架空地線は,架空送電線への直撃雷及び誘導雷を防止することができる。

(2) 架空地線の遮へい角が小さいほど,直撃雷から架空送電線を遮へいする効果が大きい。

(3) 架空地線は,近くの弱電流電線に対し,誘導障害を軽減する働きもする。

(4) 架空地線には,通信線の機能を持つ光ファイバ複合架空地線も使用されている。

(5) 架空地線に直撃雷が侵入した場合,雷電流は鉄塔の接地抵抗を通じて大地に流れる。接地抵抗が大きいと,鉄塔の電位を上昇させ,逆フラッシオーバが起きることがある。

【ワンポイント解説】

架空送電線路の架空地線に関する問題です。
内容はよくある架空地線に関する内容ですが,誤り箇所がよく見ないと見つかりにくいです。一文一文読んで,消去法で正答を確定するようにして下さい。

1.架空地線
<架空地線の役割>
架空地線は電線の上部,主に鉄塔の一番上に設ける裸電線で,以下のような役割があります。
①送電線への直撃雷を防止する。(遮へい角が小さい程遮へい効果は高い。)
②誘導雷(雷雲の電荷により反対の電荷が電線に現れ,落雷により雷雲の電荷がなくなるために電線で大きな電荷の移動が起こる現象)を軽減する。
③通信線への電磁誘導障害を軽減する。

<架空地線落雷時の対策>
また,架空地線や鉄塔に落雷した際の逆フラッシオーバに対する対策として,以下のような対策が取られます。
①埋設地線で鉄塔と大地の接地抵抗を小さくする。
②アークホーンでがいしの損傷を防止する。(逆フラッシオーバ自体の対策ではありません。)
③\( \ 2 \ \)回線送電線におけるがいしの連結個数に差をつけて,両回線同時事故を防ぐ。

【解答】

解答:(1)
(1):誤り
ワンポイント解説「1.架空地線」の通り,架空地線は,架空送電線への直撃雷を防止する効果があり,誘導雷を軽減する効果があります。

(2):正しい
ワンポイント解説「1.架空地線」の通り,架空地線の遮へい角が小さいほど,直撃雷から架空送電線を遮へいする効果は大きいです。

(3):正しい
ワンポイント解説「1.架空地線」の通り,弱電流電線に対し,誘導障害を軽減する働きもします。

(4):正しい
問題文の通り,架空地線には通信線の機能を持つ光ファイバ複合架空地線も使用されています。

(5):正しい
ワンポイント解説「1.架空地線」の通り,架空地線に直撃雷が侵入した場合,雷電流は鉄塔の接地抵抗を通じて大地に流れますが,接地抵抗が大きいと,鉄塔の電位を上昇させ,逆フラッシオーバが起きることがあります。