《電力》〈火力〉[H22:問3]コンバインドサイクル発電の特徴に関する論説問題

【問題】

【難易度】★☆☆☆☆（易しい）

複数の発電機で構成されるコンバインドサイクル発電を，同一出力の単機汽力発電と比較した記述として，誤っているのは次のうちどれか。

(1)　熱効率が高い。

(2)　起動停止時間が長い。

(3)　部分負荷に対応するため，運転する発電機数を変えるので，熱効率の低下が少ない。

(4)　最大出力が外気温度の影響を受けやすい。

(5)　蒸気タービンの出力分担が少ないので，その分復水器の冷却水量が少なく，温排水量も少なくなる。

【ワンポイント解説】

コンバインドサイクル発電に関する問題です。
コンバインドサイクル発電と汽力発電の違いやそれぞれの特徴は非常に重要な内容であり，ほとんどの電験の参考書に掲載されている内容です。
概略で良いので系統図や特徴は試験本番までに理解しておきましょう。

1.コンバインドサイクル発電
コンバインドサイクル発電は，ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた方式の発電であり，ガスタービンの高温排熱を排熱回収ボイラで回収し蒸気を発生させ，蒸気タービンで発電します。
熱効率が従来の汽力発電（約\( \ 40 \ \mathrm {％} \ \)）に比べ格段に高く，近年は耐熱材料の採用によるガスタービンの高温化により，約\( \ 60 \ \mathrm {％} \ \)程度まで上昇しています。

2.コンバインドサイクル発電の特徴
コンバインドサイクル発電は同容量の汽力発電に比べ，以下の特徴があります。
・ガスタービンの排熱を利用するため，熱効率が高い
・蒸気タービンの使用水量が少ないので保有水量が少なく，起動停止時間が短い
・保有水量が少ないため，負荷追従性が高い
・蒸気タービンの使用水量が少ないので，復水器の冷却水量が少ない
・単位ユニット毎の運転台数の調整が可能なため，部分負荷時の熱効率の低下が少ない
・一般的な排熱回収方式では，気温が上がり空気が膨張するとガスタービン入口の空気密度が下がるため，最大出力が低下する

【解答】

解答：(2)
(1)：正しい
ワンポイント解説「2.コンバインドサイクル発電の特徴」の通り，同一出力の単機汽力発電と比べ，コンバインドサイクル発電は熱効率が高いです。

(2)：誤り
ワンポイント解説「2.コンバインドサイクル発電の特徴」の通り，コンバインドサイクル発電は保有水量が少なく，起動停止時間は短いです。

(3)：正しい
ワンポイント解説「2.コンバインドサイクル発電の特徴」の通り，部分負荷時の熱効率の低下は少ないです。

(4)：正しい
ワンポイント解説「2.コンバインドサイクル発電の特徴」の通り，ガスタービン入口の空気密度が外気温度に影響されるため，最大出力は気温により変化します。

(5)：正しい
ワンポイント解説「2.コンバインドサイクル発電の特徴」の通り，蒸気タービンを通過する蒸気量も減るため復水器の冷却水量が少なくなり，温排水量も少なくなります。