Contents
【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
\( \ 50 \ \mathrm {[Hz]} \ \),\( \ 200 \ \mathrm {[V]} \ \)の三相配電線の受電端に,力率\( \ 0.7 \ \),\( \ 50 \ \mathrm {[kW]} \ \)の誘導性三相負荷が接続されている。 この負荷と並列に三相コンデンサを挿入して,受電端での力率を遅れ\( \ 0.8 \ \)に改善したい。
挿入すべき三相コンデンサの無効電力容量\( \ \mathrm {[kV\cdot A]} \ \)の値として, 最も近いのは次のうちどれか。
(1) \( \ 4.58 \ \) (2) \( \ 7.80 \ \) (3) \( \ 13.5 \ \) (4) \( \ 19.0 \ \) (5) \( \ 22.5 \ \)
【ワンポイント解説】
力率改善に関する問題です。
根号の計算を伴うので少し計算量はありますが,かなりパターン化されている問題で類題の出題頻度も高い問題です。
有効電力と無効電力の関係や電卓の扱いに慣れ,\( \ 5 \ \)分程度を目標に解けるようになりましょう。
1.有効電力\( \ P \ \)と無効電力\( \ Q \ \)
抵抗で消費される電力を有効電力\( \ P \ \mathrm {[W]} \ \),リアクタンスで消費もしくは供給される電力を無効電力\( \ Q \ \mathrm {[var]} \ \)と呼び,図1のようにベクトル図を描きます。さらに,有効電力\( \ P \ \mathrm {[W]} \ \)と無効電力\( \ Q \ \mathrm {[var]} \ \)のベクトル和は皮相電力\( \ S \ \mathrm {[V\cdot A]} \ \)と呼ばれ,
\[
\begin{eqnarray}
S&=&\sqrt {P^{2}+Q^{2}} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
の関係があります。図1において,力率は\( \ \cos \theta \ \)で定義され,
\[
\begin{eqnarray}
\cos \theta &=&\frac {P}{S} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となります。
【解答】
解答:(3)
力率改善前後のベクトル図を描くと図2のようになる。
力率改善前の無効電力\( \ Q \ \mathrm {[kvar]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
Q &=&\frac {P}{\cos \theta }\times \sin \theta \\[ 5pt ]
&=&\frac {P}{\cos \theta }\times \sqrt {1-\cos ^{2}\theta } \\[ 5pt ]
&=&\frac {50}{0.7}\times \sqrt {1-0.7 ^{2}} \\[ 5pt ]
&≒&51.01 \ \mathrm {[kvar]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
であり,力率改善後の無効電力\( \ Q^{\prime } \ \mathrm {[kvar]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
Q^{\prime } &=&\frac {P}{\cos \theta ^{\prime }}\times \sin \theta ^{\prime } \\[ 5pt ]
&=&\frac {P}{\cos \theta ^{\prime }}\times \sqrt {1-\cos ^{2}\theta ^{\prime }} \\[ 5pt ]
&=&\frac {50}{0.8}\times \sqrt {1-0.8 ^{2}} \\[ 5pt ]
&=&37.5 \ \mathrm {[kvar]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となる。したがって,三相コンデンサの無効電力容量\( \ Q_{\mathrm {C}} \ \mathrm {[kvar]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
Q_{\mathrm {C}} &=&Q-Q^{\prime } \\[ 5pt ]
&=&51.01-37.5 \\[ 5pt ]
&≒&13.5 \ \mathrm {[kvar]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められる。