《電力》〈水力〉[R2:問1]水撃作用及びサージタンクに関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

ダム水路式発電所における水撃作用とサージタンクに関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 発電機の負荷を急激に遮断又は急激に増やした場合は,それに応動して水車の使用水量が急激に変化し,流速が減少又は増加するため,水圧管内の圧力の急上昇又は急降下が起こる。このような圧力の変動を水撃作用という。

(2) 水撃作用は,水圧管の長さが長いほど,水車案内羽根あるいは入口弁の閉鎖時間が短いほど,いずれも大きくなる。

(3) 水撃作用の発生による影響を緩和する目的で設置される水圧調整用水槽をサージタンクという。サージタンクにはその構造・動作によって,差動式,小孔式,水室式などがあり,いずれも密閉構造である。

(4) 圧力水路と水圧管との接続箇所に,サージタンクを設けることにより,水槽内部の水位の昇降によって,水撃作用を軽減することができる。

(5) 差動式サージタンクは,負荷遮断時の圧力増加エネルギーをライザ(上昇管)内の水面上昇によってすばやく吸収し,そのあとで小穴を通してタンク内の水位をゆっくり通常のタンク内水位に戻す作用がある。

【ワンポイント解説】

水力発電においては発電に大量の水を使用するため,負荷の急上昇や急降下により圧力が急変します。圧力が急変すると管路の一番弱い部分(接続部等)に損傷が発生してしまう可能性があるため,サージタンクを設置しそこで圧力を逃がします。サージタンクがなかった場合圧力の逃げ道がなくなるので,どうなるかを想像できると良いと思います。

1.水撃作用とサージタンク
系統事故にふる負荷遮断等負荷の急変が起きた際,水車の回転数の異常上昇を防ぐため,水車の入口弁が急減します。水車の入口弁を急減すると水の運動エネルギーが圧力エネルギーに変換され,水圧管内の圧力が急上昇し,水圧管が破壊される可能性があります。これを水撃作用といい,一般に流速変化が大きい場合,水圧管の管路が長い場合に大きくなります。
水撃作用の対策として,図1のように圧力水路と水圧管の接続箇所にサージタンクを設けます。サージタンクでは水撃作用の圧力エネルギーをサージタンクの位置エネルギーで吸収することで,水撃作用を抑制させます。サージタンクには,以下の種類があります。
①単動式
 太い胴の管を水圧管に接続したものです。単純な構造ですが,水撃作用の周波数とサージタンクのレベル上下の振動数が共振してしまう可能性があります。
②差動式
 単胴の中にライザと呼ばれる管を設け,断面積の違いによる水面の上下の時間の違いを利用して吸収する方式です。
③小孔式
 サージタンクの入口を狭くし,抵抗損も含めて吸収する方式です。
④水室式
 サージタンクに水室を設け,圧力を吸収しながらも,水位の上昇を抑える方式です。

【解答】

解答:(3)
(1)正しい
水撃作用の内容そのものです。

(2)正しい
ワンポイント解説「1.水撃作用とサージタンク」の通り,水撃作用は水圧管の長さが長いほど,水車案内羽根あるいは入口弁の閉鎖時間が短いすなわち圧力の変化が大きいほど,大きくなります。

(3)誤り
サージタンクにはその構造・動作によって,差動式,小孔式,水室式などがありますが,いずれも密閉構造ではなく,水面は大気圧に維持されて,衝撃圧を吸収する点では同じです。

(4)正しい
サージタンクは水槽内部の水位の昇降によって,水撃作用を軽減させます。

(5)正しい
差動式サージタンクの内容そのものです。電験対策としては概要を知っておけば十分となります。