《電力》〈変電〉[H30:問7]変圧器の保全・診断に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

変圧器の保全・診断に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 変圧器の予防保全は,運転の維持と事故の防止を目的としている。

(2) 油入変圧器の絶縁油の油中ガス分析は内部異常診断に用いられる。

(3) 部分放電は,絶縁破壊が生じる前ぶれである場合が多いため,異常診断技術として,部分放電測定が用いられることがある。

(4) 変圧器巻線の絶縁抵抗測定と誘電正接測定は,鉄心材料の経年劣化を把握することを主な目的として実施される。

(5) ガスケットの経年劣化に伴う漏油の検出には,目視点検に加え,油面計が活用される。

【ワンポイント解説】

本問のような誤答選択問題は間違いを見つけるのが難しいのが特徴です。本問の範囲は覚える内容も多く大変かもしれませんが,一種~三種問わず過去問でも何度も取り上げられている分野です。よく理解しておくようにして下さい。変圧器は鉄心自体が劣化することはほとんどなく,絶縁材料が劣化する場合がほとんどです。

1.油入変圧器の油劣化の原因
①変圧器の呼吸作用
変圧器に使用される絶縁油は外気温や負荷の大きさ等で体積が変化するため,外部の空気と出入りします。出入りした空気により,絶縁油が酸化されることがあり,絶縁油が経年劣化します。

②相関短絡等の事故による局部過熱による劣化
相関短絡等により局部過熱が生じると,そこで絶縁油の分解され,アセチレン等のガスや不溶性生成物等が生じて絶縁油を劣化させます。

③絶縁油の経年劣化
絶縁油自体が長期間使用することにより分解されます。

【解答】

解答:(5)
(1):正しい
問題文の通り,変圧器の予防保全は,変圧器で事故が発生すると系統への影響が大きいので,運転の維持と事故の防止を目的として実施されています。

(2):正しい
問題文の通り,油入変圧器の絶縁油の油中ガス分析は内部異常診断に用いられています。

(3):正しい
絶縁物中にボイド(空隙)等の欠陥があり,ある一定電圧以上になると放電が発生し,最終的には絶縁破壊に至ります。部分放電試験は,その部分放電を検出する試験です。

(4):誤り
変圧器巻線の絶縁抵抗測定と誘電正接測定は,鉄心材料の経年劣化を把握することが目的ではなく,巻線の経年劣化を把握することを主な目的として実施されます。鉄心材料は劣化しにくいものとなります。

(5):正しい
問題文の通り,ガスケットの経年劣化に伴う漏油の検出には,目視点検に加え,油面計が活用されます。