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【問題】
【難易度】★★★★★(難しい)
次の文章は,汽力発電所における蒸気タービンの分類に関する記述である。
衝動タービンは,高温・高圧の蒸気が羽根に衝突するときに生ずる衝動力によってランナを回転させるもので,タービンのノズルを通る間に蒸気の圧力が\( \ \fbox { (ア) } \ \)し,高速度となってノズルから噴出する。この噴出した蒸気を前面の羽根に衝突させることにより,ランナを回転させる。羽根を通過する蒸気の通路の断面積が一様であり,羽根の出入口の蒸気の圧力は\( \ \fbox { (イ) } \ \)。衝動タービンは蒸気の圧力が\( \ \fbox { (ウ) } \ \)のものに適する。
反動タービンは,衝動力と蒸気が回転羽根を離れるときの反動力を利用するもので,固定羽根で膨張させた蒸気を羽根に衝突させてランナを回転させるとともに,ランナの内部で蒸気を\( \ \fbox { (エ) } \ \)させ,排気するときの反動力を利用してランナを回転させる。反動タービンは,蒸気の圧力が\( \ \fbox { (オ) } \ \)のものに適する。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & 上昇 & 等しい & 高圧 & 膨張 & 中低圧 \\
\hline
(2) & 上昇 & 異なる & 中低圧 & 凝縮 & 高圧 \\
\hline
(3) & 上昇 & 等しい & 中低圧 & 膨張 & 高圧 \\
\hline
(4) & 降下 & 異なる & 中低圧 & 凝縮 & 高圧 \\
\hline
(5) & 降下 & 等しい & 高圧 & 膨張 & 中低圧 \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
汽力発電の蒸気タービンで使用される衝動タービンと反動タービンに関する問題です。
私自身は汽力発電の現場にいた時に覚えましたが,専門性が高いため電験の問題としては少し厳しい問題であったかなと思います。
このような問題に対してはほとんどの受験生がわからないと考え,焦らないようにすることが重要です。
1.衝動タービンと反動タービン
一般的な汽力発電所で使用されるタービンには,回転力を得る方法の違いにより衝動タービンと反動タービンがあり,それぞれを組み合わせて使用します。
①衝動タービン
ボイラで発生した高温・高圧の蒸気をタービンのノズルを通過する際に減圧・加速し噴出させ,その蒸気がタービンに衝突するときの勢い(衝動力)によってランナを回転させるタービンです。多段式においても流路の断面積が一定で拡がらないのが特徴です。小形のものを製作でき,高圧の蒸気に適するタービンです。
②反動タービン
衝動力に加え,タービンから蒸気を噴出するときの反動力も利用し,ランナを回転させるタービンです。反動力は水を流しているホースの手を離したときにホースが暴れる力をイメージを持つと良いです。固定羽根と回転羽根で構成され,固定羽根で膨張により減圧・加速した蒸気を回転羽根に衝突させ,さらに回転羽根で膨張し加速する反動力も利用し回転します。膨張し加速させるために流路がラッパ状に拡がっていくところが衝動タービンと異なります。主に中低圧の蒸気に適するタービンです。
出典:電験戦士教本「火力発電」 P.71
URL:https://denkenia-archives.stores.jp/
【解答】
解答:(5)
(ア)
ワンポイント解説「1.衝動タービンと反動タービン」の通り,タービンのノズルを通る際には蒸気圧力は降下します。基本的に汽力発電においてはポンプ以外の場所では圧力は上昇しないと考えると間違いは少ないかと思います。
(イ)
ワンポイント解説「1.衝動タービンと反動タービン」の通り,衝動タービンを通過するときの蒸気の通路の断面積は一様であり,羽根の入口と出口の蒸気圧力は等しいという特徴があります。
(ウ)
ワンポイント解説「1.衝動タービンと反動タービン」の通り,衝動タービンは蒸気圧力が高圧のものが適します。
(エ)
ワンポイント解説「1.衝動タービンと反動タービン」の通り,反動タービンはランナの内部で蒸気を膨張させます。
(オ)
ワンポイント解説「1.衝動タービンと反動タービン」の通り,反動タービンは蒸気圧力が中低圧のものが適します。