《電力》〈配電〉[R07上:問11]単相3線式配電方式の特徴に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

\( \ 100 / 200 \ \mathrm {V} \ \)単相\( \ 3 \ \)線式配電方式に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 単相\( \ 200 \ \mathrm {V} \ \)負荷の使用が可能である。

(2) 配電容量が等しい場合,\( \ 100 \ \mathrm {V} \ \)単相\( \ 2 \ \)線式配電方式より電線の銅量が少なくてすむ。

(3) バランサは,電源の近くに設ける方が効果が大きい。

(4) 負荷の分布によっては,負荷電圧が不平衡になることがある。

(5) 中性線が断線すると,異常電圧を発生することがある。

【ワンポイント解説】

単相\( \ 3 \ \)線式配電方式の特徴に関する問題です。
単相\( \ 3 \ \)線式に関しては計算問題が出題されることもありますが,本問のように知識問題が出題されることもあります。電験でも出題されやすい内容の一つですので,確実に得点できるように準備しておきましょう。
本問は平成15年問13からの再出題となります。

1.単相\( \ 3 \ \)線式配電方式
単相\( \ 3 \ \)線式配電方式は図1のような回路で低圧の需要家に配電する方式で以下のような特徴があります。
・\( \ 100 \ \mathrm {[V]} \ \)負荷と\( \ 200 \ \mathrm {[V]} \ \)負荷の双方に供給可能
・線路負荷が平衡している時,中性点電流\( \ I_{\mathrm {n}} \ \)は零となる
・線路負荷が平衡しており,線間電圧,線電流が等しい場合,単相\( \ 2 \ \)線式に比べ線路電流は\( \ \displaystyle \frac {1}{2} \ \)となるので,線路損失は\( \ \displaystyle \frac {1}{4} \ \)となる

2.バランサ
単相\( \ 3 \ \)線式の回路の負荷側に取りつけた,巻線比\( \ 1:1 \ \)の単相変圧器で,負荷の不平衡や異常電圧を抑制させ,負荷電流を平衡させるものです。以下の特徴があります。
①負荷不平衡時でもバランサ側に電流が流れ,中性点電流が零となる。
②単相変圧器(バランサ)の上下に流れる電流の大きさが等しい。

※バランサ接続前後の電流の変化や損失変化が勉強したい場合は平成28年問17を解いてみて下さい。

【解答】

解答:(3)
(1):正しい
ワンポイント解説「1.単相\( \ 3 \ \)線式配電方式」の通り,単相\( \ 3 \ \)線式配電方式は単相\( \ 200 \ \mathrm {V} \ \)負荷の使用が可能です。

(2):正しい
問題文の通り,同条件下において,単相\( \ 3 \ \)線式配電方式の電線の銅量は単相\( \ 2 \ \)線式配電方式より少なく\( \ 37. 5 \ \mathrm {%} \ \)です。計算にて導出可能で掲載されている参考書もありますが,本問を解く上では覚えておいた方がよいでしょう。

(3):誤り
ワンポイント解説「2.バランサ」の通り,バランサは負荷の近くに設ける方が効果が大きいです。

(4):正しい
ワンポイント解説「1.単相\( \ 3 \ \)線式配電方式」の通り,\( \ 100 \ \mathrm {V} \ \)負荷の分布によっては,負荷電圧が不平衡になることがあります。

(5):正しい
ワンポイント解説「1.単相\( \ 3 \ \)線式配電方式」及び「2.バランサ」の通り,負荷不平衡の状態で,中性線が断線すると,異常電圧を発生することがあります。