《法規》〈電気事業法〉[H21:問2]「電気事業法」に基づく一般用電気工作物の定義に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

「電気事業法」に基づく,一般用電気工作物に該当するものは次のうちどれか。なお,(1)~(5)の電気工作物は,その受電のための電線路以外の電線路により,その構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものとする。

(1) 受電電圧\( \ 6.6 \ \mathrm {[kV]} \ \),受電電力\( \ 60 \ \mathrm {[kW]} \ \)の店舗の電気工作物

(2) 受電電圧\( \ 200 \ \mathrm {[V]} \ \),受電電力\( \ 30 \ \mathrm {[kW]} \ \)で,別に発電電圧\( \ 200 \ \mathrm {[V]} \ \),出力\( \ 15 \ \mathrm {[kW]} \ \)の内燃力による非常用予備発電装置を有する病院の電気工作物

(3) 受電電圧\( \ 6.6 \ \mathrm {[kV]} \ \),受電電力\( \ 45 \ \mathrm {[kW]} \ \)の事務所の電気工作物

(4) 受電電圧\( \ 200 \ \mathrm {[V]} \ \),受電電力\( \ 35 \ \mathrm {[kW]} \ \)で,別に発電電圧\( \ 100 \ \mathrm {[V]} \ \),出力\( \ 5 \ \mathrm {[kW]} \ \)の太陽電池発電設備を有する事務所の電気工作物

(5) 受電電圧\( \ 200 \ \mathrm {[V]} \ \),受電電力\( \ 30 \ \mathrm {[kW]} \ \)で,別に発電電圧\( \ 100 \ \mathrm {[V]} \ \),出力\( \ 7 \ \mathrm {[kW]} \ \)の太陽電池発電設備と,発電電圧\( \ 100 \ \mathrm {[V]} \ \),出力\( \ 15 \ \mathrm {[kW]} \ \)の風力発電設備を有する公民館の電気工作物

【ワンポイント解説】

電気事業法第38条及び電気事業法施行規則第48条からの出題です。
小規模発電設備(旧:小出力発電設備)の内容は電験においては非常によく出題される分野の一つですので,必ず数値は覚えておきましょう。
また,近年の改正により小規模事業用電気工作物という区分も出てきていますので,こちらもセットで覚えておくと良いかと思います。

【解答】

解答:(4)及び(5)
(1)該当しない
電気事業法施行規則第48条第1項の通り,一般用電気工作物に該当するのは受電電圧\( \ 600 \ \mathrm {V} \ \)以下の電気工作物であるため,受電電圧\( \ 6.6 \ \mathrm {[kV]} \ \)の店舗は自家用電気工作物となります。

(2)該当しない
電気事業法施行規則第48条第2項第4号の通り,内燃力を原動力とする火力発電設備で一般用電気工作物に該当するのは出力\( \ 10 \ \mathrm {kW} \ \)未満のものなので,出力\( \ 15 \ \mathrm {[kW]} \ \)の内燃力による非常用予備発電装置を有する病院は自家用電気工作物となります。

(3)該当しない
電気事業法施行規則第48条第1項の通り,一般用電気工作物に該当するのは受電電圧\( \ 600 \ \mathrm {V} \ \)以下の電気工作物であるため,受電電圧\( \ 6.6 \ \mathrm {[kV]} \ \)の事務所は自家用電気工作物となります。

(4)該当する
電気事業法施行規則第48条第2項第1号の通り,太陽電池発電設備で一般用電気工作物に該当するのは出力\( \ 50 \ \mathrm {kW} \ \)未満のものなので,出力\( \ 5 \ \mathrm {[kW]} \ \)の太陽電池発電設備を有する事務所は一般用電気工作物となります。

(5)該当する
電気事業法施行規則第48条第2項の通り,一般用電気工作物に該当するのは設備の出力の合計が\( \ 50 \ \mathrm {kW} \ \)未満の場合であるので,本選択肢の設備の出力の合計は\( \ 22 \ \mathrm {kW} \ \)となり一般用電気工作物となります。
(※ 出題当時は設備の出力の合計が\( \ 20 \ \mathrm {kW} \ \)未満が一般用電気工作物でした)

<電気事業法第38条(抜粋)>
この法律において「一般用電気工作物」とは、次に掲げる電気工作物であって、構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)に設置するものをいう。ただし、小規模発電設備(低圧(経済産業省令で定める電圧以下の電圧をいう。第一号において同じ。)の電気に係る発電用の電気工作物であって、経済産業省令で定めるものをいう。以下同じ。)以外の発電用の電気工作物と同一の構内に設置するもの又は爆発性若しくは引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所として経済産業省令で定める場所に設置するものを除く。

一 電気を使用するための電気工作物であって、低圧受電電線路(当該電気工作物を設置する場所と同一の構内において低圧の電気を他の者から受電し、又は他の者に受電させるための電線路をいう。次号ロ及び第3項第一号ロにおいて同じ。)以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの

二 小規模発電設備であって、次のいずれにも該当するもの

 イ 出力が経済産業省令で定める出力未満のものであること。

 ロ 低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものであること。

三 前二号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの

<電気事業法施行規則第48条(抜粋)>
法第38条第1項ただし書の経済産業省令で定める電圧は、(1)(3)\( \ \color {red} {\underline {600 \ \mathrm {V}}} \ \)とする。

2 法第38条第1項ただし書の経済産業省令で定める発電用の電気工作物は、次のとおりとする。ただし、次の各号に定める設備であって、同一の構内に設置する次の各号に定める他の設備と電気的に接続され、それらの設備の出力の合計が(5)\( \ \color {blue} {\underline {50 \ \mathrm {kW}}} \ \)以上となるものを除く。

一 太陽電池発電設備であって出力(4)\( \ \color {blue} {\underline {50 \ \mathrm {kW}}} \ \)未満のもの

二 風力発電設備であって出力(5)\( \ \color {blue} {\underline {20 \ \mathrm {kW}}} \ \)未満のもの

三 次のいずれかに該当する水力発電設備であって、出力\( \ 20 \ \mathrm {kW} \ \)未満のもの

 イ 最大使用水量が\( \ 1 \ \mathrm {m^{3} / s} \ \)未満のもの(ダムを伴うものを除く。)

 ロ 特定の施設内に設置されるものであって別に告示するもの

四 内燃力を原動力とする火力発電設備であって出力(2)\( \ \color {red} {\underline {10 \ \mathrm {kW}}} \ \)未満のもの

五 次のいずれかに該当する燃料電池発電設備であって、出力\( \ 10 \ \mathrm {kW} \ \)未満のもの

 イ 固体高分子型又は固体酸化物型の燃料電池発電設備であって、燃料・改質系統設備の最高使用圧力が\( \ 0.1 \ \mathrm {MPa} \ \)(液体燃料を通ずる部分にあっては、\( \ 0.1 \ \mathrm {MPa} \ \))未満のもの

 ロ 道路運送車両法第2条第2項に規定する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)に設置される燃料電池発電設備(当該自動車の動力源として用いる電気を発電するものであって、圧縮水素ガスを燃料とするものに限る。)であって、道路運送車両の保安基準第17条第1項及び第17条の2第5項の基準に適合するもの

六 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令(平成九年通商産業省令第五十一号)第73条の2第1項に規定するスターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備であって、出力\( \ 10 \ \mathrm {kW} \ \)未満のもの