《法規》〈電気事業法〉[H22:問1]太陽光発電所の出力の違いによる手続きの違いに関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の文章は,「電気事業法」 及び 「電気事業法施行規則」に基づく,太陽電池発電所の設置についての記述である。

a.出力\( \ 20 \ \mathrm {[kW]} \ \)(※)の太陽電池発電所を設置しようとする者は,\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)を経済産業大臣に届け出なければならない。

b.出力\( \ 500 \ \mathrm {[kW]} \ \)(※)以上の太陽電池発電所を設置しようとする者は,\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)を経済産業大臣に届け出なければならない。

c.出力\( \ 1 \ 000 \ \mathrm {[kW]} \ \)(※)以上の太陽電池発電所を設置しようとする者は,\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)ならない。

※ 問題文は出題当時のまま掲載していますが,令和4年現在の法令ではa.出力\( \ 50 \ \mathrm {[kW]} \ \),b.出力\( \ 2 \ 000 \ \mathrm {[kW]} \ \),c.出力\( \ 5 \ 000 \ \mathrm {[kW]} \ \)が問題として適切となります。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

\[
\begin{array}{cccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) \\
\hline
(1) &  工事の計画  &  保安規程   &  使用前自主検査を行わなければ   \\
\hline
(2) &  保安規程   &  工事の計画  &  工事計画の認可を受けなければ   \\
\hline
(3) &  保安規程   &  工事の計画  &  電気主任技術者を選任しなければ  \\
\hline
(4) &  工事の計画  &  保安規程   &  電気主任技術者を選任しなければ  \\
\hline
(5) &  工事の計画  &  保安規程   &  工事計画の認可を受けなければ   \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

電気事業法に多岐にわたる内容から合わせた問題です。
平成22年は固定価格買取制度が始まった時期なので,太陽光に関する法体制に関して出題されたと考えられます。
令和4年に電気主任技術者の外部委託承認制度が下図のように\( \ 2 \ 000 \ \mathrm {[kW]} \ \)から\( \ 5 \ 000 \ \mathrm {[kW]} \ \)見直されているので,この辺りは出題されやすくなります。随時最新の情報を集めるようにしましょう。


出典:経済産業省 第10回 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 電力安全小委員会 電気保安制度ワーキンググループ 資料4
URL:https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/hoan_seido/pdf/010_04_00.pdf

【解答】

解答:(3)
(ア)
電気事業法第42条第1項及び電気事業法施行規則第48条第2項の通り,「保安規程」となります。ただし,現在は\( \ 50 \ \mathrm {[kW]} \ \)以上が届出対象となります。

(イ)
電気事業法第48条第1項及び電気事業法施行規則第65条第1項1号の通り,「工事の計画」となります。ただし,現在は\( \ 2 \ 000 \ \mathrm {[kW]} \ \)以上が届出対象となります。

(ウ)
電気事業法第43条第1項及び電気事業法施行規則第52条第2項1号の通り,「電気主任技術者を選任しなければ」となります。ただし,現在は\( \ 5 \ 000 \ \mathrm {[kW]} \ \)以上が選任対象となります。また,電気事業法第51条の通り,使用前自主検査は行う必要があります。

<電気事業法第42条(抜粋)>
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、主務省令で定めるところにより、保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに(ア)保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用(第51条第1項の自主検査又は第52条第1項の事業者検査を伴うものにあつては、その工事)の開始前に、主務大臣に届け出なければならない。

<電気事業法施行規則第48条(抜粋)(小出力発電設備の規定)>
法第38条第1項の経済産業省令で定める電圧は、600 V とする。

2 法第38条第1項の経済産業省令で定める発電用の電気工作物は、次のとおりとする。ただし、次の各号に定める設備であって、同一の構内に設置する次の各号に定める他の設備と電気的に接続され、それらの設備の出力の合計が 50 kW 以上となるものを除く。

一 太陽電池発電設備であって出力(ア) 50 kW 未満のもの

二 風力発電設備であって出力 20 kW 未満のもの

三 次のいずれかに該当する水力発電設備であって、出力 20 kW 未満のもの

四 内燃力を原動力とする火力発電設備であって出力 10 kW 未満のもの

五 次のいずれかに該当する燃料電池発電設備であって、出力 10 kW 未満のもの

<電気事業法第43条(抜粋)>
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、(ウ)主任技術者を選任しなければならない。

<電気事業法施行規則第52条(抜粋)>
法第43条第1項の規定による主任技術者の選任は、次の表の上欄に掲げる事業場又は設備ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる者のうちから行うものとする。

2 次の各号のいずれかに掲げる自家用電気工作物に係る当該各号に定める事業場のうち、当該自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督に係る業務(以下「保安管理業務」という。)を委託する契約(以下「委託契約」という。)が次条に規定する要件に該当する者と締結されているものであって、保安上支障がないものとして経済産業大臣(事業場が一の産業保安監督部の管轄区域内のみにある場合は、その所在地を管轄する産業保安監督部長。次項並びに第五十三条第一項、第二項及び第五項において同じ。)の承認を受けたもの並びに発電所、蓄電所、変電所及び送電線路以外の自家用電気工作物であって鉱山保安法が適用されるもののみに係る前項の表第3号又は第6号の事業場については、同項の規定にかかわらず、電気主任技術者を選任しないことができる。
一 (ウ)出力 5 000 kW 未満の太陽電池発電所又は蓄電所であって電圧 7 000 V 以下で連系等をするもの 前項の表第6号の事業場
二 出力 2 000 kW 未満の発電所(水力発電所、火力発電所及び風力発電所に限る。)であって電圧 7 000 V 以下で連系等をするもの 前項の表第一号、第二号又は第六号の事業場
三 出力 1 000 kW 未満の発電所(前二号に掲げるものを除く。)であって電圧 7 000 V 以下で連系等をするもの 前項の表第三号又は第六号の事業場
四 電圧 7 000 V 以下で受電する需要設備 前項の表第三号又は第六号の事業場

<電気事業法第48条(抜粋)>
事業用電気工作物の設置又は変更の工事(前条第一項の主務省令で定めるものを除く。)であつて、主務省令で定めるものをしようとする者は、その(イ)工事の計画を主務大臣に届け出なければならない。その工事の計画の変更(主務省令で定める軽微なものを除く。)をしようとするときも、同様とする。

<電気事業法施行規則第65条(抜粋)>
法第48条第1項の主務省令で定めるものは、次のとおりとする。
一 事業用電気工作物の設置又は変更の工事であって、別表第二の上欄に掲げる工事の種類に応じてそれぞれ同表の下欄に掲げるもの(事業用電気工作物が滅失し、若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において、やむを得ない一時的な工事としてするものを除く。)

別表第二(抜粋)
発電所 設置の工事
 認可を要するもの
  出力 20 kW 以上の発電所の設置であって、次に掲げるもの以外のもの
  (4) 太陽電池発電所の設置
 事前届出を要するもの
  (イ)(9) 出力 2 000 kW 以上の太陽電池発電所の設置

<電気事業法第51条(抜粋)>
第48条第1項の規定による届出をして設置又は変更の工事をする事業用電気工作物(その工事の計画について同条第4項の規定による命令があつた場合において同条第1項の規定による届出をしていないもの及び第49条第1項の主務省令で定めるものを除く。)であつて、主務省令で定めるものを設置する者は、主務省令で定めるところにより、その使用の開始前に、当該事業用電気工作物について自主検査を行い、その結果を記録し、これを保存しなければならない。