《法規》〈電気事業法〉[H24:問3]電気事業法及び電気設備技術基準に基づく公害の防止に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次のaからcの文章は,電気設備に係る公害等の防止に関する記述の一部である。

「電気事業法」並びに「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づき,適切なものと不適切なものの組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

a.電気事業法において,電気工作物の工事,維持及び運用を規制するのは,公共の安全を確保し,及び環境の保全を図るためである。

b.変電所,開閉所若しくはこれらに準ずる場所に設置する,大気汚染防止法に規定するばい煙発生施設(一定の燃焼能力以上のガスタービン及びディーゼル機関)から発生するばい煙の排出に関する規制については,電気設備技術基準など電気事業法の相当規定の定めるところによることとなっている。

c.電気機械器具であって,ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油を使用するものは,新しく電路に施設してはならない。ただし,この規制が施行された時点で現に電路に施設されていたものは,一度取り外しても,それを流用,転用するため新たに電路に施設することができる。

\[
\begin{array}{cccc}
& \mathrm {a} & \mathrm {b} & \mathrm {c} \\
\hline
(1) &  適 切  &  適 切  &  適 切  \\
\hline
(2) &  適 切  &  適 切  &  不適切  \\
\hline
(3) &  適 切  &  不適切  &  不適切  \\
\hline
(4) &  不適切  &  適 切  &  適 切  \\
\hline
(5) &  不適切  &  不適切  &  適 切  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

aは確実に理解しておいた方が良い問題,bとcは実務で扱っている方であれば常識問題となります。全体としては,難易度は高めの問題と言えると思います。

【解答】

解答:(2)
(ア)適切
電気事業法第1条の通り,電気事業法において,電気工作物の工事,維持及び運用を規制するのは,公共の安全を確保し,及び環境の保全を図るためとなります。

(イ)適切
大気汚染防止法第27条第1項の通り,電気事業法に規定する電気工作物は,ばい煙発生設備も含め,電気設備技術基準など電気事業法の相当規定の定めるところによることとなっています。これは高圧ガス保安法等においても同じで,電気事業法に規定する電気工作物であれば,高圧ガスを使用する設備であっても電気事業法の規定の定めるところによることとなっています。

(ウ)不適切
電気設備に関する技術基準を定める省令第19条の通り,ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油を使用する電気機械器具及び電線は、電路に施設してはいけません。

<電気事業法第1条>
この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによつて、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、a.電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによつて、a.公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。

<大気汚染防止法第27条(抜粋)>
b.電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第一項第十八号に規定する電気工作物、ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第二条第十三項に規定するガス工作物又は鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)第十三条第一項の経済産業省令で定める施設であるばい煙発生施設、特定施設、揮発性有機化合物排出施設、一般粉じん発生施設、特定粉じん発生施設又は水銀排出施設(以下「ばい煙発生施設等」という。)において発生し、又は飛散するばい煙、特定物質、揮発性有機化合物、一般粉じん、特定粉じん又は水銀等(以下「ばい煙等」という。)を排出し、又は飛散させる者については、第六条から第十条まで(同条第二項にあつては、第十七条の十三第一項、第十八条の十三第一項及び第十八条の三十一第一項において準用する場合を含む。)、第十一条及び第十二条(これらの規定を第十七条の十三第二項、第十八条の十三第二項及び第十八条の三十一第二項において準用する場合を含む。)、第十七条第二項及び第三項、第十七条の五から第十七条の九まで、第十八条、第十八条の二、第十八条の六から第十八条の九まで並びに第十八条の二十三から第十八条の二十七までの規定を適用せず、b.電気事業法、ガス事業法又は鉱山保安法b.の相当規定の定めるところによる。

<電気設備に関する技術基準を定める省令第19条>
14 c.ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油を使用する電気機械器具及び電線は、電路に施設してはならない。