《法規》〈電気設備技術基準〉[H28:問11]地絡遮断装置に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

「電気設備技術基準の解釈」に基づく地絡遮断装置の施設に関する記述について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 金属製外箱を有する使用電圧が\( \ \mathrm {60 \ V} \ \)を超える低圧の機械器具に接続する電路には,電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を原則として施設しなければならないが,この装置を施設しなくてもよい場合として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\( \ \)(1) 機械器具に施された\( \ \mathrm {C} \ \)種接地工事又は\( \ \mathrm {D} \ \)種接地工事の接地抵抗値が\( \ 3 \ \mathrm {\Omega } \ \)以下の場合

\( \ \)(2) 電路の系統電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が\( \ \mathrm {300 \ V } \ \)以下のものに限る。)を施設するとともに,当該絶縁変圧器の機械器具側の電路を非接地とする場合

\( \ \)(3) 機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける過電流遮断器を取り付け,かつ,電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合

\( \ \)(4) 機械器具に簡易接触防護措置(金属製のものであって,防護措置を施す機械器具と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合

\( \ \)(5) 機械器具を乾燥した場所に施設する場合

(b) 高圧又は特別高圧の電路には,下表の左欄に掲げる箇所又はこれに近接する箇所に,同表中欄に掲げる電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし,同表右欄に掲げる場合はこの限りではない。
表内の下線部(ア)から(ウ)のうち,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

上記表において,引出口とは,常時又は事故時において,発電所又は発電所若しくはこれに準ずる場所から電線路へ電流が流出する場所をいう。

(1) (ア)のみ
(2) (イ)のみ
(3) (ウ)のみ
(4) (ア)と(イ)の両方
(5) (イ)と(ウ)の両方

【ワンポイント解説】

(a)は難しい問題と言えると思います。なかなかこの文章内容で間違いを見つけ出すことは難しいかもしれません。一方,(b)は比較的易しい問題と言えると思います。基本的に遮断する場合は故障点より電源側を遮断する必要があるという原則を理解していれば問題なく解けると思います。

【解答】

(a)解答:(3)
(1):正しい
問題文の通りです。電気設備技術基準の解釈第36条第1項の四の通り,機械器具に施された\( \ \mathrm {C} \ \)種接地工事又は\( \ \mathrm {D} \ \)種接地工事の接地抵抗値が\( \ 3 \ \mathrm {\Omega } \ \)以下の場合,自動的に電路を遮断する装置を施設しなくてもよい条件となります。

(2):正しい
電気設備技術基準の解釈第36条第1項の五の通り,電路の系統電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が\( \ \mathrm {300 \ V } \ \)以下のものに限る。)を施設するとともに,当該絶縁変圧器の機械器具側の電路を非接地とする場合,自動的に電路を遮断する装置を施設しなくてもよい条件となります。

(3):誤り
電気設備技術基準の解釈第36条第1項の六の通り,機械器具内の電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器を取り付け,かつ,電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合,自動的に電路を遮断する装置を施設しなくてもよい条件となりますが,過電流遮断器を取り付けても,自動的に電路を遮断する装置を施設しなくてもよい条件とはなりません。

(4):正しい
電気設備技術基準の解釈第36条第1項の一の通り,機械器具に簡易接触防護措置(金属製のものであって,防護措置を施す機械器具と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合,自動的に電路を遮断する装置を施設しなくてもよい条件となります。

(5):正しい
電気設備技術基準の解釈第36条第1項の二ロの通り,機械器具を乾燥した場所に施設する場合,自動的に電路を遮断する装置を施設しなくてもよい条件となります。

(b)解答:(2)
電気設備技術基準の解釈第36条36-1表の通り,(ア)が電源側,(イ)が負荷側,(ウ)が電源側となります。

<電気設備技術基準の解釈第36条(抜粋)>
金属製外箱を有する使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。

一 (4)機械器具に簡易接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す機械器具と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合

二 機械器具を次のいずれかの場所に施設する場合

イ 発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所

ロ (5)乾燥した場所

ハ 機械器具の対地電圧が150V以下の場合においては、水気のある場所以外の場所

三 機械器具が、次のいずれかに該当するものである場合

イ 電気用品安全法の適用を受ける2重絶縁構造のもの

ロ ゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆したもの

ハ 誘導電動機の2次側電路に接続されるもの

ニ 第13条第二号に掲げるもの

四 (1)機械器具に施されたC種接地工事又はD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下の場合

五 (2)電路の系統電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が300V以下のものに限る。)を施設するとともに、当該絶縁変圧器の機械器具側の電路を非接地とする場合

六 (3)機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器を取り付け、かつ、電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合

七 機械器具を太陽電池モジュールに接続する直流電路に施設し、かつ、当該電路が次に適合する場合

イ 直流電路は、非接地であること。

ロ 直流電路に接続する逆変換装置の交流側に絶縁変圧器を施設すること。

ハ 直流電路の対地電圧は、450V以下であること。

八 電路が、管灯回路である場合

3 高圧又は特別高圧の電路と変圧器によって結合される、使用電圧が300Vを超える低圧の電路には、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、当該低圧電路が次の各号のいずれかのものである場合はこの限りでない。

一 発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所にある電路

二 電気炉、電気ボイラー又は電解槽であって、大地から絶縁することが技術上困難なものに電気を供給する専用の電路

4 高圧又は特別高圧の電路には、36-1表の左欄に掲げる箇所又はこれに近接する箇所に、同表中欄に掲げる電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、同表右欄に掲げる場合はこの限りでない。


(備考) 引出口とは、常時又は事故時において、発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所から電線路へ電流が流出する場所をいう。