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【問題】
【難易度】★★★★☆(やや難しい)
図に示す自家用電気設備で変圧器二次側( 210 V 側) F 点において三相短絡事故が発生した。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,高圧配電線路の送り出し電圧は 6.6 kV とし,変圧器の仕様及び高圧配電線路のインピーダンスは表のとおりとする。なお,変圧器二次側からF点までのインピーダンス,その他記載の無いインピーダンスは無視するものとする。
表
変圧器定格容量/相数300 kV⋅A/三相変圧器定格電圧一次 6.6 kV / 二次 210 V変圧器百分率抵抗降下2%(基準容量 300 kV⋅A)変圧器百分率リアクタンス降下4%(基準容量 300 kV⋅A)高圧配電線路百分率抵抗降下20%(基準容量 10 MV⋅A)高圧配電線路百分率リアクタンス降下40%(基準容量 10 MV⋅A)
(a) F 点における三相短絡電流の値 [kA] として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 1.2 (2) 1.7 (3) 5.2 (4) 11.7 (5) 14.2
(b) 変圧器一次側( 6.6 kV 側)に変流器 CT が接続されており, CT 二次電流が過電流継電器 OCR に入力されているとする。三相短絡事故発生時の OCR 入力電流の値 [A] として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし, CT の変流比は 75 A/5 A とする。
(1) 12 (2) 18 (3) 26 (4) 30 (5) 42
【ワンポイント解説】
(a)は電力科目にも出題される問題です。%インピーダンスを苦手としている方が多くいらっしゃいます。事故電流を求めるのに非常に計算が楽となるため,電気では使用します。%インピーダンスは角度のラジアンと同じで,最初はわかりにくい印象を受けますが,慣れてしまえばそれほど苦にはなりません。
1.百分率インピーダンスの定義
基準容量 Pn ,基準電圧 Vn ,基準電流 In とすると,インピーダンス Z [Ω] の百分率インピーダンス %Z [%] は,
%Z=ZInVn√3×100
で定義され,上式を変形すると,
%Z=√3ZInVn×100=√3ZVnInV2n×100=ZPnV2n×100
となります。
2.百分率インピーダンスの基準容量換算
「1.百分率インピーダンスの定義」より, %Z と Pn が比例関係になることがわかります。
したがって,基準容量 Pn1 の時の百分率インピーダンスを %Z1 とした時に,基準容量 PB2 に換算した百分率インピーダンスを %Z2 とすると,
%Z2=Pn2Pn1×%Z1
となります。
3.三相短絡電流 Is の導出
定格電流を In ,線路の百分率インピーダンスを %Z とすると,
Is=In%Z×100
となります。
【解答】
(a)解答:(5)
基準容量を 300 kV⋅A として,高圧配電線路百分率抵抗降下 %R1 と高圧配電線路百分率リアクタンス降下 %X1 を求めると,
%R1=20×300kV⋅A10000kV⋅A=0.6 [%]%X1=40×300kV⋅A10000kV⋅A=1.2 [%]
となる。変圧器と線路の合成インピーダンス %Z は,
%Z=2+0.6+j4+j1.2=2.6+j5.2 [%]
と求められ,その大きさ |%Z| は,
|%Z|=√2.62+5.22≒5.814 [%]
となる。一方, F 点側の線路の定格電流 In は,
In=300000√3×210≒824.8 [A]
となるため,三相短絡電流 Is は,
Is=In%Z×100=824.85.814×100≒14186 [A]≒14.2 [kA]
と求められる。
(b)解答:(4)
(a)より,変圧器二次側の電流が 14.2 [kA] であるから変圧器一次側の電流 I1 は,
I1=14186×2106600≒451.8 [A]
となる。 CT の変流比が 75 A/5 A であるから, CT 二次側電流 I2CT は,
I2CT=575×451.8≒30 [A]
と求められる。
※(b)しかわからない場合
本問の場合(a)の方が(b)よりも難しく,(a)が解けないと必然的に(b)が解けなくなり,6点+7点=13点をロスしてしまいます。その際にも諦めずに(a)の解答欄から(b)の答えを予測してみて下さい。具体的には,
(1)が1.2[kA]の場合,
1200×2106600×575=2.5 [A]
(1)が1.7[kA]の場合,
1700×2106600×575=3.6 [A]
(1)が5.2[kA]の場合,
5200×2106600×575=11.0 [A]
(1)が11.7[kA]の場合,
11700×2106600×575=24.8 [A]
(1)が14.2[kA]の場合,
14200×2106600×575=30.1 [A]
となり,解答が合うのは,(1) 14.2 kA と(2) 30 A のみとなります。かなり裏技的な解き方ですが,この13点は合否を分けるぐらい非常に大きな点数となります。