《法規》〈電気設備技術基準〉[H23:問6]分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義に関する論説問題

【問題】

【難易度】★☆☆☆☆(易しい)

次の文章は,一般電気事業者及び卸電気事業者以外の者(現:分散型電源設置者)が,構内に発電設備等を設置し,発電設備等を一般電気事業者(現:一般送配電事業者)が運用する電力系統に連系する場合等に用いられる,電気設備技術基準の解釈に定められた用語の定義の一部である。誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 「逆潮流」とは,一般電気事業者及び卸電気事業者以外の発電設備等設置者(現:分散型電源設置者)の構内から,一般電気事業者(現:一般送配電事業者)が運用する電力系統側へ向かう無効電力の流れをいう。

(2) 「転送遮断装置」とは,遮断器の遮断信号を通信回線で伝送し,別の構内に設置された遮断器を動作させる装置をいう。

(3) 「自立運転」とは,発電設備等が電力系統から解列された状態において,当該発電設備等設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態をいう。

(4) 「単独運転」とは,発電設備等が連系している電力系統が,事故等によって系統電源と切り離された状態において,連系している発電設備等の運転だけで発電を継続し,線路負荷に有効電力を供給している状態をいう。

(5) 「逆充電」とは,一般電気事業者及び卸電気事業者以外の者が設置する発電設備等(現:分散型電源)のみが,一般電気事業者(現:一般送配電事業者)が運用する電力系統を加圧し,かつ当該電力系統へ有効電力を供給していない状態をいう。

【ワンポイント解説】

電気設備の技術基準の解釈第220条からの出題です。この年以降,現在(令和3年)まで毎年出題されている分散型電源に関する問題です。
平成23年はそのスタートの年であったため,当時の受験生には厳しい問題であったかもしれませんが,現在の受験生ではかなりの方が正答してくる問題と言えると思います。

【解答】

解答:(1)
(1)誤り
電気設備の技術基準の解釈第220条第1項第4号に規定されている通り,逆潮流とは,分散型電源設置者の構内から,一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れを言います。無効電力の調整は一般送配電事業者の役割となります。

(2)正しい
電気設備の技術基準の解釈第220条第1項第9号に規定されている通り,転送遮断装置とは,遮断器の遮断信号を通信回線で伝送し,別の構内に設置された遮断器を動作させる装置を言います。

(3)正しい
電気設備の技術基準の解釈第220条第1項第7号に規定されている通り,自立運転とは,分散型電源が,連系している電力系統から解列された状態において,当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態を言います。

(4)正しい
電気設備の技術基準の解釈第220条第1項第5号に規定されている通り,単独運転とは,分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,当該分散型電源が発電を継続し,線路負荷に有効電力を供給している状態を言います。

(5)正しい
電気設備の技術基準の解釈第220条第1項第6号に規定されている通り,逆充電とは,分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,分散型電源のみが,連系している電力系統を加圧し,かつ,当該電力系統へ有効電力を供給していない状態を言います。

<電気設備の技術基準の解釈第220条>
この解釈において用いる分散型電源の系統連系設備に係る用語であって、次の各号に掲げるものの定義は、当該各号による。
1 発電設備等 発電設備又は電力貯蔵装置であって、常用電源の停電時又は電圧低下発生時にのみ使用する非常用予備電源以外のもの
2 分散型電源 電気事業法第38条第3項第1号又は第4号に掲げる事業を営む者以外の者が設置する発電設備等であって、一般送配電事業者が運用する電力系統に連系するもの
3 解列 電力系統から切り離すこと。
4 (1)逆潮流 分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れ
5 (4)単独運転 分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、当該分散型電源が発電を継続し、線路負荷に有効電力を供給している状態
6 (5)逆充電 分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、分散型電源のみが、連系している電力系統を加圧し、かつ、当該電力系統へ有効電力を供給していない状態
7 (3)自立運転 分散型電源が、連系している電力系統から解列された状態において、当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態
8 線路無電圧確認装置 電線路の電圧の有無を確認するための装置
9 (2)転送遮断装置 遮断器の遮断信号を通信回線で伝送し、別の構内に設置された遮断器を動作させる装置
10 受動的方式の単独運転検出装置 単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置
11 能動的方式の単独運転検出装置 分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき、単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置
12 スポットネットワーク受電方式 2以上の特別高圧配電線(スポットネットワーク配電線)で受電し、各回線に設置した受電変圧器を介して2次側電路をネットワーク母線で並列接続した受電方式
13 二次励磁制御巻線形誘導発電機 二次巻線の交流励磁電流を周波数制御することにより可変速運転を行う巻線形誘導発電機