《機械》〈電熱〉[H18:問11]物体とその周囲の外界との間の熱の移動に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

物体とその周囲の外界(気体又は液体)との間の熱の移動は,対流と\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)によって行われる。そのうち,表面と周囲の温度差が比較的小さいときは対流が主になる。

いま,物体の表面積を\( \ S \ \mathrm {[m^{2} ]} \ \),周囲との温度差を\( \ t \ \mathrm {[K]} \ \)とすると,物体から対流によって伝達される熱流\( \ I \ \mathrm {[W]} \ \)は次式となる。
\[
\begin{eqnarray}
I &=&\alpha St \ \mathrm {[W]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] この式で,\( \ \alpha \ \)は\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)と呼ばれ,単位は\( \ \mathrm {[W/(m^{2}\cdot K)]} \ \)で表される。この値は主として,物体の周囲の流体及び流体の流速によって大きく変わる。また,\( \ \alpha \ \)の逆数\( \ \displaystyle \frac {1}{\alpha } \ \)は\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)と呼ばれる。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
\[
\begin{array}{cccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) \\
\hline
(1) &  放 射  &  熱伝達係数  &  表面熱抵抗率  \\
\hline
(2) &  伝 導  &  熱伝達係数  &  表面熱抵抗率  \\
\hline
(3) &  伝 導  &  熱伝導率   &  体積熱抵抗率  \\
\hline
(4) &  放 射  &  熱伝達係数  &  体積熱抵抗率  \\
\hline
(5) &  放 射  &  熱伝導率   &  表面熱抵抗率  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

物体における熱の移動に関する問題です。
熱の伝わり方は熱伝導,熱対流,熱放射の\( \ 3 \ \)種類です。それぞれの現象をイメージして理解していくようにして下さい。

1.熱伝導
図1に示すように,ある温度差がある物体において,高温部から低温部に向かい熱が伝わる現象を熱伝導といいます。
物体の温度差を\( \ \theta =T_{1}-T_{2} \ \mathrm {[K]} \ \),熱抵抗を\( \ R \ \mathrm {[K / W]} \ \)とすると,物体の熱流\( \ I \ \mathrm {[W]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
I &=& \frac {\theta }{R} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,これを熱力学のオームの法則といいます。
物体の熱伝導率が\( \ \lambda \ \mathrm {[W / (m\cdot K )]} \ \),断面積が\( \ S \ \mathrm {[m^{2}]} \ \),長さが\( \ l \ \mathrm {[m]} \ \)であるとき,物体の熱抵抗\( \ R \ \mathrm {[K / W]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
R &=& \frac {l}{\lambda S} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で求められます。

2.熱対流
図2に示すように,液体や気体の流動により,熱が移動する現象を熱対流といいます。
物体間の温度差を\( \ \theta \ \mathrm {[K]} \ \),表面熱抵抗を\( \ R \ \mathrm {[K / W]} \ \)とすると,物体の熱流\( \ I \ \mathrm {[W]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
I &=& \frac {\theta }{R} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,熱力学のオームの法則が成立します。熱伝達係数が\( \ h \ \mathrm {[W / (m ^{2}\cdot K )]} \ \),断面積が\( \ S \ \mathrm {[m^{2}]} \ \)であるとき,表面熱抵抗\( \ R \ \mathrm {[K / W]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
R &=& \frac {1}{hS} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で求められます。

3.熱放射
図3のように,電磁波の放射により熱が伝わる現象を熱放射といいます。
面積\( \ A_{1} \ \mathrm {[m^{2}]} \ \),温度\( \ T_{1} \ \mathrm {[K]} \ \)の高温面と,面積\( \ A_{2} \ \mathrm {[m^{2}]} \ \),温度\( \ T_{2} \ \mathrm {[K]} \ \)の低温面があるとき,\( \ 1 \ \)秒当たりに高温面から低温面に伝わるエネルギー\( \ \mathit {\Phi } \ \mathrm {[W]} \ \)は,\( \ \varepsilon \ \)を放射率,\( \ \sigma \ \mathrm {[W / \left( m^{2}\cdot K^{4}\right) ]} \ \)をステファン・ボルツマン定数,\( \ F_{12} \ \)を形態係数とすると,
\[
\begin{eqnarray}
\mathit {\Phi } &=& \varepsilon \sigma A_{1}F_{12}\left( T_{1}^{4}-T_{2}^{4}\right) \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で求められ,これをステファン・ボルツマンの法則といいます。

【解答】

解答:(1)
(ア)
ワンポイント解説「3.熱放射」の通り,物体とその周囲の外界(気体又は液体)との間の熱の移動に該当するのは放射となります。

(イ)
ワンポイント解説「2.熱対流」の通り,\( \ \displaystyle \frac {1}{\alpha S} \ \)は表面熱抵抗であり,\( \ \alpha \ \)は熱伝達係数となります。

(ウ)
ワンポイント解説「2.熱対流」の通り,\( \ \displaystyle \frac {1}{\alpha S} \ \)は表面熱抵抗であり,\( \ \displaystyle \frac {1}{\alpha } \ \)は表面熱抵抗率といいます。