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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
同期発電機を商用電源(電力系統)に遮断器を介して接続するためには,同期発電機の\( \ \fbox { (ア) } \ \)の大きさ,\( \ \fbox { (イ) } \ \)及び位相が商用電源のそれらと一致していなければならない。同期発電機の商用電源への接続に際しては,これらの条件が一つでも満足されていなければ,遮断器を投入したときに過大な電流が流れることがあり,場合によっては同期発電機が損傷する。仮に,\( \ \fbox { (ア) } \ \)の大きさ,\( \ \fbox { (イ) } \ \)が一致したとしても,位相が異なる場合には位相差による電流が生じる。同期発電機が無負荷のとき,この電流が最大となるのは位相差が\( \ \fbox { (ウ) } \ \mathrm {[°]} \ \)のときである。
同期発電機の\( \ \fbox { (ア) } \ \)の大きさ,\( \ \fbox { (イ) } \ \)及び位相を商用電源のそれらと一致させるには,\( \ \fbox { (エ) } \ \)及び調速装置を用いて調整する。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる語句又は数値として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) & インピーダンス & 周波数 & 60 & 誘導電圧調整器 \\
\hline
(2) & 電 圧 & 回転速度 & 60 & 電圧調整裝置 \\
\hline
(3) & 電 圧 & 周波数 & 60 & 誘導電圧調整器 \\
\hline
(4) & インピーダンス & 回転速度 & 180 & 電圧調整裝置 \\
\hline
(5) & 電 圧 & 周波数 & 180 & 電圧調整裝置 \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
同期発電機を系統に並列させるための条件とその調整方法に関する問題です。
大きな火力発電所等を系統に並列する際には遮断器を投入した際大きな突入電流が流れる可能性があるため,同期検定装置というものを使用して並列させます。昔は手動で投入していましたが,現在は自動投入が主流です。
1.同期発電機の並列条件
同期発電機の並列条件と調整方法は以下の5つです。電圧,周波数,位相の一致が必須であることを覚えておきましょう。
①電圧の大きさが等しいこと → 励磁電流を調整する。
②周波数が等しいこと → 原動機の回転速度を調整する。
③位相が等しいこと → 同期検定器を使用し,位相が合った所で並列する。
④電圧の波形が等しいこと → 回転子の回転速度を一定にする。
⑤相回転が等しいこと → 発電機点検後に相回転方向を確認しておく。
【解答】
解答:(5)
(ア)
ワンポイント解説「1.同期発電機の並列条件」の通り,同期発電機の並列条件として適切なのは電圧の大きさの一致となります。
(イ)
ワンポイント解説「1.同期発電機の並列条件」の通り,同期発電機の並列条件として適切なのは周波数の一致となります。周波数を調整するために同期発電機の回転速度は調整しますが,電力系統には回転速度というものはありませんので空欄として適切なのは周波数となります。
(ウ)
突入電流が最大となるのは位相差が\( \ 180 \ \mathrm {[°]} \ \)のときです。ベクトル図を描けば電圧の大きさが同じで位相差が\( \ 180 \ \mathrm {[°]} \ \)の状態がいかに危険か想像がつきやすいかと思います。
(エ)
ワンポイント解説「1.同期発電機の並列条件」の通り,電圧,周波数,位相を一致させるには電圧調整装置(励磁電流の調整)及び調速装置を用います。