《機械》〈回転機〉[H23:問1]直流発電機の電機子反作用に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,直流発電機の電機子反作用とその影響に関する記述である。

直流発電機の電機子反作用とは,発電機に負荷を接続したとき\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)巻線に流れる電流によって作られる磁束が\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)巻線による磁束に影響を与える作用のことである。電機子反作用はギャップの主磁束を\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)させて発電機の端子電圧を低下させたり,ギャップの磁束分布に偏りを生じさせてブラシの位置と電気的中性軸とのずれを生じさせる。このずれがブラシがある位置の導体に\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)を発生させ,ブラシによる短絡等の障害の要因となる。ブラシの位置と電気的中性軸とのずれを抑制する方法の一つとして,補極を設けギャップの磁束分布の偏りを補正する方法が採用されている。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) &  界 磁  &  電機子  &  減 少  &  接触抵抗  \\
\hline
(2) &  電機子  &  界 磁  &  増 加  &  起電力   \\
\hline
(3) &  界 磁  &  電機子  &  減 少  &  起電力   \\
\hline
(4) &  電機子  &  界 磁  &  減 少  &  起電力   \\
\hline
(5) &  界 磁  &  電機子  &  増 加  &  接触抵抗  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

直流発電機の電機子反作用に関する問題です。
電機子反作用に関する問題は数年に1度程度出題され,内容もほぼパターン化しているので理解しておくと確実な得点源となります。
補極や補償巻線といった対策も概要だけで良いので理解しておくようにしましょう。

1.直流機の電機子反作用
直流機は,図1に示すように,界磁電流により作られる界磁磁束に電機子電流により発生する磁束が合成され,磁束が強め合う部分と磁束が弱め合う部分が発生します。これにより,界磁磁束に乱れが生じます。これを電機子反作用と言います。電機子反作用により以下の現象が発生します。
①主磁束の減少
 強め合う部分では磁気飽和により磁束はそれほど強くならず,弱め合う部分では磁束が弱くなるという交差磁化作用が発生するため,全体として磁束が減少します。
②電気的中性軸の移動
 磁束分布が乱れることで,電気的中性軸が発電機では回転方向と同方向,電動機では逆方向に移動します。
③整流子片での火花の発生
 磁束分布が乱れ,整流子片に起電力が生じ,整流子片間にアークが生じやすくなります。

【解答】

解答:(4)
(ア)
ワンポイント解説「1.直流機の電機子反作用」の通り,影響を与えるのは電機子巻線によって流れる電流によって作られる磁束となります。

(イ)
ワンポイント解説「1.直流機の電機子反作用」の通り,影響を与えられるのは界磁巻線による磁束となります。

(ウ)
ワンポイント解説「1.直流機の電機子反作用」の通り,主磁束は強め合う部分では磁気飽和によりあまり強くならず,弱め合う部分では弱くなるので,全体として減少します。

(エ)
ワンポイント解説「1.直流機の電機子反作用」の通り,電機子反作用により発生するのは起電力となります。