《機械》〈回転機〉[R01:問2]直流機の電機子反作用に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

直流機の電機子反作用に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 直流発電機や直流電動機では,電機子巻線に電流を流すと,電機子電流によって電機子周辺に磁束が生じ,電機子電圧を誘導する磁束すなわち励磁磁束が,電機子電流の影響で変化する。これを電機子反作用という。

(2) 界磁電流による磁束のベクトルに対し,電機子電流による電機子反作用磁束のベクトルは,同じ向きとなるため,電動機として運転した場合に増磁作用,発電機として運転した場合に減磁作用となる。

(3) 直流機の界磁磁極片に補償巻線を設け,そこに電機子電流を流すことにより,電機子反作用を緩和できる。

(4) 直流機の界磁磁極の\( \ \mathrm {N} \ \)極と\( \ \mathrm {S} \ \)極の間に補極を設け,そこに設けたコイルに電機子電流を流すことにより,電機子反作用を緩和できる。

(5) ブラシの位置を適切に移動させることで,電機子反作用を緩和できる。

【ワンポイント解説】

電機子反作用は電機子に電流が流れることにより,その周囲に磁束が発生し,磁束の分布が偏るために発生する事象です。同期機の話になりますが,平成26年問5の問題は電機子反作用を理解しやすい問題ではないかと思います。

【解答】

解答:(2)
(1)正しい
問題文の通りです。直流発電機や直流電動機では,電機子巻線に電流を流すと,電機子電流によって電機子周辺に磁束が生じ,電機子電圧を誘導する磁束すなわち励磁磁束が,電機子電流の影響で変化します。これは電機子反作用の説明そのものです。

(2)誤り
直流機の電機子反作用は増磁作用や減磁作用といった概念ではなく,電機子電流による電機子反作用磁束のベクトルが主磁束を強め合う部分,弱め合う部分が存在
し,磁気飽和により強め合う部分の磁束が一定以上強くならないため,全体として界磁電流による磁束が減少してしまうという現象です。

(3)正しい
問題文の通り,直流機の界磁磁極片に補償巻線を設け,そこに電機子電流を流すことにより,電機子反作用を緩和できます。

(4)正しい
問題文の通り,直流機の界磁磁極の\( \ \mathrm {N} \ \)極と\( \ \mathrm {S} \ \)極の間に補極を設け,そこに設けたコイルに電機子電流を流すことにより,電気反作用を緩和できます。

(5)正しい
問題文の通り,ブラシの位置を適切に移動させることで,電機子反作用を緩和できます。