《機械》〈パワーエレクトロニクス〉[H27:問10]直流チョッパの平均電流に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

図のような直流チョッパがある。

直流電源電圧\( \ E=400 \ \mathrm {V} \ \),平滑リアクトル\( \ L=1 \ \mathrm {mH} \ \),負荷抵抗\( \ R= 10 \ \mathrm {\Omega } \ \),スイッチ\( \ \mathrm {S} \ \)の動作周波数\( \ f=10 \ \mathrm {kHz} \ \),通流率\( \ d=0.6 \ \)で回路が定常状態になっている。\( \ \mathrm {D} \ \)はダイオードである。このとき負荷抵抗に流れる電流の平均値\( \ \mathrm {[A]} \ \)として最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) \( \ 2.5 \ \)  (2) \( \ 3.8 \ \)  (3) \( \ 16.0 \ \)  (4) \( \ 24.0 \ \)  (5) \( \ 40.0 \ \)

【ワンポイント解説】

図は直流チョッパのうち,降圧チョッパの回路となります。それほど計算が難しい問題ではありませんが,交流の回路計算と異なり本問の電源は直流であるため,平滑リアクトルはリアクタンスとしての動作ではなく,エネルギーを蓄える機能を有します。恐らくかなりの受験生が勘違いしたのではないかと思う,非常に間違えやすい引っ掛け問題となっていますので気を付けるようにして下さい。

【関連する「電気の神髄」記事】

  降圧チョッパ回路の理論

【解答】

解答:(4)
スイッチ\( \ \mathrm {S} \ \)がオンの時とオフの時の電流の流れは図1のようになる。
通流率\(\displaystyle \ d=\frac {T_{\mathrm {ON}}}{T_{\mathrm {ON}}+T_{\mathrm {OFF}}}=0.6 \ \)であるので平均電圧は\( \ 0.6E \ \)となる。よって,抵抗\( \ R \ \)での電圧波形は図2の赤線のようになる。
よって,負荷抵抗に流れる電流の平均値\( \ I \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
I&=&\displaystyle \frac {0.6E}{R} \\[ 5pt ] &=&\frac {0.6\times 400}{10} \\[ 5pt ] &=&24 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。