《機械》〈変圧器〉[H30:問15]変圧器の等価回路に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

無負荷で一次電圧\( \ 6600 \ \mathrm {V} \ \),二次電圧\( \ 200 \ \mathrm {V} \ \)の単相変圧器がある。一次巻線抵抗\( \ r_{1}= 0.6 \ \Omega \ \),一次巻線漏れリアクタンス\( \ x_{1}= 3 \ \Omega \ \),二次巻線抵抗\( \ r_{2}= 0.6 \ \mathrm {m \Omega} \ \),二次巻線漏れリアクタンス\( \ x_{2}= 3 \ \mathrm {m \Omega} \ \)である。計算に当たっては,二次側の諸量を一次側に換算した簡易等価回路を用い,励磁回路は無視するものとして,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) この変圧器の一次側に換算したインピーダンスの大きさ\([\Omega ] \)として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (1) \(1.15\)  (2) \(3.60\)  (3) \(6.27\)  (4) \(6.37\)  (5) \(7.40\)

(b) この変圧器の二次側を\( \ 200 \ \mathrm {V} \ \)に保ち,容量\( \ 200 \ \mathrm {kV\cdot A} \ \),力率\( \ 0.8 \ \)(遅れ)の負荷を接続した。このときの一次電圧の値\(\mathrm { [V ]} \)として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (1) \(1.15\)  (2) \(3.60\)  (3) \(6.27\)  (4) \(6.37\)  (5) \(7.40\)

【ワンポイント解説】

簡易等価回路を描いて,一次側換算して解くという,変圧器の重要な部分を網羅している非常に良い問題と言えます。全体としてこの問題が解けるレベルに到達すれば機械科目としては合格ができる可能性が高いと考えられます。

1.変圧器の等価回路(一次換算)
変圧器の一次側等価回路を図1に示します。ただし,\({\dot V}_{1}\)は一次側端子電圧,\({\dot I}_{1}\)は一次電流,\({\dot I}_{2}\)は二次電流,\({\dot I}_{0}\)は励磁電流,\(r_{1}\)は一次巻線抵抗,\(r_{2}\)は二次巻線抵抗,\(x_{1}\)は一次漏れリアクタンス,\(x_{2}\)は二次漏れリアクタンス,\(a\)は変圧比(巻数比)となります。

【解答】

(a)解答:(4)
巻数比\(a\)は,
\[
\begin{eqnarray}
a&=&\frac {V_{1}}{V_{2}} \\[ 5pt ] &=&\frac {6600}{200} \\[ 5pt ] &=&33 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] であるから,二次巻線抵抗及び二次巻線漏れリアクタンスの一次側換算の値は,
\[
\begin{eqnarray}
a^{2}r_{2}&=&33^{2}\times 0.5 \times 10^{-3} \\[ 5pt ] &=&0.5445 \ \mathrm {[\Omega]} \\[ 5pt ] a^{2}x_{2}&=&33^{2}\times 3 \times 10^{-3} \\[ 5pt ] &=&3.267 \ \mathrm {[\Omega]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となるので,変圧器の一次側に換算したインピーダンスの大きさ\(Z\)は,
\[
\begin{eqnarray}
Z&=&\sqrt {\left( r_{1}+a^{2}r_{2}\right) ^{2}+\left( x_{1}+a^{2}x_{2}\right) ^{2}} \\[ 5pt ] &=&\sqrt {\left( 0.6+0.5445\right) ^{2}+\left( 3+3.267\right) ^{2}} \\[ 5pt ] &=&6.3706 → 6.37 \ \mathrm {[\Omega]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(b)解答:(3)
二次側の電圧が\( \ 200 \ \mathrm {V} \ \)であるので,一次側に換算すると,
\[
\begin{eqnarray}
aV_{2}&=&33\times 200 \\[ 5pt ] &=&6600 \ \mathrm {[V]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] であるから,題意に沿って等価回路を描くと図2のようになる。

よって,回路を流れる電流\(I_{1}\)の大きさは,負荷容量\(S\)が\( \ 200 \ \mathrm {kV\cdot A} \ \)であるから,
\[
\begin{eqnarray}
I_{1}&=&\frac {S}{aV_{2}} \\[ 5pt ] &=&\frac {200\times 10^{3}}{6600} \\[ 5pt ] &≒&30.303 \ \mathrm {[A]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。また,力率\(\cos \theta =0.8 \)なので,
\[
\begin{eqnarray}
\sin \theta &=&\sqrt {1-\cos ^{2}\theta } \\[ 5pt ] &=&\sqrt {1-0.8^{2} } \\[ 5pt ] &=&0.6 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。ベクトル図を描くと,図3のようになり,\({\dot V}_{1}\)と\(a{\dot V}_{2}\)の位相差は小さいので,
\[
\begin{eqnarray}
V_{1}&≒&aV_{2}+\left( r_{1} +a^{2}r_{2}\right) I_{1} \cos \theta +\left( r_{1} +a^{2}r_{2}\right) I_{1} \sin \theta \\[ 5pt ] &=&6600+\left( 0.6 +0.5445 \right) \times 30.303 \times 0.8 +\left( 3 +3.267 \right) \times 30.303 \times 0.6 \\[ 5pt ] &≒&6741.7 → 6740 \ \mathrm {[V]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

※最後の計算を近似計算を用いない場合でもほぼ同値が求められます。
\[
\begin{eqnarray}
V_{1}&=&\sqrt {\left[ aV_{2}+\left( r_{1} +a^{2}r_{2}\right) I_{1} \cos \theta +\left( r_{1} +a^{2}r_{2}\right) I_{1} \sin \theta \right] ^{2}+\left[ \left( x_{1} +a^{2}x_{2}\right) I_{1} \cos \theta – \left( r_{1} +a^{2}r_{2}\right) I_{1} \sin \theta \right] ^{2} } \\[ 5pt ] &=&\sqrt {\left[ 6600+\left( 0.6 +0.5445 \right) \times 30.303 \times 0.8 +\left( 3 +3.267 \right) \times 30.303 \times 0.6 \right] ^{2}+\left[ \left( 3 +3.267 \right) \times 30.303 \times 0.8 -\left( 0.6 +0.5445 \right) \times 30.303 \times 0.6 \right] ^{2} } \\[ 5pt ] &≒&\sqrt {6741.7^{2}+131.12^{2}} \\[ 5pt ] &≒&6743.0 → 6740 \ \mathrm {[V]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]