《機械》〈パワーエレクトロニクス〉[R4下:問10]出力電圧波形からの電力変換回路の選定に関する選択問題

Contents

1 【問題】
2 【ワンポイント解説】
3 【解答】

【問題】

【難易度】★★☆☆☆（やや易しい）

図に示す出力電圧波形 $\ v_{\mathrm {R}} \$ を得ることができる電力変換回路として，正しいものを次の(1)～(5)のうちから一つ選べ。ただし，回路中の交流電源は正弦波交流電圧源とする。

【ワンポイント解説】

ダイオードやサイリスタを用いた電力変換回路に関する問題です。
普通は回路が与えられていて出力波形を選択する問題が多いですが，本問は逆に出力波形から回路を求める問題でした。
各選択肢の回路の動作がどのようになるか考えて解くようにしましょう。

1.単相半波サイリスタ整流回路の動作
図1，図2に示す単相半波サイリスタ整流回路は以下のように動作します。

① $\ v_{\mathrm {s}}＞0 \$ でサイリスタ $\ \mathrm {Th} \$ がオンとなったとき
図1のように，電流は交流電源→ $\ \mathrm {Th} \$ →負荷交流電源と流れます。出力電圧 $\ v_{\mathrm {d}} \$ は素子の電圧降下が無視できるとすると，入力電圧 $\ v_{\mathrm {s}} \$ と等しくなります。

② $\ v_{\mathrm {s}}＜0 \$ のとき
図2のように，サイリスタ $\ \mathrm {Th} \$ によって逆阻止となるため，電流は流れません。したがって，電流が流れないため出力電圧 $\ v_{\mathrm {d}} \$ は零となります。

2.単相サイリスタブリッジ整流回路の動作
図3，図4に示す単相サイリスタブリッジ整流回路は以下のように動作します。

① $\ v_{\mathrm {s}}＞0 \$ でサイリスタが $\ \mathrm {T}_{1} \$ と $\ \mathrm {T}_{4} \$ がオンとなったとき
図3のように，電流は交流電源→ $\ \mathrm {T}_{1} \$ →平滑リアクトル→負荷→ $\ \mathrm {T}_{4} \$ →交流電源と流れます。出力電圧 $\ v_{\mathrm {d}} \$ は素子の電圧降下が無視できるとすると，入力電圧 $\ v_{\mathrm {s}} \$ と等しくなります。
$\ v_{\mathrm {s}}＜0 \$ になった以降も平滑リアクトルの容量がなくなるまで，負荷電流 $\ i_{\mathrm {d}} \$ が流れることになります。

② $\ v_{\mathrm {s}}＜0 \$ でサイリスタが $\ \mathrm {T}_{2} \$ と $\ \mathrm {T}_{3} \$ がオンとなったとき
図4のように，電流は交流電源→ $\ \mathrm {T}_{2} \$ →平滑リアクトル→負荷→ $\ \mathrm {T}_{3} \$ →交流電源と流れます。出力電圧 $\ v_{\mathrm {d}} \$ は素子の電圧降下が無視できるとすると， $\ -v_{\mathrm {s}} \$ となります。
$\ v_{\mathrm {s}}＞0 \$ になった以降も平滑リアクトルの容量がなくなるまで，負荷電流 $\ i_{\mathrm {d}} \$ が流れることになります。

3.単相交流電力調整回路の動作
図5，図6に示す単相交流電力調整回路は以下のように動作します。

① $\ v_{\mathrm {s}}＞0 \$ でサイリスタが $\ \mathrm {T}_{1} \$ がオンとなったとき
図5のように，電流は交流電源→ $\ \mathrm {T}_{1} \$ →負荷→交流電源と流れます。出力電圧 $\ v_{\mathrm {d}} \$ は素子の電圧降下が無視できるとすると，入力電圧 $\ v_{\mathrm {s}} \$ と等しくなります。

② $\ v_{\mathrm {s}}＜0 \$ でサイリスタが $\ \mathrm {T}_{2} \$ がオンとなったとき
図6のように，電流は交流電源→負荷→ $\ \mathrm {T}_{2} \$ →交流電源と流れます。出力電圧 $\ v_{\mathrm {d}} \$ は素子の電圧降下が無視できるとすると， $\ v_{\mathrm {s}} \$ となります。