《機械》〈同期機〉[R06上:問6]同期電動機の誘導起電力の導出に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

線間電圧\( \ V \ \)が\( \ 360 \ \mathrm {V} \ \),電機子電流\( \ I \ \)が\( \ 20 \ \mathrm {A} \ \),力率\( \ \cos \theta \ \)が\( \ 1.0 \ \)で運転されている三相同期電動機がある。この電動機の電機子巻線は\( \ \mathrm {Y} \ \)結線,一相の同期リアクタンス\( \ x_{\mathrm {s}} \ \)は\( \ 6 \ \mathrm {\Omega } \ \)である。巻線抵抗の電圧降下は無視するものとし,この運転状態における一相の誘導起電力\( \ E \ \mathrm {[V]} \ \)として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) \( \ 130 \ \)  (2) \( \ 220 \ \)  (3) \( \ 240 \ \)  (4) \( \ 370 \ \)  (5) \( \ 380 \ \)

【ワンポイント解説】

同期電動機の誘導起電力を求める問題です。
同期電動機の等価回路及びベクトル図を描けるかどうかが最大のポイントとなります。
同期発電機と合わせて確実に描けるようにしておきましょう。

1.三相同期電動機の等価回路及びベクトル図
三相同期電動機の等価回路は,端子電圧\( \ \dot V \ \mathrm {[V]} \ \)(相電圧),誘導起電力\( \ \dot E \ \mathrm {[V]} \ \)(相電圧),電機子電流\( \ \dot I \ \mathrm {[A]} \ \),同期リアクタンス\( \ x_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]} \ \)とすると,図1のようになります。ただし,電機子巻線抵抗は十分に小さいものとします。

等価回路にキルヒホッフの法則を適用すると,
\[
\begin{eqnarray}
\dot V &=& \dot E+\mathrm {j}x_{\mathrm {s}}\dot I \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] の関係があることがわかります。
これより,\( \ \dot V \ \mathrm {[V]} \ \)と\( \ \dot I \ \mathrm {[A]} \ \)の力率角を\( \ \theta \ \mathrm {[rad]} \ \),\( \ \dot V \ \mathrm {[V]} \ \)と\( \ \dot E \ \mathrm {[V]} \ \)の相差角を\( \ \delta \ \mathrm {[rad]} \ \)とすると,ベクトル図は図2のように描くことができます。

【解答】

解答:(3)
力率\( \ \cos \theta = 1.0 \ \)なので,ベクトル図を描くと図3のようになる。
図3に三平方の定理を適用すると,
\[
\begin{eqnarray}
E &=&\sqrt {V^{2}+\left( x_{\mathrm {s}}I\right) ^{2}} \\[ 5pt ] &=&\sqrt {\left( \frac {360}{\sqrt {3}}\right) ^{2}+\left( 6\times 20\right) ^{2}} \\[ 5pt ] &=&\sqrt {43 \ 200+14 \ 400} \\[ 5pt ] &=&240 \ \mathrm {[V]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。