《機械》〈電気機器〉[R06下:問10]太陽光発電用パワーコンディショナに関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

図に示す太陽光発電用パワーコンディショナに関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) パワーコンディショナは降圧チョッパとインバータを組み合わせて太陽電池の直流電圧を交流電圧に変換制御する機器である。

(2) 太陽電池の出力は,日射や温度などの環境からの影響を大きく受けるため,その時々の条件で最大電力を出力できるように最大電力点追従制御\( \ \left( \mathrm {MPPT} \right) \ \)が行われる。

(3) チョッパの出力電圧はチョッパとインバータ間に設置されたキャパシタによって平滑され,キャパシタ容量が大きいほどチョッパの出力電圧リプルは小さくなる。

(4) パワーコンディショナのインバータでは,高調波抑制用のフィルタが接続され,\( \ \mathrm {PWM} \ \)制御により電力系統への高調波流出を少なくする。

(5) パワーコンディショナの出力を電力系統と接続するためには系統連系保護装置が必要で,系統側やパワーコンディショナ内に異常が起きた際に,パワーコンディショナの出力を遮断する。

【ワンポイント解説】

太陽光発電用パワーコンディショナに関する問題です。
パワーコンディショナの構成と出力制御に関する内容で,間違いが少し見つけにくい問題であったため,難易度以上に正答率は低かったと予想されます。
電力科目や法規科目でも類題が出題される可能性があるため,太陽光発電システムの内容は理解しておくようにしましょう。

1.太陽光発電の特徴
太陽光のエネルギーが\( \ \mathrm {pn} \ \)接合した半導体の空乏層に照射することにより直流の電力を得ることができ,以下のような特徴があります。
・太陽光を使用するため,エネルギーが無尽蔵
・発電に伴う排ガスや廃棄物がないため,環境負荷が低い
・半導体の特性を利用しているため,長寿命である
・回転体を有しないため,騒音が少ない
・比較的軽量である
・可動部が少ないため,保守が容易
・出力が天候や気象に左右される
・変換効率が悪く,エネルギー密度が低い
・出力が直流であるため,系統連系の際にはパワーコンディショナが必要


出典:電験戦士教本「原子力・その他発電」 P.67
URL:https://denkenia-archives.stores.jp/

2.パワーコンディショナ
太陽光発電で発電した直流を交流に変換するインバータをはじめとする,以下の機器で構成されています。
①昇圧チョッパ
 日照の変化により変動する太陽電池の電圧を一定に昇圧します。
②インバータ
 直流電力を交流に変換します。
 電力は太陽電池の出力変動に応じて,最大電力を得られるようにする最大電力追従制御(\( \ \mathrm {MPPT} \ \)制御)を行います。
③絶縁変圧器
 事故時等に太陽電池の直流が配電線に流出しないようにします。
④連系用リアクトル
 出力の電流の大きさを制御します。
⑤系統連系保護装置
 単独運転,周波数,電圧等の異常を検出して,系統から切り離します。

【解答】

解答:(1)
(1)誤り
ワンポイント解説「2.パワーコンディショナ」の通り,パワーコンディショナは昇圧チョッパとインバータを組み合わせて太陽電池の直流電圧を交流電圧に変換制御する機器です。

(2)正しい
ワンポイント解説「2.パワーコンディショナ」の通り,時々の条件で最大電力を出力できるように最大電力点追従制御\( \ \left( \mathrm {MPPT} \right) \ \)が行われます。

(3)正しい
問題図にある通り,チョッパの出力電圧はチョッパとインバータ間に設置されたキャパシタによって平滑され,キャパシタ容量が大きいほどチョッパの出力電圧リプルは小さくなります。

(4)正しい
問題文の通り,パワーコンディショナのインバータでは,高調波抑制用のフィルタが接続され,\( \ \mathrm {PWM} \ \)制御により電力系統への高調波流出を少なくする方法が取られます。

(5)正しい
ワンポイント解説「2.パワーコンディショナ」の通り,パワーコンディショナの出力を電力系統と接続するため系統連系保護装置が設けられており,系統側やパワーコンディショナ内に異常が起きた際に,パワーコンディショナの出力を遮断します。