平成30年度の試験結果まとめ。配点比重、頻出問題、出題傾向について。

【総合】

昨年並み
科目毎に昨年より難しくなったもの,易しくなったものがありますが,法規の合格点を引き下げており,全体としては昨年と同程度ではなかったかと思います。ただ個人的には受験生のモチベーションアップのためにも1割以上の方が合格するようにして頂きたいと願います。近年はどの科目も合格点が55点が基準になることが多く,今後もその傾向が続くものと思われます。

試験日実施日:平成30年9月2日
申込者数  :61,941人(前年度64,974人)
受験者数  :42,976人(前年度45,720人)
合格者数  :3,918人(前年度3,698人)
合格率   :9.1%(前年度8.1%)
科目合格者数:12,335人(前年度12,176人)
科目合格率 :28.7%(前年度26.9%)

【理論】

やや難化
問1から難しい問題が出題され,今年の理論は昨年度の反動を受けて相当難しくするのかと思いましたが,理論科目全体としては平年並みか若干難しい程度の難易度と思って良いと思います。ただし,問1やB問題全般がやや難しめで逆に問10の時定数の導出等は拍子抜けするほどの問題であり,濃淡のはっきりした傾向が見られました。
計算問題がA問題で14問中8問,B問題が6問中6問で全体で配点が70点であり,全体として計算問題が主であるもののA問題では若干計算問題を減らしていました。
出題内容としては,電磁気が計算問題4問・論説問題3問,電気回路が計算問題7問論説問題1問,電子回路が計算問題2問・論説問題0問,電気電子計測その他が計算問題3問・論説問題が1問で,昨年と比べ電気回路の問題が少なく,電磁気の問題が多かったです。ただ全体の傾向として電磁気と電気回路が基本であることは変わらず,この二分野を制するものが理論科目を制すると言っても過言ではないでしょう。
問1や問7,問11,問13,問14~18が受験生の苦しんだ問題であると思います。逆にいうとこれ以外の問題を正答できれば科目合格できるので,過去問の習熟を中心に基礎力を磨くことが肝要であると思います。

申込者数  :53,735人(前年度57,065人)
受験者数  :33,749人(前年度36,608人)
合格者数  :4,998人(前年度7,085人)
合格率   :14.8%(前年度19.4%)
合格点   :55点(前年度55点)

【電力】

易化
難易度が高かったH28,H29と比べると易しくなっています。特に,B問題は昨年と比べるとかなり易しくなったのではないでしょうか。個人的な予想では電力は60点合格にすると思っておりましたが,予想が外れ55点合格でした。今後も難易度に関係なく55点を基準にするものと予想されます。受験生としてはありがたい傾向ですね。
計算問題がA問題で14問中3問,B問題が6問中6問で全体で配点が45点であり,昨年と割合は同じで,例年並みといえると思います。
出題内容としては,発電が計算問題3問・論説問題4問,送配電が計算問題6問・論説問題6問,変電が計算問題0問・論説問題1問,その他が計算問題0問・論説問題1問で,問題の配分も昨年と全く同様で発電と送配電で全体の9割の問題を占めています。
計算問題は過去問と同様な出題傾向にありますが,問5の風力発電の計算問題等は一種や二種の出題傾向を見ても,近年の新エネルギー設備導入拡大に伴い出題される可能性が高い内容と思います。
今後の電力科目の対策としては,過去問の発電と送配電の問題を計算問題と論説問題をバランスよくマスターすることが重要と考えられます。

申込者数  :57,338人(前年度59,128人)
受験者数  :35,351人(前年度36,721人)
合格者数  :8,876人(前年度4,987人)
合格率   :25.1%(前年度13.6%)
合格点   :55点(前年度55点)

【機械】

やや易化
前年度よりはやや易しくなりましたが,難易度は例年並みであると思います。計算問題がA問題で14問中7問,B問題が6問中6問で全体で配点が65点であり,例年よりかなり多かった印象です。真理値表を計算問題と含めるかどうかは微妙ですが・・・
出題内容としては,回転機が計算問題3問・論説問題5問,変圧器が計算問題1問・論説問題2問,パワーエレクトロニクスが計算問題2問・論説問題1問,電動機応用が計算問題1問・論説問題0問,照明が計算問題2問(選択問題)・論説問題0問,電熱が計算問題0問・論説問題0問,電気化学が計算問題0問・論説問題1問,電気加工が計算問題0問・論説問題0問自動制御が計算問題3問(うち選択問題2問)・論説問題0問メカトロニクスが計算問題0問・論説問題0問,情報伝送及び処理が計算問題1問・論説問題0問となっています。
問1~6,問8~10は非常に重要な内容となりますので確実に理解するようにしましょう。また,問17も照明としては最も出題されやすい傾向の問題なので,理解しておくようにしましょう。
今年は,機械科目のメイン分野である回転機,変圧器,パワーエレクトロニクス,自動制御から8割以上出題され,きちんと勉強された受験生にとっては非常にラッキーであった年であると思います。今後もここまでではないにしろ,これらの分野が中心に出題されると思いますので,勉強の時間配分も回転機,変圧器,パワーエレクトロニクス,自動制御を重点的にすると良いと思います。

申込者数  :54,992人(前年度58,018人)
受験者数  :30,656人(前年度32,850人)
合格者数  :5,991人(前年度5,354人)
合格率   :19.5%(前年度16.3%)
合格点   :55点(前年度55点)

【法規】

難化
前半の問題は問2以外は昨年並み~やや難化程度ですが,後半の計算問題が難しくなり,前年度より難化したと思います。ここ10年を見ても合格点を51点まで下げるのは珍しく,かなり難しかったと思います。問2に関しては電験一種で出題されるようなレベルの問題で,条文を理解した上での判断が必要となります。正直今後の電験三種の試験対策として,ここまでのレベルは必要ないと思います。個人的には合格点を50点以下にしても良かったのではと思ってしまいました。
計算問題がA問題で10問中0問,B問題が6問中6問で全体で配点が40点であり,昨年より計算問題は増えていますが,例年B問題はすべて計算問題である場合が多いため,配点の割合は例年通りとなります。
出題内容としては,電気事業法・電気工事士法が計算問題0問論説問題2問,電気設備技術基準とその解釈が計算問題0問論説問題8問,電力施設管理が計算問題6問,論説問題1問となっており,分野によって出題傾向がくっきりと分かれているのが特徴です。
B問題の計算問題の配点が高く,他の科目と比べると幾分難易度が低いことが多いのですが,今年に関しては全くその傾向は見られませんでした。ただ,難易度は高いもののどの問題も非常に出題されやすい分野からの出題なので,電気施設管理をきちんと勉強された方が今年も合格されたと思います。そのため,条文穴埋めの問題は,出題内容が絞りにくいこともあり,電気施設管理の計算問題をマスターする方が効率的であることは変わりないと思います。今年は受験生が苦手とする電気設備技術基準の解釈からの出題が多く,厳しい年になったと思います。過去問に出題された条文を中心にできるだけたくさんの条文を理解することが重要と思います。

申込者数  :56,901人(前年度59,443人)
受験者数  :33,594人(前年度35,825人)
合格者数  :4,495人(前年度5,798人)
合格率   :13.4%(前年度16.2%)
合格点   :51点(前年度55点)