《電力》〈送電〉[R07下:問11]直流送電の交流送電と比較した特徴に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

直流送電に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 非同期連系ができ,異周波数間の系統連系が可能である。

(2) 送電線のリアクタンスの影響がなく交流の安定度による制約が無いため,電線の許容電流限度まで送電できることから大電力の長距離送電が可能である。

(3) 直流は零点を通過しないため,故障時に生じる大電流を遮断できる直流遮断器の開発に課題がある。

(4) 直流電圧の最大値は同じ実効値の交流電圧より高くなるため,絶縁レベルを増加させる必要がある。

(5) 送受電端に交直変換装置が必要となり,他励式の場合は変換装置から発生する高調波対策が必要となる。

【ワンポイント解説】

直流送電の交流送電と比較した特徴に関する問題です。
直流送電は一般に長距離送電に向いている送電方式とされ,日本では\( \ 100 \ \mathrm {km} \ \)以上の海底ケーブルで採用されています。直流と交流の違いをイメージしながら各項目を理解していくようにして下さい。
本問は令和5年下期問11平成24年問9を組み合わせたような問題となっています。

1.直流送電の得失
<直流送電のメリット>
・安定度の問題がないため,送電線の熱的許容電流まで送電容量を増やせます。したがって,大容量の送電に有利です。
・無効電流による損失がないので,送電損失が少ないです。したがって,長距離送電に有利です。
・同容量のケーブルで,交流に比べ\( \ \sqrt {2} \ \)倍までの電圧を送電できます。
・電圧最大値が実効値と等しいので,絶縁強度を低減が図れます。
・静電容量による充電電流が流れないため,誘電損が発生しません。
・送電線が2条で良いため,建設コストが下がります。

<直流送電のデメリット>
・交直変換装置が必要です。
・交流のように零点がないため,高電圧・大電流の遮断が難しいです。
・変換装置から高調波が発生するため,フィルタや調相設備の設置が必要です。
大地帰路方式において,電食が発生しやすいです。
・変圧器で電圧の変成ができません。

【解答】

解答:(4)
(1)正しい
問題文の通り,直流送電は短絡容量を増大させることなく非同期連系ができ,交直変換装置があるので異周波数間の系統連系が可能となります。

(2)正しい
ワンポイント解説「1.直流送電の得失」の通り,直流送電は送電線のリアクタンスの影響がなく交流の安定度による制約が無いため,電線の許容電流限度まで送電でき,大電力の長距離送電に適しています。

(3)正しい
ワンポイント解説「1.直流送電の得失」の通り,直流送電は零点を通過しないため,故障時に生じる大電流を遮断できる直流遮断器の開発に課題があります。

(4)誤り
ワンポイント解説「1.直流送電の得失」の通り,直流電圧の最大値は同じ実効値の交流電圧より低い(理論上は\( \ 1 / \sqrt {2} \ \)倍)ため,絶縁レベルを低下させることが可能です。

(5)正しい
ワンポイント解説「1.直流送電の得失」の通り,直流送電は送受電端に交直変換装置が必要となり,さらに他励式の場合は変換装置から発生する高調波対策が必要となります。