《電力》〈送電〉[H24:問9]直流送電に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

直流送電に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 直流送電線は,線路の回路構成をするうえで,交流送電線に比べて導体本数が少なくて済むため,同じ電力を送る場合,送電線路の建設費が安い。

(2) 直流は,変圧器で容易に昇圧や降圧ができない。

(3) 直流送電は,交流送電と動揺にケーブル系統での充電電流の補償が必要である。

(4) 直流送電は,短絡容量を増大させることなく異なる交流系統の非同期連系を可能とする。

(5) 直流系統と交流系統の連系点には,交直変換所を設置する必要がある。

【ワンポイント解説】

直流送電に関する問題です。直流送電に関する問題は3種では数年に1回程度,1~3種を含めると毎年のようにどこかで出題されています。

1.直流送電の得失
<直流送電のメリット>
・安定度の問題がないため,送電線の熱的許容電流まで送電容量を増やせます。したがって,大容量の送電に有利です。
・無効電流による損失がないので,送電損失が少ないです。したがって,長距離送電に有利です。
・同容量のケーブルで,交流に比べ\(\sqrt {2}\)倍までの電圧を送電できます。
・電圧最大値が実効値と等しいので,絶縁強度を低減が図れます。
・静電容量による充電電流が流れないため,誘電損が発生しません。
・送電線が2条で良いため,建設コストが下がります。

<直流送電のデメリット>
・交直変換装置が必要です。
・交流のように零点がないため,高電圧・大電流の遮断が難しいです。
・変換装置から高調波が発生するため,フィルタや調相設備の設置が必要です。
・大地帰路方式において,電食が発生しやすいです。
・変圧器で電圧の変成ができません。

【解答】

解答:(3)
(1)正しい
問題文の通りです。交流は送電線3条で送電しますが,直流の場合は2条で済むため,同じ電力を送る場合は建設費用が安く済みます。

(2)正しい
問題文の通りです。ワンポイント解説「1.直流送電の得失」の通り,直流は変圧器での昇圧や降圧ができません。

(3)誤り
直流にはそもそも交流の無効電力のような概念がないため,ケーブルが作る静電容量による充電電流を考慮する必要がありません。

(4)正しい
問題文の通り,直流送電は短絡容量を増大させることなく交流系統の非同期連系が可能です。百分率インピーダンスの概念を理解するとこの選択肢の意味も理解できるようになります。

(5)正しい
問題文の通り,発電も交流,配電も交流であるため,直流系統と交流系統の連系点には,交直変換所を設置する必要があります。