《法規》〈電気設備技術基準〉[H26:問10]過電流遮断器の保護協調に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づき,電源供給用低圧幹線に電動機が接続される場合の過電流遮断器の定格電流及び電動機の過負荷と短絡電流の保護協調に関する記述である。

1.低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流は,次のいずれかによることができる。

 a.その幹線に接続される電動機の定格電流の合計の\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)倍に,他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下であること。

 b.上記aの値が当該低圧幹線の許容電流を\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)倍した値を超える場合は,その許容電流を\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)倍した値以下であること。

 c.当該低圧幹線の許容電流が\( \ 100 \ \mathrm {A} \ \)を超える場合であって,上記a又はbの規定による値が過電流遮断器の標準定格に該当しないときは,上記a又はbの規定による値の\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)の標準定格であること。

2.図は,電動機を電動機保護用遮断器\( \ \left( \mathrm {MCCB} \right) \ \)と熱動継電器(サーマルリレー)付電磁開閉器を組み合わせて保護する場合の保護協調曲線の一例である。図中\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)は電源配線の電線許容電流時間特性を表す曲線である。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) & 3 & 2.5 & 直近上位 & ③ \\
\hline
(2) & 3 & 2 & 115%以下 & ② \\
\hline
(3) & 2.5 & 1.5 & 直近上位 & ① \\
\hline
(4) & 3 & 2.5 & 115%以下 & ③ \\
\hline
(5) & 2 & 2 & 直近上位 & ② \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

電気設備技術基準の解釈第148条と電気施設管理のリレーの整定とを組み合わせた問題となっています。電気設備技術基準の解釈の数値はなかなか覚えきれないかもしれませんが,(エ)はリレーの整定に関する基本的事項になるので,確実に答えられるようにしておきたいところです。

【解答】

解答:(1)
(ア)
 電気設備の技術基準の解釈第148条第1項五のイの通り,\( \ 3 \ \)倍となります。

(イ)
 電気設備の技術基準の解釈第148条第1項五のロの通り,\( \ 2.5 \ \)倍となります。

(ウ)
 電気設備の技術基準の解釈第148条第1項五のハの通り,直近上位となります。

(エ)
 電気設備の技術基準の解釈第148条第1項二に,「電線の許容電流は、低圧幹線の各部分ごとに、その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計値以上であること。」と規定されていますし,一般的に電動機の許容電流より電線の許容電流を高くすることは想像に値すると思います。よって解答はとなります。参考となりますが,熱動継電器は電動機の許容電流より早く動作しなければならないので①,電動機保護用遮断器は熱動式の過負荷曲線と電磁引き外しによる短絡保護特性があり,図の②の曲線となります。

<電気設備の技術基準の解釈第148条>
低圧幹線は、次の各号によること。

 一 損傷を受けるおそれがない場所に施設すること。

 二 電線の許容電流は、低圧幹線の各部分ごとに、その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計値以上であること。ただし、当該低圧幹線に接続する負荷のうち、電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具(以下この条において「電動機等」という。)の定格電流の合計が、他の電気使用機械器具の定格電流の合計より大きい場合は、他の電気使用機械器具の定格電流の合計に次の値を加えた値以上であること。

  イ 電動機等の定格電流の合計が\( \ 50 \ \mathrm {A} \ \)以下の場合は、その定格電流の合計の\( \ 1.25 \ \)倍

  ロ 電動機等の定格電流の合計が\( \ 50 \ \mathrm {A} \ \)を超える場合は、その定格電流の合計の\( \ 1.1 \ \)倍

 三 前号の規定における電流値は、需要率、力率等が明らかな場合には、これらによって適当に修正した値とすることができる。

 四 低圧幹線の電源側電路には、当該低圧幹線を保護する過電流遮断器を施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

  イ 低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の\( \ 55 \ \mathrm {%} \ \)以上である場合

  ロ 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又はイに掲げる低圧幹線に接続する長さ\( \ 8 \ \mathrm {m} \ \)以下の低圧幹線であって、当該低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の\( \ 35 \ \mathrm {%} \ \)以上である場合

  ハ 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又はイ若しくはロに掲げる低圧幹線に接続する長さ\( \ 3 \ \mathrm {m} \ \)以下の低圧幹線であって、当該低圧幹線の負荷側に他の低圧幹線を接続しない場合

  ニ 低圧幹線に電気を供給する電源が太陽電池のみであって、当該低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線を通過する最大短絡電流以上である場合

 五 前号の規定における「当該低圧幹線を保護する過電流遮断器」は、その定格電流が、当該低圧幹線の許容電流以下のものであること。ただし、低圧幹線に電動機等が接続される場合の定格電流は、次のいずれかによることができる。

  イ 電動機等の定格電流の合計の(ア)\( \ \color {red}{\underline {3}} \ \)倍に、他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下であること。

  ロ イの規定による値が当該低圧幹線の許容電流を(イ)\( \ \color {red}{\underline {2.5}} \ \)倍した値を超える場合は、その許容電流を(イ)\( \ \color {red}{\underline {2.5}} \ \)倍した値以下であること。

  ハ 当該低圧幹線の許容電流が\( \ 100 \ \mathrm {A} \ \)を超える場合であって、イ又はロの規定による値が過電流遮断器の標準定格に該当しないときは、イ又はロの規定による値の(ウ)直近上位の標準定格であること。

 六 第四号の規定により施設する過電流遮断器は、各極(多線式電路の中性極を除く。)に施設すること。ただし、対地電圧が\( \ 150 \ \mathrm {V} \ \)以下の低圧屋内電路の接地側電線以外の電線に施設した過電流遮断器が動作した場合において、各極が同時に遮断されるときは、当該電路の接地側電線に過電流遮断器を施設しないことができる。

2 低圧幹線に施設する開閉器は、次の各号に適合する場合には、中性線又は接地側電線の極にこれを施設しないことができる。

 一 開閉器は、前条の規定により施設する以外のものであること。

 二 低圧幹線は、次に適合する低圧電路に接続するものであること。

  イ 第19条又は第24条第1項の規定により接地工事を施した低圧電路であること。

  ロ 低圧電路は、次のいずれかに適合するものであること。

   (イ) 電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。

   (ロ) イの規定による接地工事の接地抵抗値が、\( \ 3 \ \mathrm {\Omega } \ \)以下であること。

 三 中性線又は接地側電線の極の電線は、開閉器の施設箇所において、電気的に完全に接続され、かつ、容易に取り外すことができること。