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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
送配電線路のフェランチ効果に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 受電端電圧の方が送電端電圧よりも高くなる現象である。
(2) 線路電流が大きい場合より著しく小さい場合に生じることが多い。
(3) 架空送電線路の負荷側に地中送配電線路が接続されている場合に生じる可能性が高くなる。
(4) 線路電流の位相が電圧に対して遅れている場合に生じることが多い。
(5) 送配電線路のこう長が短い場合より長い場合に生じることが多い。
【ワンポイント解説】
フェランチ効果は受電端電圧が送電端電圧が高くなる現象で,その最も大きな理由が進み電流となります。その名称と現象のみならず,メカニズムを理解しておくようにしましょう。
1.フェランチ効果
送電線の受電端電圧が送電端電圧より高くなる現象で,夜間・休日等軽負荷時,ケーブル等の静電容量が影響して,送電線電流が進み電流となった場合に生じることが多い現象です。
図1のように,通常時であれば,負荷はほぼ遅れ力率であるため,電流は電圧より位相が遅れ,青線のようなベクトル図となります。しかし,電流が進み電流になると,ベクトル図が赤線のような形となり,送電端電圧\( \ {\dot V}_{\mathrm {s}} \ \)が受電端電圧\( \ {\dot V}_{\mathrm {r}} \ \)よりも小さくなる現象が発生することがあります。
2.フェランチ効果による影響
・受電端電圧が高くなることで,機器にかかる電圧が高くなり,正常範囲を逸脱してしまう可能性がある。
・機器に過電圧がかかり,絶縁破壊を生じる可能性がある。
【解答】
解答:(4)
(1)正しい
問題文の通り,フェランチ効果は送電線の受電端電圧の方が送電端電圧よりも高くなる現象です。
(2)正しい
問題文の通り,線路電流が大きい場合より著しく小さい場合にケーブル等の静電容量が影響し,生じることが多いです。
(3)正しい
問題文の通り,架空送電線路の負荷側に地中送配電線路が接続されている場合に生じる可能性が高くなります。これは,地中送配電線路に使用されているケーブルの静電容量が非常に高いためで,進み電流を生じやすくなるためです。
(4)誤り
ワンポイント解説「1.フェランチ効果」の通り,フェランチ効果は線路電流の位相が電圧に対して進んでいる場合に生じることが多い現象です。
(5)正しい
問題文の通り,送配電線路のこう長が短い場合より長い場合の方が静電容量が大きくなりやすく,発生しやすいです。